小説 『真冬の薄明に手を伸ばして』
第一章「水色のまどろみ」
冬の乾いた光が机に降り注ぐ。窓際の席は否が応でもこのうっとおしい日差しがまとわりついてくるのが煩わしい。昼休み、私は目を細めながらスマホの画面を見下ろし、埃を払うような適当さで指を滑らせて、SNSのタイムラインをぼんやり眺める。音楽、ゲーム、美容、ゴシップ、あらゆる情報が私の網膜を通過していくが、そのほとんどはいつの間にか脳のどこかで消えていく。しばらく眺めてみるも、小さくため息を吐き画面を閉じた。どうでもいいノイズで頭の中を濁し、思考が曖昧になる