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【大人が読んだっていい】小学一年生のための本

今度小学一年生のクラスに読み聞かせに行くので、何を読もうかと頭を悩ませているところである。

早くも一学期の半分が過ぎ、新一年生たちもようやく学校に慣れた頃ではないだろうか。
そんな子どもたちにぴったりのテーマはやっぱり「一年生が主役」の本。

先生のことを間違えて「お父さん・お母さん」と呼んでしまう、授業中にトイレに行きたいけれど恥ずかしくて言い出せない、給食で嫌いな食べ物が出たときにどうするか問題……

そんな"一年生あるある"の詰まったような本を読み聞かせに使いたい。

そこで「一年生」がキーワードの絵本を手当たり次第に読んでみた。
そのなかで個人的に気に入った本を何冊がご紹介したい。


①『ぞうくんはいちねんせい』ながしまひろみ/作(アリス館)

今日から小学一年生になるぞうくんが主人公。

ひとりぼっちになったらどうしよう
せんせいってこわいのかな
べんきょうむずかしいかな
……

と心配気味なぞうくん。

ぞうくんが教室に入ると、そこには様々などうぶつたち、そして人間たちの姿が。色んな生徒が通う学校のようだ。

ぞうくんの隣の席は人間の女の子、コトコちゃん。自己紹介しようとした途端に大きなくしゃみをしてしまい、しぶきがコトコちゃんに直撃してしまうハプニングが。それでもニコニコやさしいコトコちゃん。

先生を「おかあさん」と呼んでしまったり、教科書を忘れてしまったり、失敗続きのぞうくんだが、先生もコトコちゃんも温かい。なんだかとっても素敵な雰囲気の学校だ。

初めての小学校に不安な気持ちでいっぱいだったぞうくん。けれど帰る頃には「みんなまたあしたね!」と元気いっぱいに。
ほっこりするイラストとお話で、やさしい気持ちになれる絵本。


②『やぎこ先生いちねんせい』ななもりさちこ/文,大島妙子/絵(福音館書店)

この春、先生になったばかりのやぎこ先生。
先生なのに生徒と一緒に遅刻してきたり、宿題を出し忘れたり、誰よりも遠足を楽しみにしていたり、自分の給食を山盛りにしたり……
そんなお茶目でにくめないやぎこ先生を見ていると、良い意味で肩の力が抜けていく。

たびたび校長先生に呼び出されるやぎこ先生を心配する、生徒のこやぎたちの様子がなんとも微笑ましい。

先生とこやぎたちはすぐに仲良しに。
まだまだ未熟なやぎこ先生だからこそ、子どもたちと同じ目線で毎日楽しく過ごせているのかも。

個人的にツボだったのが、給食がカレーのとき、我々が白い服を着ている時にルーが飛び散らないか気にするみたいに、やぎこ先生たちも自分たちの白い毛にシミが付かないかはらはらしながら食べていたシーン(笑)

ほかにもクスッと笑える場面があちこちに。
私もやぎこ先生のようにマイペースさを忘れないようにしたい。

こちらは絵本ではなく、文字がメインの読みもの。挿絵が多めなので低学年にもおすすめできる。


③『ますだくんの1ねんせい日記』武田美穂/作・絵(ポプラ社)

ますだくんと、隣の席のみほちゃんのお話。
マンガのようにコマ割りになっており、ますだくんが視点の日記形式で話が進んでいく。

自信がなく少し頼りないみほちゃんに、ついつい強く出てしまうますだくん。親切に接しているつもりのますだくんだけれど、なんだかみほちゃんに怖がられてしまっている。

もっとみほちゃんにやさしく接してあげてよ!と思う反面、ますだくんってとってもやさしい子なんだよな…とも感じる。

みほちゃんが休むと心配になるますだくんがかわいらしく、実はみほちゃんと良いコンビなのかも。
後半、みほちゃんがしっかりしてきて、ますだくんがタジタジになっているのも良かった。

「ますだくんシリーズ」は全5冊。みほちゃん視点のお話もあるので、あわせて読むのもオススメ。



本を選んでいるとき、自分が小学生だった頃を思い出した。


学校は決して嫌いではなかったけれど、気分の浮き沈みが激しくて、朝になると学校に行きたくないと駄々をこねて家族を困らせる日もあった。

泳ぐのが苦手で、水泳がある日は泣くほど憂鬱だった。雨で中止になってほしくて、逆さまのてるてる坊主を大量に作った。
今日こそは絶対にプールをサボるぞ、と思いながらも結局六年間、一日もサボらなかった。

引っ込み思案だったけれどスポーツが大好きで、運動会だけは一番目立ちたくてリレーの選抜メンバーの座を死守した。

懐かしい思い出がとめどなく溢れてくる。
楽しかったこともつらかったこともたくさんあったけれど、全てひっくるめて愛おしい。

だから私は絵本が好きなのかもしれない。
大人になってからすっかり忘れかけていたものを、取り戻せたような気持ちになるから。

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