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小説『コーヒーと祈り』

小説「コーヒーと祈り」
三月のパンタシア「たべてあげる」原案小説

 
 彼と一緒に暮らすようになって、もうすぐ2年が経とうとしている。
 朝はきまって手回しのミルで豆を挽く。私たちはコーヒーを愛している。
 濃い風味を出すためしっかりとハンドルを回し、細挽きにする。ガリガリガリと小気味のいい音が鳴るのを聞きながら、根気強く回す。
 やがてコーヒー豆のいい香りがふわりと漂ってきて、まだ眠気をまとう脳を徐々に目覚めさせてくれる。
 とくとくお湯を注ぎドリップをはじめると、彼が重たげなまぶたをこすりながら起きてきた。

「いい匂いだね」

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7,922字

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