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2021/7/30 「思うこと」

伝えたいことがある。「思うこと」がこんなにも私の近くに居座るのは、決して私の意志ではなかったということだ。

「思うこと」が私の両肩を抱いて少し後ろに立っている。私の外側にいて、その手を放そうとしてくれない。がっしりとこの身を捕らえ掴んでいる。

けれど嫌な感じはしない。二人で一つ、たまたま目に映る存在が私であっただけ。生きることというか、何かを成し遂げようとすることに熱があるのはむしろ彼の方で。私はただその力に押されているだけ、という感覚だ。

なぜ、この世界の地に足を着け、歩んでゆくのが私の方なのか。思い当たる節もなく不思議でしょうがない。いっそ交換してくれれば、もう哀しむこともないかもしれないのに、と思ったりもする。この夜のことだ。

だから、人のことを思って~。とか、話を聞いて表現して~とか。編集者、ライターになりたいと言い出したのは自分の意志ではなかったと思う。その対象が表舞台に立つ人達だというのも、実際には、私が選んだわけではないのである。

ファンが行き過ぎただけでしょう?と内心では思う人がいるかもしれない。でも、それは私自身が一番考え、疑っていたことで。その疑いは、誰にも汚されることはないだろう。私自身、誰かにそのようにさせるつもりもない。

なぜ此処にたどり着いてしまったのか、本当にわからない。たどり着かなければ、もしくは、その外側の存在に気付かなければ。私は普通に。普通に良い子のまま、過ごせていたと思う。何かを手に入れたい、いくら稼ぎたい、上に立ち引っ張っていきたい等。そういう特別な欲に欠けた人間だから、芸能界という名の世界に身を置き仕事をしたいなんて思うはずはないのだ。

もし、中学生の時のまま、高校生の時のまま。大学一年生の時のまま。そのままの私で来ていれば、きらきらしているように見える世界に仕事のご縁はなかったのだ。

書くことだって、それに等しい。

ただ、何かの拍子にそれまでの何か達、私の周りに個々として浮かんでいたもの達が結合し、姿になった。その姿が、「思うこと」だったのだ。それもここ数年、たった数年で生まれた存在なのである。

でも、個々で存在していた時も、その核は「思うこと」だったのだと思う。それぞれがその破片を内在させていた。そして、彼らが結合したものだから、破片たちも次第に合わさっていき、遂には「思うこと」の姿を浮かび上がらせてしまった、というわけだ。

そのせいで。もちろん今は、彼に導かれる覚悟だけれど。でも、彼のせいで、私はこの先どうなってしまうのかと、こんな時刻に嘆いている。

彼は確かに、外側からやってきた。

これが恋とするということか。


またね👋








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