見出し画像

夏目漱石『それから』の書評をやりました。ラストで泣けるどんでん返し。

YouTube 「百年経っても読まれる小説の書き方」

https://youtu.be/jA-di45lGrk


この動画の台本を公開

『三四郎』1908年 115年前 486枚
『それから』1909年 502枚 184,000字
『門』1910年 414枚
 
毎年これだけ書けるのは偉い。
 
『こころ』1914年 477枚 は三部作に入っていないけど、関連はある。
夏目漱石のなにがそんなに偉大なのか? 
1867年〈慶応3年〉- 1916年〈大正5年〉
 
結構笑える。名場面、忘れられないシーン。精神に直接届く。小説の教科書。しかし作品はいつまでも新鮮で、何度読んでも刺激がある。内容は実に不道徳で、なぜ学校で『こころ』を教えるのか分からない。双極性障害だったと言われる。『こころ』を含め、全て新聞小説だったことが面白い。プロットはどこまで創って書いたのだろう? 新聞のタイトルが「心 先生の遺書」だったから、きっと最後までプロットはあった。一般の人が面白く読めるようになっている。ラストシーンでハイを貰った。先へ先へ読ませる手腕。『こころ』ゲイの話。友達の好きな人と結婚する。親友の奥さんをとる。不道徳な小説。最後に密告の手紙が届く。『禁色』と同じ。門野はシェイクスピアの道化。ファーストシーンとラストシーンが繋がる、素晴らしい表現。目が覚めるシーンと眠りにつくシーンが多い。
 
 
日本文学
森鷗外『舞姫』1890年
北村透谷『内部生命論』1893年
泉鏡花『高野聖』1900年
芥川龍之介『歯車』1927年
 
するといつか道を間違へ、青山斎場の前へ出てしまつた。それは彼是かれこれ十年前にあつた夏目先生の告別式以来、一度も僕は門の前さへ通つたことのない建物だつた。
 
イギリス文学
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』1865年
エミリー・ブロンテ『嵐が丘』1847年
アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズシリーズ』1887年
アガサ・クリスティ『オリエント急行殺人事件』1934年
 
双極性障害のセレブ
1810年 ロベルト・シューマン 作曲家
1853年 フィンセント・ファン・ゴッホ 画家
1867年 夏目漱石 小説家
1882年 ヴァージニア・ウルフ 小説家、詩人
1899年 アーネスト・ヘミングウェイ
1913年 ヴィヴィアン・リー 女優
1927年 北杜夫 小説家、医師
1967年 カート・コバーン ミュージシャン
 
青空文庫より 原文からそのままの引用は少ない。ルビはコピーできない。
ページ数は新潮文庫昭和62年発行を参照
 誰か慌あわただしく門前を馳かけて行く足音がした時、代助だいすけの頭の中には、大きな俎下駄まないたげたが空くうから、ぶら下っていた。けれども、その俎下駄は、足音の遠退とおのくに従って、すうと頭から抜け出して消えてしまった。そうして眼が覚めた。
 枕元まくらもとを見ると、八重の椿つばきが一輪畳の上に落ちている。代助は昨夕ゆうべ床の中で慥たしかにこの花の落ちる音を聞いた。彼の耳には、それが護謨毬ゴムまりを天井裏から投げ付けた程に響いた。夜が更ふけて、四隣あたりが静かな所為せいかとも思ったが、念のため、右の手を心臓の上に載せて、肋あばらのはずれに正しく中あたる血の音を確かめながら眠ねむりに就いた。
 ぼんやりして、少時しばらく、赤ん坊の頭程もある大きな花の色を見詰めていた彼は、急に思い出した様に、寐ねながら胸の上に手を当てて、又心臓の鼓動を検し始めた。p5
 
ラストとの関連

翻訳できない描写
赤ん坊の頭程もある大きな花の色を見詰めていた
The color of the flower 色が先ではいけない
The red colored flowerこの花は赤ではない。色は象徴である。色を装飾しない。
The flower’s color色が花に従属している。
The flower had a red color 花が主体になっている。
漱石は赤いということは全く言ってない。しかしこの椿は赤に違いないという風に書いている。赤ん坊の頭?
 
大きな椿 八重の椿
 
 
夢、花に関係がある


参考にしてください。 再生リスト「作家論」


芥川龍之介の天才


#夏目漱石 #それから #小説の書き方 #創作論 #小説の書き方 #書評 #読書感想文 #NatsumeSōseki #Sorekara #AndThen #Japanesenovel #bookreview #小説家 #描写 #心理描写 #暗喩 #比喩 #文豪

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?