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「遊び」を通じて「子ども」に伝える - デザイン思考×音楽「遊びのデザイン」講師対談

こんにちは!
9kidslab -ナインキッズラボは「デザイン」を通じて、クリエイティブ領域を横断し「人生を楽しみながら切り拓く」子どもを育てる、小学生対象のオンラインスクールです。

それを実現しているのは、第一線で活躍する個性豊かな講師陣彼らが作り出す掛け合わせの授業です。

今回のnoteは、「遊びのデザイン」クラスから、「デザイン思考」の井出 武尊さん「音楽」のシーナ アキコさんのオンライン対談の模様をお届けします!
「遊び」を通じて、これからの時代を生きる子ども達にメッセージを伝えるお二人。

9kidslabの魅力や今後の授業の展望についても聞いていきます!

左:「音楽」担当 シーナアキコさん 右:「デザイン思考」担当 井出 武尊さん

「遊び」を通じて「子ども」に伝える

ーお二人の活動のコアな部分かと思いますが、そこに至る経緯や思いを聞かせてください

(シーナさん)
大学では音楽を学んでいましたが、卒業後は教員免許を活かし『遊び』の切り口で子どもと関わろうと学童保育での道を選択しました。

子ども達と過ごしていく中で「伴奏して~!」とお願いされることも多かったのですが、子ども達にとって「歌うこと」は上手に!が目的ではなく、ただただみんなで熱唱しあって、笑い合いながら楽しんで居る姿が印象的でした。

音楽は、音が響きあう時間を共有し、楽しさを共感出来るものなんだ!

大学時代は技術や正確性にばかりフォーカスしてしまい、本来の音楽のあるべき姿から遠ざかっていた事に気付かされた瞬間でした。

(井出さん)
最初に勤めた会社が遊び道具や遊び場を作る会社だったのですが、その出会いはすごく大きかったです。

実はシーナさんともそこで出会いました。会社の同僚がかつてシーナさんと音楽活動をしていて、その人に紹介してもらったのがきっかけです。
それから、僕が作画、シーナさんに音楽をお願いして、一緒にアニメーションを作って、ライブイベントのようなこともしています。

これまでの経験を通じて、見えてきたことは

遊びって楽しい
楽しいから自主的にやるし
楽しいと身につく

遊びたくない時があるというのも含めて遊び

これは大人にも当てはまり、人間の活動として大事な部分だと思っています。

大人は知りたいことがあれば積極的に学んで、時に苦行みたいなことをする事もありますが、本来は楽しいと思って、いつの間にか勝手に身についていることが世の中にたくさんあり、子ども達にとってもそんな時間はすごく大切だと思っています。

座学スタイルの授業も必要だと思う反面、楽しいと思って親しんでいたら、いつの間にか自然と身についていた、という体験がたくさんあっていいと思っています。そういう意味で、「遊び」というのは人間の活動として大事だと思うようになり、それをうまくアウトプットできないかなとよく考えています。

例えば、「これをすると数字を覚えるから、こうして遊びなさい」になってしまうと本末転倒で、楽しく遊んでいた結果、自然とそれが身につくというのが本来ある使い方だと思っています。

「デザイン思考」のクラスの様子:カードゲームの「ルール」という目に見えないものをデザインする

大人の意識が変われば、子どもは簡単に変わる

ーオンライン上で子どもと接する時に意識していることを聞かせてください

(井出さん)
子供は一度ハマると、自ら楽しいことを見出そうとするので、大きく意識していることはありません。それ以上に、自分が話していることは、実は近くにいるであろう保護者の方にお伝えしたいという意識で話しています。子どもは自分の声を自分の力で届けられないから、うまく大人が関与することは大切だと思っています。子どもたちに何かを伝える時に、大人の意識が変われば、子どもも変わるのでは?と思っています。

例えば「積み木は積んで遊ぶべき」と思っている大人がいるとします。子どもが自由な発想で、おままごとの具材に見立てたり、タングラムのように並べて使っていると、大人が「いやいや、そう使うのではないよ」と否定してしまうことがあります。

そのような時に自分ができることは、「こんなふうに使ってもいいんだよ」と考えられる限りのバリエーションを最初から提示することだと思っています。ただ、どんな使い方でもいいわけではなく、一定のフレームの中であれば何をしてもいいということを、子どもたちのそばで聞いている大人に伝えることを意識することがあります。

(シーナさん)
私もそれは意識しています。
子どもはいつの時代ものびのび生きようとしていて、エネルギッシュでいろんなことに挑戦したい筈

でも見守る大人によってそれが叶いにくい環境ができてしまっていることもあると思います。見守る大人の視点がより柔軟になれば、子どもは本来の子どもらしい生き方ができる気がしています。

それも踏まえて授業で気にしていることは、
音楽をはじめ、表現の世界の正解は「ひとつではない」からこそ、敢えて色々な角度の意見を取り上げるようにしています。そうすることで、様々な可能性があるんだと気付けるようにサポートできたらなと思っています。

また、子どもたちは必然性を感じないと興味を持てないと思っていますので、こちらがやりたいことを無配慮に提示するのではなく、導入を丁寧にして、子どもたちの様子を見ながら興味を持った事から出来ることを広げていけるように意識しています。

「音楽」のクラスの様子:子どもたちが自分で楽器「サウンドモンスター」を作り、その後WEBソフトで作曲した曲と合わせて鳴らす

楽しいことに出会える「出会い方」を伝えたい

ー子どもたちにどんなことを伝えていきたいか、聞かせてください

(井出さん)
20年後や30年後、今の子どもたちが世界で活躍する頃には、今自分が伝えていることはただの昔話でしかないと思います。だとしたら、伝えていることが真実だと伝えるより、「こんなふうにしたら楽しいことに出会える」というような「出会い方」の方を伝えたいと思います。逆に言うと、それぐらいしかできないのではないかという気もしています。

(シーナさん)
こちらが『楽しい』と伝え続けていたら、大人が楽しんでいるなら自分もこんな風にやってみたい!と思う子どもも出てくると思います。

「自分も楽しいことを伝えたい。そしてみんなの楽しいことも知りたい」もしくは「これはあなたは好きだったけれど、わたしは興味なかったなー」
そんなシンプルな気付きが毎時間積み重なっていく中で、少しずつ自分を深めていく筈。

なので、自分が楽しいと思うことを、子どもたちに熱を持って発信し続けていこうと思います。

「音楽」のクラスの様子:アプリを使って絵を描き、自分で録音した音をつけて絵本をつくる

デザインからみた音楽・音楽から見たデザインって?

ーお互いのクラスの印象を教えてください。

【デザイン思考⇨音楽】

(井出さん)
シーナさんのクラスは楽しいですよねー!。
それは、9kidslabのクラスだけに当てはまるのではなく、シーナさんがされている活動全てにおいてそう感じます。
新型コロナウィルスでSTAY HOMEになった時に、自分自身ができることを色々考えて、オンライン上で遊ぶことに挑戦してみました。講師として招かれて数百名の子ども達に一方通行で配信してみたり、ZOOMを介して少人数の子ども達と対話しながら遊んでいくなど、「描く」「作る」という表現を中心にした遊びの時間を手探りしながら作り出してみたりしました。

同じ時期にシーナさんが音楽、音の力で一斉に全員が同じ状態で盛り上がる瞬間を作り出されているのを目の当たりにし、その力の偉大さを感じました。
それが音楽の良さでもあるし、「音楽を楽しむ」ところに主軸を置いているシーナさんのポリシー、スタイルみたいなものがそうさせているのだろうと思いました。

【音楽⇨デザイン思考】

(シーナさん)
私は音楽専門家というつもりはなく、色々なカタチで表現をすることが好きな中で「音」を使って行うことが多いだけだなと思っています。

音楽を表現する時、感覚的な側面もとても大切ですが、私は分析して考えることもすごく好きなんです。
井出さんの「色々なものを分解して考え、それをもう一度組み合わせた時にどう言うものができるか」と言うスタイルが、私の音楽制作によく似ていると感じました。

音楽は、限られた音から様々なモチーフや和音が生まれ、それが隣り合ったり、ひとつ飛ばしにしてみたり!?組み合わせ方によってもイメージや伝わり方が全く違う楽曲が出来るのが本当に面白いと思っていますし、ある意味その配列がデザインだなと感じることがあります。

楽譜もある意味デザインの一種ですよね。

そういった意味でも、井出さんのデザイン思考のクラスとのコラボは、デザインという切り口で音楽とも向き合える、とても有意義な時間だと思っています。

(井出さん)
シーナさんと同様、「表現」という部分は大切にしています。
表現において「インプットとアウトプットが循環をすること」がすごく大切です。表現と遊びはとても似ていて、遊びにおいても、一人ないし集団の中で、インプットとアウトプットがずっと起こっていき、どんどん形を変えていくのが「遊び」だとも言えます

おままごとをしていたはずが、遊びの中での出来事に誘引されて、いつの間にかゲームが始まっているなんてこともあるでしょう。

突き詰めて考えると、「遊びのデザイン」という時間を通じて、表現するということと向き合ってもらっているのではないかといつも漠然と考えてます。

「デザイン思考」のクラスの様子:Zoom上でどんな遊びができるかを考える

これからどんな楽しいクラスが待っているのでしょう?

ー今後の授業の展望について聞かせてください。

(井出さん)
次のタームからは、「ZOOMを使ってできる遊び」を考えています。

まずはZOOMを知るところから始め、そこで起こっていることは何なのかを分解する。自分が用意した遊びの体験を通じて、いつの間にかZOOMに理解を深めてもらうクラスを想定しています。
何ができるか現時点ではわかりませんが、分解していくことで何かしらの遊びが作れるのではないかと思っています。

(シーナさん)
タングラムの発想から何かできないかと考えています。
いろいろなモチーフの組み合わせ方で様々なデザインが生まれるタングラムの世界は昔から好きで、アルバムタイトルにしたほどです(笑)。
今回の授業でもぜひ活かしたいと思っています。

またオンラインクラスは、ご家庭によってネット環境や端末がそれぞれ異なりますが、どの端末でも対応できるレッスンにすることが課題だと感じながら進めています。音楽は少しテクノロジーの力に頼ることで、音列や音色で遊べるアプリやサービスも沢山あるので、子どもたちの取り組みやすいものを厳選し使いながら、一緒に作曲にもチャレンジしていこうと思っています。

先日取り上げたChromeのmusic labのサービスは

視覚的に配列したものを音に置き換えたり
逆に、音色を意識して配列したものが視覚的にどんな風になるか楽しんだり

色々な視点で音楽を楽しめて、またデザイン性もあるので、井出さんの授業ともリンクできるのではと思っています。


ナインキッズラボのクラスの様子

9kidslabの魅力

(シーナさん)
子ども達がオンライン上で色々な大人に出会えるいい機会だと思います。私が幼かった頃は、自分の住む街や自転車で行ける範囲が、そしてそこで出会う大人が作る環境が世界の全てでした。

私自身、様々な人に出会う中で『音楽』というものが実は自分の個性であった事に気づかせて貰えたように、出会いの数だけ自分自身の理解も深められる気がしています。

9kidslabのクラスを通じて、色々な専門家に会える機会が沢山あることは素晴らしいと思います。

(井出さん)
時代の影響もあると思うのですが、「いかに変わった大人に出会うか」というか、「多様な生き方に触れられるか」というのは大事だと思います。
「何をしているかわからないけれど、あの人はいつも楽しそう」みたいなことはもっと必要に、そして当たり前になっていくのではないか
と思っています。

9kidslabはオンラインにおけるそういった出会いの場にもなり得ると思います。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

9kidslabは世界中の子ども達、親達が、地域・国を超えて集まり、クリエイティブ領域を横断しながら学び、作り、発表する場をつくります。

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