自分の腕で食べていく。
「自分の腕で食べていく」
バブルがはじけて月日が経ち、その余波で先細りになっていく会社勤めにほとほと嫌気がさした私は、そんな夢を抱いてOLからまるで畑違いのバーテンダーに転職した。
大繁華街を抱える駅そばに建つ小さなホテルのバー。街は大きかったけれど歓楽街と呼べるほどの遊びもなく、大都会と言うほど荒みも洗練されもせず、ただその大きさだけが日々広がっていくような街にそのホテルはあった。バーがあるのは最上階、と言っても夜景より隣のビルがよく見える10階、でもそれが却って隠れ家的