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小説『青い春の少女たち』

小説「青い春の少女たち」
三月のパンタシア「醒めないで、青春」原案小説


 校舎裏には私たちだけしかいなかった。
 淡く色づく桜の木の下に腰を下ろす。綺麗に開いている花びらの隙間から陽光が漏れ、木陰にいる私たちのまぶたに滑り落ちた。校舎やグラウンドのほうからは、卒業式を終えたばかりの生徒たちのにぎやかなはしゃぎ声が響いている。
 高校を卒業したら、私たちは一緒に“あること”をする約束をしていた。

「桜の木のところでやろうよ」

 卒業式の前日、そう秘密めいた唇で言ったのは彼女だった。
 突然で、驚いた。そういう思い切ったことを提案するのはたいてい私で、「しょうがないなぁ」って笑って頷いてくれるのが彼女。
 その子が、期待と緊張を混ぜ込んだ潤んだ瞳で言い出してきたのだ。

「いいけど、いいの?」

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