月曜図書室

とある田舎町の図書館司書です。 本のことや日常のあれこれなどを雑多に綴ります。

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最近の記事

とある図書館司書の自宅本紹介

「図書館の司書さんって、お家にも本がたくさんあるんですか?」 図書館利用者の方によく聞かれる質問の一つだ。 自宅には現在200冊ほどの本がある。 これは漫画や、趣味で弾いているピアノの楽譜・テキストなども含めた数だ。 社会人になってから「持たない暮らし」に憧れるようになったことと、図書館で働き始めたことにより、最近は本を買うことがめっきり減った。 これが多いのか少ないのか自分ではよく分からないけれど、図書館司書にしては少ないと思われるかもしれない。 その中で今回ご

    • 社会人になる前に知っておきたかった2つのこと

      春になり、初々しいスーツ姿の若者たちを見かけるようになると、自分の新卒時代を思い出す。 私が社会人として働く前に知っておきたかったこと、働いてみて気づいたことを、自戒の意味も込めてここに記そうと思う。 ①完璧主義は今すぐやめる 完璧主義というのは、現状をより良くしたいという向上心の表れでもあるので、そういう意味では素晴らしいことだと思う。 「なんでもいいや」「適当に済ませよう」と投げやりになってしまうよりはずっと良い。 けれど、何でもやりすぎは良くない。 何をする

      • 私の「何度でも読み返したくなる本」

        以前こちらのnoteで紹介した一冊。 『成瀬は天下を取りにいく』/宮島未奈著(新潮社)が2024年本屋大賞にノミネートされた。 大賞は4月10日に発表される。 同僚の図書館司書たちの間では、『星を編む』/凪良ゆう著(講談社)を有力視する声が多い。 私も読んでみて、確かに本屋大賞に値する作品のように感じた。 だが私は『成瀬』を推したい。 個人的には、ノミネート作品の中で最も"何度も読み返したい"作品と感じたのが、この『成瀬』だ。 主人公が突飛なキャラクターとして描かれ

        • 口下手・聞き下手な人に読んでほしい一冊

          私は口下手でもあり、聞き下手でもある。 これは図書館司書としてかなり致命的だ。 私の勤務する図書館では、毎日のように利用者から本に関する相談が寄せられる。 そんな中、「利用者が抱えている疑問を上手く引き出し、その回答を分かりやすく伝える」ためには話し上手でもあり、聞き上手でもあることが必要と言える。 それができないと業務に支障をきたすので、仕事のときは意識することができているようなのだけれど、ことプライベートにおいては、急にコミュニーション能力の低下を感じる。 自分のこ

        とある図書館司書の自宅本紹介

          懐かしの図書館グッズ

          1月4日、今日から仕事始め。 私の勤務する図書館は翌日5日から開館なので、その準備日である。 まず、年末年始の休館日の間に外の返却ポストに返された、本の回収・返却作業から始まる。 今年もポストから溢れそうなほどたくさんの本が入っていた。 破損の恐れがあるため、CD・DVDや他の図書館からの借受本はポストへの返却をご遠慮いただいているのだが、嬉しいことに今年はそれらの資料は一つも返されていなかった。 いつも思うのだけれど、当館の利用者さんはみな本当に良い方ばかりだ。悪天候

          懐かしの図書館グッズ

          子どもの頃にもらったクリスマスプレゼントを思い出してみる

          今年も早いものでもうクリスマスシーズンがやってきた。 親戚の子どもたちに渡すプレゼントは何が良いかと頭を悩ませているところなので、自分が子どもの頃にどんな物をもらったかを思い出してみる。 小学生以前のクリスマスの記憶はあまりないが、クリスマスケーキと一緒に、バービー人形の大きなおうちを抱えてはしゃいでいる幼少期の自分の写真を見たことがある。 なので、おそらくその時代はおままごとグッズをもらうことが多かったのだろう。 確かこの頃は"お母さんごっこ"にハマっていて、家電の

          子どもの頃にもらったクリスマスプレゼントを思い出してみる

          この絵本がすごい

          みなさんは絵本を読んで涙した経験はあるだろうか? 私はある。 大人になってから、それもつい先日のことだ。 それまでは絵本を読んで泣いた記憶はない。 ただ、一度だけ泣きそうになったことはある。 小学校1年生の国語の教科書に載っていた、『ずーっとずっとだいすきだよ』を読んだ時のことだ。 小学校に入学してまだ間もない時期、教科書の最後のほうのページにこのお話が載っていたのを、同じクラスの男子(以下:Kくん)が目ざとく見つけた。 「おれ、これ読んだことある!!めっちゃ泣

          この絵本がすごい

          今この本にハマっています②

          前回こちらの記事で、"身近な疑問をテーマに、10代の子どもたちにノンフィクション読書を楽しむきっかけを与えてくれる本"として「ちくまQブックス」シリーズをご紹介した。 ここでは紹介しきれなかったが、ほかにもいくつか、若者世代の読書入門として、また大人の学び直しとしてもおすすめのシリーズがある。 河出書房新社の「14歳の世渡り術」シリーズは、さまざまな知識の入門として最適の本だ。 中高生などのヤングアダルト世代をターゲットにしているようではあるが、大人が読んでも非常にため

          今この本にハマっています②

          "やさしすぎる"人たちの物語

          ちょうど心がほっこりするような小説を読みたいタイミングだったのと、「ぬいぐるみとしゃべる」というタイトルが気になったのもあって、ほっこり感のあるカバーイラストのこちらを選んでみた。 本書は4編からなる短編集である。 そのうちの、表題作『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は、ぬいぐるみサークル【通称ぬいサー】に所属する大学生たちのお話だ。 手芸部のような感覚でみんなでぬいぐるみを作ったり、それぞれ自分のお気に入りのぬいぐるみを持ち寄ってパーティーを開いたり、そういうぬいサ

          "やさしすぎる"人たちの物語

          最近の"読んで良かった本"

          私が最近読んだなかで「印象深かった」「もう一度読みたいと感じた」など、読んで良かった本をご紹介したい。 今回は一般書と児童書から、それぞれ一冊ずつ選書した。 ①『我が手の太陽』石田夏穂/著(講談社) 芥川賞の候補作として選ばれたことで、ご存じの方もいるだろう。 選書業務の際に参考にする「新刊案内」で見つけて気になっていた本だ。 そして本書の紹介文にあった、『異色の職人小説』というワードに惹かれた。 様々な職業に従事する人々に密着し、その仕事内容などを紹介するようなテ

          最近の"読んで良かった本"

          今この本にハマっています

          私が今ハマっているのは「ちくまQブックス」というシリーズ。 身近な疑問をテーマに、10代の子どもたちにノンフィクション読書を楽しむきっかけを与えてくれる本だ。 シンプルで素朴なカバーデザイン。中身も文字と挿絵がほどよい量で、読みやすさにこだわって作られていることがわかる。 読書習慣のないティーンエイジャーにも理解しやすいように、一つひとつの章が短め、かつ平易な文章で書かれている。 各ジャンルの入門編として、大人が読んでもためになるだろう。 私も、文字の多い一般書を読むの

          今この本にハマっています

          【騙されたと思って読んでみて】やみつきになる、高瀬隼子作品

          またもや気になる本を見つけた。 このあらすじが妙に惹かれた。 そして写真を撮り忘れたが、本書の帯にはでかでかと書かれた「ぶつかったる。」の文字。(気が向いたときにぜひ書店で見てみてほしい) 攻撃性を感じさせる言葉である「ぶつかったる。」と、それに反してのポップなカバーイラスト。 その調和がなんとも良かったのである。 みなさんにもこんな経験はないだろうか。 ・職場での一コマ。 コピー用紙や文房具が切れてる!在庫を出さなきゃ、って在庫もないじゃん!何で誰も気づかないの?

          【騙されたと思って読んでみて】やみつきになる、高瀬隼子作品

          このタイトルがすごい

          タイトルのインパクトに負けて読んでしまった。 Gとはそう、スリッパを握る手のカバーイラストから想像できる通り、あのGである。 私は虫の類全般が苦手で、特にGには滅法弱い。Gという文字を目にするだけで身構えてしまう。 しかしどういうわけか、Gに対する嫌悪感よりも、このタイトルへの興味のほうが勝ってしまった。 軽くあらすじをご紹介。 ざっくり説明するとこんなお話である。 本書の登場人物、とにかくみんなクセが強すぎる。 その筆頭が、「ミッドサマードリームナイト」に出演

          このタイトルがすごい

          人生で初めて映画館で号泣した話

          先日、映画『東京リベンジャーズ2 -決戦-』を観に行った。 鑑賞後、様々な感情が湧き上がってきて、感想を書かずにはいられなかったのでここに記そうと思う。 出演俳優の不祥事に関しては様々な見解があるけれど、映画そのものはそれとは切り離して考えたい。 永山さんも含め、出演者やスタッフのみなさんのこれまでの努力がなかったことになってしまうのが、私としては一番つらかったので、無事に上映されて本当に良かったと思っている。 ※以下ネタバレを含む表現あり 映画『東京リベンジャーズ』

          人生で初めて映画館で号泣した話

          あの日に思いを馳せる

          先日、『ぼくはうそをついた』という本を読んだ。 この物語の舞台は、終戦60周年の広島。 主人公のリョウタの、祖父の戦争体験の話が出てくる。その戦争体験というのは、作者の西村すぐりさんのお母さまのエピソードが元になっているという。 祖父の話を聞き、実際に戦争のあった土地を歩きながら、戦争の事実と向き合おうとするリョウタ。 読みながら、私もリョウタと広島の街を歩き、戦争の傷跡を目の当たりにしている気持ちになった。 そして気になるのが、「うそをついた」というなにやら不穏な

          あの日に思いを馳せる

          とある図書館司書の自己紹介

          noteを始めてはや1年… 今更ながら自己紹介をします。 ✴︎図書館司書歴✴︎ 今年で5年目です。 ✴︎よく読む本✴︎ ミニマリストやシンプルライフに関する実用書やエッセイ。ウサギが出てくる絵本。青春を感じさせるストーリーの児童書…などなど。 ですが好き嫌いは特になく、色々なことに興味があるので、パッと目についた本を読むことが多いです。小説もジャンル問わず読みます。 ✴︎好きな作家✴︎ 山田悠介さん、三浦しをんさん、群ようこさん、益田ミリさん、山崎ナオコーラさん、神戸

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