月曜図書室

とある田舎町の図書館司書です。 本のことや日常のあれこれなどを雑多に綴ります。

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最近の記事

甲子園が始まる前にどうしても読んでおきたかった本

野球には疎いのだが、夏の高校野球だけは毎年欠かさず観るようにしている。 純粋な球児たちの一挙手一投足には、私のような野球に縁もゆかりもない人間までも惹きつける魅力がある。 そして何より真夏にクーラーの効いた部屋で、ガリガリ君を頬張りながら観る甲子園は最高だ。 例えるなら、お酒を嗜みながら花見をする感覚に近いのかもしれない。 そういうわけで、甲子園や高校球児を題材とした小説も好んで読む。 次にご紹介する本は、高校球児の親目線で書かれたものということで余計に興味を持った

    • 夏になるとどうしても読みたくなるあの本

      夏。室内にいても日差しは容赦なく照りつける。 普段は空きが目立つ我が家の冷蔵庫も、この時期に限っては清涼飲料水やアイスがそのスペースを陣取っている。 夏の時期、きっとそんな感覚で、いつでも傍らに置いておきたいと思う本が私にはある。 爽やかな表紙が目を惹く。 やはり青や白の配色は夏にぴったりだ。 こちらはオールカラーのマンガ。 作者のコマツシンヤさんは、漫画家としてデビュー後、絵本作家やイラストレーターとしても活躍されている。 私はコマツさんのイラストが大好きだ。

      • 今年の課題図書で気になった本

        図書館司書的夏の風物詩といえば、読書感想文コンクール。 今年の課題図書のラインナップはこちら。 絵本や児童文学は見覚えのあるものもいくつかあるけれど、ノンフィクションものに関しては初めましての本ばかりだ。 課題図書や、都道府県独自の指定図書に選定された本は必ず購入するようにしている図書館が多い。うちもそうである。 課題図書は7月を過ぎたあたりから一気に予約が入り始める。 そのため私の勤務する館では、夏休み期間中、課題図書は貸出期間が1週間(通常は2週間)で延長も不可と

        • たまにはマンガの話を

          職業は図書館司書で本を読むのが好き、というと「じゃあマンガとかより活字のほうが好きなの?」と聞かれることがある。 そんな時、「いや、マンガもめっちゃ好き!!!」と食い気味で答えてしまうほど私はマンガを読むのが大好きだ。 そういうわけなので、今回は最近読んだなかで面白かったマンガを紹介させてほしい。 2020年に出版され、マンガ大賞2021では第3位に選ばれるなど、数々の賞にランクインしているこちらの作品。 面白いマンガとして以前から有名だったので、一刻も早く読みたいと

        甲子園が始まる前にどうしても読んでおきたかった本

          【大人が読んだっていい】小学一年生のための本

          今度小学一年生のクラスに読み聞かせに行くので、何を読もうかと頭を悩ませているところである。 早くも一学期の半分が過ぎ、新一年生たちもようやく学校に慣れた頃ではないだろうか。 そんな子どもたちにぴったりのテーマはやっぱり「一年生が主役」の本。 先生のことを間違えて「お父さん・お母さん」と呼んでしまう、授業中にトイレに行きたいけれど恥ずかしくて言い出せない、給食で嫌いな食べ物が出たときにどうするか問題…… そんな"一年生あるある"の詰まったような本を読み聞かせに使いたい。

          【大人が読んだっていい】小学一年生のための本

          大谷選手の絵本がとてもよかった

          小学校へ読み聞かせに行くといつも思うこと。 野球ってめっちゃ人気だな! 私は週に1日ほど、読み聞かせで小学校を訪れるのだが、いつも昼休みには校庭で野球をしている多くの児童を見かける。 その中には、大谷翔平選手から届いたグローブをつけている子も。 あまりの人気で、この学校では曜日ごとに使える学年が決まっているそうだ。 私が羨ましそうに見ていたからか、低学年の男の子が「せっかくだから触ってもいいよ」と持ってきてくれたので、しっかり触らせてもらった。 以前、「将来の夢」

          大谷選手の絵本がとてもよかった

          とある図書館司書の自宅本紹介

          「図書館の司書さんって、お家にも本がたくさんあるんですか?」 図書館利用者の方によく聞かれる質問の一つだ。 自宅には現在200冊ほどの本がある。 これは漫画や、趣味で弾いているピアノの楽譜・テキストなども含めた数だ。 社会人になってから「持たない暮らし」に憧れるようになったことと、図書館で働き始めたことにより、最近は本を買うことがめっきり減った。 これが多いのか少ないのか自分ではよく分からないけれど、図書館司書にしては少ないと思われるかもしれない。 その中で今回ご

          とある図書館司書の自宅本紹介

          社会人になる前に知っておきたかった2つのこと

          春になり、初々しいスーツ姿の若者たちを見かけるようになると、自分の新卒時代を思い出す。 私が社会人として働く前に知っておきたかったこと、働いてみて気づいたことを、自戒の意味も込めてここに記そうと思う。 ①完璧主義は今すぐやめる 完璧主義というのは、現状をより良くしたいという向上心の表れでもあるので、そういう意味では素晴らしいことだと思う。 「なんでもいいや」「適当に済ませよう」と投げやりになってしまうよりはずっと良い。 けれど、何でもやりすぎは良くない。 何をする

          社会人になる前に知っておきたかった2つのこと

          私の「何度でも読み返したくなる本」

          以前こちらのnoteで紹介した一冊。 『成瀬は天下を取りにいく』/宮島未奈著(新潮社)が2024年本屋大賞にノミネートされた。 大賞は4月10日に発表される。 同僚の図書館司書たちの間では、『星を編む』/凪良ゆう著(講談社)を有力視する声が多い。 私も読んでみて、確かに本屋大賞に値する作品のように感じた。 だが私は『成瀬』を推したい。 個人的には、ノミネート作品の中で最も"何度も読み返したい"作品と感じたのが、この『成瀬』だ。 主人公が突飛なキャラクターとして描かれ

          私の「何度でも読み返したくなる本」

          口下手・聞き下手な人に読んでほしい一冊

          私は口下手でもあり、聞き下手でもある。 これは図書館司書としてかなり致命的だ。 私の勤務する図書館では、毎日のように利用者から本に関する相談が寄せられる。 そんな中、「利用者が抱えている疑問を上手く引き出し、その回答を分かりやすく伝える」ためには話し上手でもあり、聞き上手でもあることが必要と言える。 それができないと業務に支障をきたすので、仕事のときは意識することができているようなのだけれど、ことプライベートにおいては、急にコミュニーション能力の低下を感じる。 自分のこ

          口下手・聞き下手な人に読んでほしい一冊

          懐かしの図書館グッズ

          1月4日、今日から仕事始め。 私の勤務する図書館は翌日5日から開館なので、その準備日である。 まず、年末年始の休館日の間に外の返却ポストに返された、本の回収・返却作業から始まる。 今年もポストから溢れそうなほどたくさんの本が入っていた。 破損の恐れがあるため、CD・DVDや他の図書館からの借受本はポストへの返却をご遠慮いただいているのだが、嬉しいことに今年はそれらの資料は一つも返されていなかった。 いつも思うのだけれど、当館の利用者さんはみな本当に良い方ばかりだ。悪天候

          懐かしの図書館グッズ

          子どもの頃にもらったクリスマスプレゼントを思い出してみる

          今年も早いものでもうクリスマスシーズンがやってきた。 親戚の子どもたちに渡すプレゼントは何が良いかと頭を悩ませているところなので、自分が子どもの頃にどんな物をもらったかを思い出してみる。 小学生以前のクリスマスの記憶はあまりないが、クリスマスケーキと一緒に、バービー人形の大きなおうちを抱えてはしゃいでいる幼少期の自分の写真を見たことがある。 なので、おそらくその時代はおままごとグッズをもらうことが多かったのだろう。 確かこの頃は"お母さんごっこ"にハマっていて、家電の

          子どもの頃にもらったクリスマスプレゼントを思い出してみる

          この絵本がすごい

          みなさんは絵本を読んで涙した経験はあるだろうか? 私はある。 大人になってから、それもつい先日のことだ。 それまでは絵本を読んで泣いた記憶はない。 ただ、一度だけ泣きそうになったことはある。 小学校1年生の国語の教科書に載っていた、『ずーっとずっとだいすきだよ』を読んだ時のことだ。 小学校に入学してまだ間もない時期、教科書の最後のほうのページにこのお話が載っていたのを、同じクラスの男子(以下:Kくん)が目ざとく見つけた。 「おれ、これ読んだことある!!めっちゃ泣

          この絵本がすごい

          今この本にハマっています②

          前回こちらの記事で、"身近な疑問をテーマに、10代の子どもたちにノンフィクション読書を楽しむきっかけを与えてくれる本"として「ちくまQブックス」シリーズをご紹介した。 ここでは紹介しきれなかったが、ほかにもいくつか、若者世代の読書入門として、また大人の学び直しとしてもおすすめのシリーズがある。 河出書房新社の「14歳の世渡り術」シリーズは、さまざまな知識の入門として最適の本だ。 中高生などのヤングアダルト世代をターゲットにしているようではあるが、大人が読んでも非常にため

          今この本にハマっています②

          "やさしすぎる"人たちの物語

          ちょうど心がほっこりするような小説を読みたいタイミングだったのと、「ぬいぐるみとしゃべる」というタイトルが気になったのもあって、ほっこり感のあるカバーイラストのこちらを選んでみた。 本書は4編からなる短編集である。 そのうちの、表題作『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』は、ぬいぐるみサークル【通称ぬいサー】に所属する大学生たちのお話だ。 手芸部のような感覚でみんなでぬいぐるみを作ったり、それぞれ自分のお気に入りのぬいぐるみを持ち寄ってパーティーを開いたり、そういうぬいサ

          "やさしすぎる"人たちの物語

          最近の"読んで良かった本"

          私が最近読んだなかで「印象深かった」「もう一度読みたいと感じた」など、読んで良かった本をご紹介したい。 今回は一般書と児童書から、それぞれ一冊ずつ選書した。 ①『我が手の太陽』石田夏穂/著(講談社) 芥川賞の候補作として選ばれたことで、ご存じの方もいるだろう。 選書業務の際に参考にする「新刊案内」で見つけて気になっていた本だ。 そして本書の紹介文にあった、『異色の職人小説』というワードに惹かれた。 様々な職業に従事する人々に密着し、その仕事内容などを紹介するようなテ

          最近の"読んで良かった本"