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教育実習日記②〜中学生の君たちと私〜

私は中学生のクラス配属になった。

普段小学生の子どもたちを相手に活動しているから、大したことないだろうと思っていたがこれが大きな間違いだったと後になって気付かされた。

中学生といえど、その辺の中学生よりはるかにレベルを上回るおもちゃ箱をひっくり返したかのような賑わいと騒がしさの彼らを目にして、手に負えないと不安に駆られるスタートを切った。


まず教科書や資料集が手元にない生徒たちにどうやって授業をすればいいか悩まされた。

おまけに「社会の授業は大嫌い!なんのためにするのかわからな〜い」と愚痴をこぼしているものだから、授業のやりずらさをなんとか改善しなければいけないと言う課題にぶちあたった。

それでも生徒たちに“教材を持ってきてね“と声かけをしていたら、
「先生、今日は教科書持ってきたよ!」
「今日はどんなこと勉強するの⁈誰が出てくるの?」
なんて言ってきてくれる生徒が増えた。

そしてクラス全員が教科書と資料集を手元に用意して授業に臨んでくれて、発言も全然しなかったのに答えてくれるようになっていった。

授業をみんなで作る雰囲気が出来上がって、社会科が大嫌いだと言い放っていた生徒たちがこんなにも前向きに頑張ってくれたことがとても嬉しかった。




もう一つ嬉しかったのは、なかなか学校に来れなかった生徒も揃ってクラス全員の顔が見れたことだ。

友達も先生もいるけれど、学校にくること自体がなかなか難しい生徒だった。

私も気になっていたから、見かけるたびにちょくちょく声をかけてみては、たわいない話をしていたりした。

最終日にこっそり話に来てくれたあの子は少し垢抜けて何かが吹っ切れたような空気を纏っていた。

「先生が必ず声をかけてくれたのが嬉しかったし、学校に行ってみようと思えるようになりました。これから少しづついろんなことを自分のペースで頑張ってみようと思います。先生のおかげです、ありがとうございます」とゆっくり話してくれた彼女に私まで勇気づけられた気がする。

初めの1週間はなかなか話す時間もないし、声をかけるタイミングもわからないまま過ぎてしまった。

2週間目には体育祭があり、そこで初めて生徒たちと一緒に話したり、写真を撮ってくださいと言われたりグッと距離が縮まった気がする。

イベントがあるとかしこまった日常から脱却できるから、自然な生徒たちの姿に触れることができて嬉しかった。

次の授業は何があるの?
好きな先生・教科があったら教えて〜!
流行っていることはある?
お昼は何食べた?
放課後は部活があるの?
日曜日は何してた?

などなど学校に関わることから普段の生徒の様子などをそれとなく聞き出してみると、いろいろなことを教えてくれた。

生徒自身が自分のことを知ってほしいと思ってくれるだけでなく、「先生はどんなことをしているの?」って質問してくれるようになってからは、なんとなく壁に感じていたよそよそしさが消えていった。

そこからラスト3週間目はあっという間に過ぎていってしまった。

私が授業準備や見学で追われている中、休み時間に迎えにきてくれる生徒たち・ホームルームの前後や放課後・掃除の時間にたくさん話しかけてくれて、いい意味で離してくれない可愛い生徒たちにどれだけ気持ちが救われたことか計り知れない。


最終日には朝からたくさんのプレゼントを貰った。

貰うだけで泣きそうになっていたから内心は授業どころじゃなかったのはここだけの話にしておこう。

先生のような素敵で優しい教師になりたいです
先生と過ごした時間がものすごく楽しかった
結婚式呼んでください、ウエディングドレス姿見たい!
先生の笑顔が大好き、かわいいからずっと見ていたい…
悲しいことや辛いことがあったら手紙を読み返してくださいね
お話ができて嬉しかったし、また会いたいです。文化祭に来てください!
わかりやすくて丁寧な授業のおかげで楽しくなって、嫌いな社会が大好きになりました
先生が声をかけてくれたから学校に行こうと思えました
また先生の授業が受けたいです、帰ってきてくださいね

などなど数え切れないくらいの言葉を生徒たちから受け取ることができた。

色紙・お手紙・イラスト・手作りのプレゼントなど彼ら・彼女らから貰ったもの全てが私の宝物になった。

見返すたびに思い出して涙が込み上げてくる。

ほんのわずかな時間しか過ごすことが出来なかったのに、私の言葉や行動をちゃんと覚えていてくれて、生徒の心の片隅に残ってくれたことが何より嬉しかった。

“先生のような人になりたい“と言ってくれたあの子たちは、きっと私よりも素敵な人になれると思うし、これから出会う多くの人たちにもいい影響を与えてくれると信じている。

“「人とのつながり」を大切にしてね“と私が伝えたメッセージが少しでも生徒たちの心のどこかに生きていきますように。

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