あや

何か書きます。 人を選びそうな作品は有料記事にしてます。

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最近の記事

これが恋というのなら

こんなに恐ろしいものはない。 自分が自分でなくなって、浮ついていて面倒臭くて醜い生き物になる。 そんな風に思えて自己嫌悪で自分を絞め殺したくなる時がある。 相手に問題があるわけではない。これはただの自己嫌悪なのだから。 「あなたがいないと生きていけない」なんて そんなくだらない事を本気で思うような、 そんな過去の自分のような生き物にはもう2度とならないと誓ったはずなのに。 依存は罪ではない。わかっている。 けれどそれでまた失敗を繰り返すくらいなら、僕は冷めていた方が何倍もまし

    • 窓を開けると外は雪が積もっていて、軒先には氷柱が出来ている。 吐く息は白くなってからそっと溶けた。 「・・・寒いから窓しめて」 彼はこちらに目も向けず、少し不機嫌そうに言った。 『えへへ、ごめんごめん。』 私はそう言って窓を閉めてこたつに戻る。 彼はこたつで仕事をしている。 私にはよくわからない何かを作り、時折パソコンと睨み合い こちらに目を向けようとせずただただ難しい顔をしている。 私はその隣で編み物をしている。 バッグを作ったり、あみぐるみを作ったり、マフラーを作ったり

      • 青空

        世界はまた今日も勝手に明日を始めてしまって 僕はいつもの場所からカーテンの向こうを想像して睨む また今日が終わる頃、同じように悔やむんだろう また明日が始まる頃、同じように悲しむんだろう それでも幸せはそっと道端に落ちているから 僕はそれを知ってるから 悔やんでばかりも悲しんでばかりもいられないから 『せめて今日は綺麗な青空であるように』 そう願って眠りにつくよ

        • 指先

          目の前にいる君に、僕は触れる事が出来ない。 あと数センチ。 ここに見えないけれどたくさんの『何か』があって、 僕たちの間を邪魔している。 「こんなに愛しているのに。苦しいよ。」 君が眠っているからこそ言える言葉。

          スリープモード

          ラジオを聞き終わり、さて今度は何をしようか。 そう思って、はっと気付くと2時間が経っていた。 最近よくある。 寝てるわけでもなさそうだし、かと言って何かしていた記憶もない。 ベッドに入ってるわけでもないし、机に突っ伏してるわけでもない。 はっと気付くと普通に座って、暗い画面を睨んでいる。 たまたま連絡を取った中学からの友人に何気なくこの話をしてみたら 『前からじゃん、それ。』と言われて驚いた。 そうだ、そういえば中学高校も同じようなことがあった。 友達のうちに泊まりに行

          スリープモード

          不完全だった感情を 完全にしてしまいそうな自分がいる。 だめだ、ダメ。 まだ早い。 押し殺して ないものにしてしまおうか そんな幸せがある事も知ってる いつも押し付けて壊してしまうけれど。 ねぇ君。 僕も君のように もっと一人を思い続けられたら いろんな事が違ったんだろうね。 ねぇ君。 会えない方が愛せてしまう僕を 恨んでください。 愛してるよ、本当に。 僕も君のところに 落ちる事が出来たらいいのに。 そんな夢。

          自己嫌悪

          嫌悪感を抱いてもおかしくないことを言われたのに、 適当に返事をして誤魔化したこと 僕は誰にも好きになってもらえないと言われたこと 僕では代わりにすらなれないと言われたこと どれも悲しかった、どれも苦しかった。 ただ、嫌悪感を抱いてもおかしくない発言をされたことだけは、 とても不快だった。 他はいい。 僕の努力が足りなかったのだろうし、 僕ではダメなことだったんだろうと思えた。 けれどあの発言だけは許してはいけなかった。 特に意味はないのか、嫉妬させたかったのか、不安にさせた

          自己嫌悪

          青春

          以前勧められたアニメをふと思い出して今更見ている。 オープニング可愛いなぁと思ったり、とか あの時のやりとりを思い出しながら歌詞を見て勝手な想像をしたり、とか そんな事をしていたら、ふと中高生だった自分とそのまわりを思い出す。 僕もそのまわりも、例に漏れずそれぞれなかなか痛々しい青春だったと思う。 派手に痛さをひけらかしていた奴、 普段は普通の振りをしているが、ひとりこっそり痛さを楽しんでいた奴、 ・・・まぁ他にもいろんな奴がいたけれど、 今思えば一番タチが悪く怖いとさえ思う

          想像

          想像する 自分の想像が現実になる想像をする 想像の中の私は何でも出来る 現実とは違うから 地下鉄に乗りながらそんな事を考えていた。 あれ?私は今ベッドの上じゃなかったっけ。 ああ、きっとそれも想像だったんだろう。 早く帰りたいから、そんな想像をしていたんだろう。 そう思ったけれど、何となく帰る気分じゃなくなって地下鉄から降りたくなくて もう降りなきゃいけないような気がするけど、降りるのをやめて窓を見る。 すると外が見えて、雨が降っていた。 あれ?私は地下鉄に乗ってたんじ

          着物

          いつからか覚えてないけど、僕の枕元にはいつもお姉さんが立っている。 眠る時、見上げるとそこでじっとこっちを見ている。 真っ黒でまっすぐで長い髪、赤い着物。 隙間から見える肌は、とても白い。 冷たい目、無表情。 初めてお姉さんに気付いた時はすごく怖かった。 しばらく眠れなかったし、電気も消せなかった。 でもお姉さんは僕の傍から離れようとしなかった。 しばらくしてお姉さんがいる事にも慣れ 枕元に立っていても眠れるようになった。 それでもお姉さんは僕の傍から離れようとしなかった

          誕生日

          彼はもう30過ぎのお兄さんで、その割には子供っぽい性格をしている。 犬が好きで、猫が嫌い。 理由は生まれてすぐ両親と別れ 8才くらいまで預けられた家では10匹以上の猫に囲まれて育ち その家では自分よりも猫たちの方が大切に扱われていたからだ。 そんな彼と僕の出会いは突然だった。 10才を過ぎた頃、彼は僕のいた家に住む事になったのだ。 初めて会った日から、僕や他にいた奴やうさぎやわんこにとても優しくしてくれて でれでれと甘えに行った僕に優しいキスをくれたのがとても印象的だった。

          きみ

          名前、思い出してしまった。 頭から離れない、きみのこと。 『今も、好きだよ。』  そう伝えたくて名前をよぶ。 もういない君の名前。 おいてくなら、拾わないでほしかった。 どれだけ遠くても、君がいるならそれだけで幸せだった。 まわりに誰もいなくなっても、君がいればそれでよかった。 あたしが愛する人は、みんなあたしをおいていなくなる。 全部演技だったなんて思わない。 少なくとも、あたしの前に君は確かにいたんだ。 誰がなんと言おうと、いたんだよ。 これは本当に、君とあたしにし

          白い着物

          彼は着物を着ている。 白い、着物。 僕は浴衣を着ている。 紺で紅の菊が描かれた、女性物の浴衣。 彼は籐の椅子に座り僕を呼ぶ。 こちらに来いと、言う。 僕はその声に少し酔い、 そっと足元に近づく。

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          白い着物

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          消化

          あの一瞬で、飲み込まれた。 すぐに気付かせてはいけない。 少しずつ違和感を覚えてほしい。 だからあたしは中から少しずつ刺激していく。 甘くて気持ちいいだけの刺激なんて、そんな優しいものはあげない。 不快感と痛みだけの刺激なんて、そんな馬鹿なことはしない。 痛みと甘さをごちゃ混ぜに 気持ちよさと異物感をわからなくなるくらい 中からあなたを溺れさせる。 飲み込んだ事も気付かないまま、溺れていくのもわからないまま あなたはあたしを消化して。 あなたをあたしだけのものにしてあげる。

          友達

          あなたに僕の言葉を届けたい。 受け取ってほしい。 そう思う。 あなたの優しさはまっすぐであったかくて 僕はいつも泣きそうになるんだ。 こんなに安心できるところがあるんだって 不安にならなくていい場所があるんだって 涙が零れそうになるんだ。 ちょっとずつ散らばった僕の大事なものたちを ちゃんと見つけて拾い上げて 大事にしてくれる人。 あなたを思って書いた言葉も、たくさん散らばっているよ。 あなたに聞いてほしい言葉も、たくさん散らばっているよ。 あなたに届くようもっと形に

          ×××

          仕事の休憩中、1冊のノートを拾う。 緑色の縁取りのひらがなで『じゆうちょう』と書かれた古ぼけたノート。 具体的には覚えていないけれど、小学生の日記のような感じだった。 読みにくい子供の字。 拙いけれど何となくは読み取れたその日記を書いた人物の日常は暗く重いものだ。

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          ×××

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