セーヌ川さんぽ! 〈印象派画家の散歩みち〉 ④ モネの散歩みち
印象派の画家が歩いた散歩みち、残るはあと一つ。遂に、今回はラストステージ。
もう6月に入り、さんぽも暑くなってきた!
印象派の画家ばかりではなく、他にも洗濯船の歴史、橋やダム、水道管に歯車等普段あまり気にしない身近なものにも目を向けて歩いた(いや、向いてしまった)散歩はなかなか楽しいものでした。
その中でも今回最後の散歩みち、さて何が私をよじれ隊にさせてしまうのでしょうか!?
④ モネの散歩みち
さて、今回のルート、出発地点は前回と同じシャトゥ駅。前回と同じ教会からシャトゥ橋を渡って"印象派の島"へ。北側は既に制覇したので、本日は南側、クロワシーの町を通り最終地点はブージヴァル。
残念ながら、今回案内板の数が全部でいくつかがわからないのですが、4枚位はあるのではないかと予想。行程距離4.25km、所要期間1h30の予定。と言うことは、出発が3時過ぎなので、6時半までに帰ることが出来れば、まあいつも通り。
(かなーりどんぶり勘定←いつもそう)
気温21℃、快晴、日焼け止め対策をして、長袖、麦わら帽子と乾燥に備え、水もしっかり用意。
いつになく気合入ってます。
しかしアチー...
日本にいる方だと、わかりにくいかもしれませんが、この日のように気温が20℃を超え、お日様サンサンの15h~18hの湿度は65%、ちなみにこの時期日本だと80%位。今日はそれより暑い!と思ったら気温27℃、湿度45%!でした。湿度が低いと日に焼けるのが早くて困る! 早めに行っておいて正解。
それではぐだぐだ言ってないで、早速出発!
駅を出て、まっすぐ教会へ。しかし前回ここでも時間くったので今日は完全ムシ!
シャトゥ橋をとっとと渡り(橋の上は特に暑いので)、ルノワールが描いた「舟遊びの昼食」レストランを左手に見ながら、本日は右折。"印象派の島"へ到着。
現在こちら側は、ピクニックができそうな公園、バスケコート、体育館にワクチン接種場、そしてその横が厩のある乗馬教室。
いつも電車から見える風景。
さてお目当ての案内板はどこに?
「クラブハウスを背に前進すべし。川の手前に見えてくる。」
何とも哲学的道案内。
ハイ、ハイ。ご啓示ありがとうございます。
近づいても全く動じない、悟りきったニャンコ先生の祠付きの一枚目、ゲット👍致しました。
こちらはフィリップ・オーギュスト・ルノワールの1881年の作品で、「シャトゥの鉄道橋」。
マロニエとバラの花。ちょうど今頃の季節。
同じアングルだと生い茂った木で何も見えないので、少し川に近づいて。
前回の「舟遊びの昼食」と同じ年の作品。
パリ、サン・ラザール〜サンジェルマン・アン・レー間鉄道開通は、1830年代でしたので、橋のスタイルはマルリの陸橋等も同じ頃。
乗馬教室のポニーちゃんにご挨拶が済んだら、先を急ぎましょう。
しかしこれまたあのシャトゥ橋まで戻んのー、かったるーい。
と思っているところ。
普段の行いが良いせいか、こんなものが目の前に現れ...
どこへ行かれる?
「天国への階段」かしら?
(♪もちろん頭の中に流れる哀し気な🎸のメロディ)
ちょっと行ってみよ。
きゃうん。ラッキー😆
こんな地図にも乗っていないワープ道😚
しかももちろん格子越しに、こんなお宝まで。
あはん♥
そしてスゴいスピードで通り過ぎる河川ポリス。
無事に橋を渡ったら、後はずーーっとまっすぐ。
こんなキレイな青トンボや、
(写真左下)
こんなキレイな赤い薔薇をバラバラと愛でながら。
暑いので水辺に近い方が涼しい。
...が、だんだん道は険しくなり、木が鬱蒼と茂っているので、気分はまるで探検家!
それでも使命まっとうのため前進のみ!
いや〜ん😰でも船が通る度、煽られて濡れ濡れ〜!!
落ちたら、シャレにならんで〜〜💦
コワくなってきたので、無理矢理逃げ道を探す。
藁をも掴む思い、とはこのことかっ!
そんで更にそれで案内板見逃してたら、何をしに来たのかっ!
これはどーしても地上に戻らなければ!
ひゃー! ステキなお家。
ちゃんと住んでらっしゃる。
きっと「舟遊びの昼食」のレストランと同じ頃の建築。築150年の古民家なり。
ただ、以前のルヴシエンヌに比べるとややブルジョワチックですな。
そう言えば『脂肪の塊』というnoterさんたちもびっくりなタイトルの短編小説で"うれしいお知らせ"を貰ったという作家、モーパッサンもこのセーヌ岸に住んでいたらしい。
そう、あのエッフェル塔を毛嫌いし、「これで眺めずに済む」と言いながら塔内レストランでお食事をしたという元祖自己中文豪。
パリの背徳的で華やかな世界を描いた『ベラミ』(ロバート・パティンソンで映画化済)や、人生不幸のオンパレードで夫の不倫にも耐え抜く女を描いた『女の一生』(これに至っては3度の日本版リメイク映画化!)などが有名。
('53乙羽信子、'62京マチ子、'67岩下志麻)
いかん、いかん、危うく沼から這い上がれなくなるところ。
話をセーヌ川に戻しましょ。
まだ2枚目の案内板も見てないんですが本当に大丈夫なんでしょ〜か。
サン・レオナルド礼拝堂。12世紀から巡礼用教会。現在は閉鎖中。
その反対側には現在の市役所、及びその庭園。
そしてこちらも閉館中の美術館、「ラ・グルノイエール」。
さらっと見て、私の天敵シナノキアレルギーを感じたので、早々に逃げる!
頭クラクラ〜...
再びセーヌ川へ戻ると、
やっと2枚目ゲット👍
こちらはクロード・モネの1869年の作品で「ラ・グルノイエールの水遊び」。
今はもう船着き場などないし、こんな所で泳ぐ人も居ませんが、当時はここで遊んだのでしょうか。
さっきの美術館にもこんなポスターありました。
「ラ・グルノイエールのダンスパーティ」。
右下をよく見ると、
"パリ、サン・ラザール出発
シャトゥ・クロワシー駅下車
パリ行上りは11時、19時発"
これは明らかに広告。
しかも一日ニ往復。
パリから簡単に行かれる、テーマパーク!
レストラン、舟遊び、社交場、ダンスパーティーに水遊び!
きゃー、楽しそう。
こちらも当時の広告。
いつの世でも殿方が美脚にふらっと誘われるように、ここでも例外ではありません!
ほら、あなたもちょっと楽しそう〜、行ってみたいな〜、って思ったでしょ?
しかも他の広告を見ると、手前で美女たちが人魚姫の如く華麗に水遊び。のところに一緒に入っちゃう奥に居る殿方達!
こ、これは混浴プール! 小学校でさえ男女別学だった当時の混浴プールですよっ。
これは日本の殿方が夢見る、混浴露天風呂並みのコーフン度じゃないですか!?
しかもこの名前、「ラ・グルノイエール」。
これはフランス語で🐸! ケロッ。
実際フランスではカエルの足が夕飯の食卓に上がることもある訳でして。(本人未経験)
英国人はフランス人の事を軽蔑的に呼ぶ時「グルノイユ(カエルども)」、と言いますし、その女性形が「グルノイエール」=フランス女。
ってことは、日本の殿方が
「拙者、マグロをイカせてやるぞ!」
ぐらいな勢いでいるところ、フランスの殿方も「トレ・ビヤ〜ン、カエルの太モモでもしゃぶりに!」
的なノリなのではないかと...いやん♥
そこで更に検索してみますと、出ます、出ます。
モネは先程の案内板の絵を含め二枚。1869年作。
さすが白フェチのモネ、白い絵の具の使い方が絶妙。
そしてルノワールに至っては、同じ様なアングルで五枚!
どんだけ好きやねん!
全て1869年の作品で、タイトルも十把一絡げ的にどれも「クロワシーのラ・グルノイエール」。
左側真ん中はモネと全く同じショット! テクニックにも似たような部分が。ちなみにルノワールは赤フェチ。でもこの二人随分仲のおよろしいこと。
これはもう二人で一緒に出掛けていた、としか考えられませんな。
ちなみに右側下は1879年の作品で、やや熱は冷めた頃の感じでしょうか。季節も秋を感じます。
そして、ゴッホはやや遅れて、1890年にやはり「クロワシーのラ・グルノイエール」描いてます。彼はもちろん黄色フェチ。
そこでやや、アカデミックな目で分析いたしますと、ここにも印象派の特徴的技術が満載。
1) 写真を見るような光と影の表現。
2) 色バリエは少な目→外描きなので荷物が軽く、絵の具代も節約でき経済的。
3) 早い筆致⇒時間短縮、絵を描くだけが目的ではない→他のことして遊びたい→余暇の充実
ということを踏まえ、話題のニュースポット、当時から余りにも木が茂るので、別名「セーヌのマダガスカル」だったというのも、探検した経験から言わせて頂けれは、あながち大げさではなく。
この地が当時如何に盛り上がっていたのか、と考えると、こんな静かな舟着き場にもよじれ隊!
その後は、ブージヴァル方面へ向かい川を渡ります。
先日のルヴシエンヌの教会の屋根が見えております。
橋を渡る前に3枚目ゲット👍
モネの「ブージヴァルの橋」、これも1869年。
そして今は、こちら。
その橋のたもとをおりていくと、もう一枚。
4枚目ゲット👍
これはかなり有名なルノワールの「二人の姉妹」、1881年の作品。赤い帽子、ひときわ目を惹きます。
今はこんな感じ。
そしてルノワールと言えば、このダンス三部作が有名です。いずれも1883年の作品。
左から、「ブージヴァルのダンス」、
「都会のダンス」、「田舎のダンス」。
ここでも刺し色は赤。
ちなみに「ブージヴァルのダンス」のモデルは、女流画家で、その後やはり画家になるモーリス・ユトリロの母、シュザンヌ・ヴァラドン。
やはりこの時期、画家同士の繋がりが広がって、みな外へ出て外交的になってきた様子が彼らの絵からも伺えます。
そしてこちらは、当時のセーヌ川とこの付近を撮影した写真のハガキ。
手書きで1907年と書かれています。
そして、真ん中に写っているのは...?
そう☺️もちろん洗濯船ですね。
近所のセーヌ川の魅力、少しでもお伝えできたでしょうか?
最後に、画家ルノワールの息子ジャン・ルノワール監督が、当時の雰囲気いっぱいのオマージュを捧げた映画、『フレンチ・カンカン』をご紹介します。
どうぞみなさまも、印象派の画家の時代の雰囲気をお楽しみくださいませ😘
それではまた。
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