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怪談/構造/HARBS/バームクーヘン

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  • 恋するソニード セルフ感想文

    自作漫画『恋するソニード』の執筆意図・登場人物に対する考え等を私の話を交えつつ書いていきます。

最近の記事

1章:よい演奏って何? 恋するソニードセルフ感想文

!注意喚起! ・作者による解説です。 これがすべてではないし、作者には見えない部分・知れない部分もあると思いますが、メタ的なお話や作者個人のお話が多いと思います。作者のことは考えたくないよという方にはあまり勧めないです。 ・結果として、現役の頃~現在に至るまでの思い出話も多少入ると思います。なるべく個人が特定できないようにはしますし特定の個人について語る気はないですが、「自分のこと?」等不安になってしまう人にも勧めないです。 1話『再生のティンク』 本編とあらすじweb版

    • 0章:執筆に至る経緯 恋するソニードセルフ感想文

      前置きこんにちは。コスキンの振り込みはお済みですか。フグです。 青春フォルクローレ漫画『恋するソニード』(通称:恋ソニ)を発表してから4年がたちます。時の流れは速すぎますね。 ↓ 本編です。会員登録等なしで読めます。 私はふだん、自分の演奏とか漫画とかをそこまで振り返らない方です。高校生の時に描いた漫画を読み返して「展開が読めない!!」と無邪気に思ったことがあるくらいです。 そのわりに、恋ソニのことは全然忘れられないです。毎日考えてます。 毎回個人のお話を書くときは

      • 映画雑記『のび太の小宇宙戦争』

        ただの書き散らしです。ご容赦ください。 --------------------------------------------- ○せっかく出木杉くんが出て来たのに、パピが絡んでからパピ包囲網に加わることもなく、すぐに退場してしまった……出木杉くんとドラコルルの夢の対決が見たかったわ(!?) 映画の邪魔になるようなポンコツなのはわかってても、出木杉くんより先に呼ばれてるのはのび太ってとこから関係がよく伝わって来ますよね。 出木杉くんの知能とスネ夫の財力(スネ吉兄さんゆずり

        • 歌詞感想文・和訳『September in the rain』やまない雨に思いを寄せる

          September in the Rainについて 1937年に映画音楽として作られた曲です。サラ・ヴォーンなどにカバーされ、現在ではジャズ・スタンダードとして広く知られています。  以下のリンクはジョー・スタッフォード版です。歌声は艶っぽくて重厚なのですが、ゆるやかにスウィングするパーカス運びが軽快でもあり、ぽつぽつと降る雨の情景を思い起こします。 やまない雨 最初に9月の景色を思い出すときに出てくるフレーズが です。  ほかの対応する箇所は"That Septembe

        1章:よい演奏って何? 恋するソニードセルフ感想文

        • 0章:執筆に至る経緯 恋するソニードセルフ感想文

        • 映画雑記『のび太の小宇宙戦争』

        • 歌詞感想文・和訳『September in the rain』やまない雨に思いを寄せる

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        • 恋するソニード セルフ感想文
          2本

        記事

          スローモーションで歌え

           スローモーションで歌え。  スローモーションで歌いましょう。  定期的に言っています。  たとえばテンポ140くらいの曲。100くらいでねっとり歌ってみましょう。メトロノームを使うとなお良いです。  すると、歌の解像度がぐわっと上がります。一手一手考えながら体を動かせるからですね。引き伸ばすと、自分の声のいいとこも悪いとこもわかりやすくなっちゃいます。 「ここの巻き舌は一拍待ってからのほうがよい」 「この音からこの音に上がろうとすると音量が自然と減るから、強めに行

          スローモーションで歌え

          世界観

           近頃は、便利屋のような仕事をしている。配属された部署の仕事が臨時的に少なくなっているため、他部署を手伝っているのだ。仕事を一つ覚えるたびに点と線がつながり、マイルストーンやアルゴリズムが見えるようになってくる。倍率を頭の中で変えて、状況をマクロに見たりミクロに見たりするのが好きだ。  俯瞰癖は物心ついた頃からある。幼稚園の頃の、今日は何があった? と親に聞かれてその日の友達との交流をつぶさに答える習慣を未だに続けているせいだろうか。  どう世界を見ているか、という問いに対

          世界観

          人に期待することについて

           人に期待する方か、しない方か、と言われれば、しない方だと思う。  周りに人が少ない思春期を過ごしてきたので、人と協力するという発想が希薄である。コンフント(フォルクの演奏グループ)リーダーになればフルスコアを作って共有し、日程調整や場所の確保も徹底してやる。高校時代、演劇部が何度も崩壊する中では、役者以外を全てやった舞台や、役者も込みで全てやった舞台を経験している。デートプランを考えるのが上手いとよく言われる。本番を踏み倒された経験などを考慮に入れずとも、自分で用意する方

          人に期待することについて

          恋愛についての現在の所感

           24歳にもなると、ろくな恋愛の話を聞かなくなった。  マッチングアプリを嗜む友人たちと話す機会があった。出会った東大男に「お茶大は男を不快にさせない程よい学歴だ」と言われた、という話があがり、本当にそんな奴がいるのかと心底驚いてしまった。そんな友人たちも出会った男たちを属する企業名で呼ぶなどしていた。他の情報が少ないとなるとどうしても地位が選好ルールの優位に立ってしまうのだろう。また、すぐ出会えて脈がなければ次、となると選ぶ側としての意識が強化されて、どこまでも上から目線

          恋愛についての現在の所感

          人造物嗜好症(と、人造物嗜好症的『オズの魔法使』レビュー)

           先日、高名な絵本作家が逝去した。彼の代表作は仕掛け絵本だった。各々がその絵本の記憶を語る中で、私も自分の子供の頃の仕掛け絵本の思い出を何となく思い出していた。  結論から言ってしまえば、幼少期の私は仕掛け絵本を通常絵本より好いているわけではなかった。  仕掛けをすべて見つけてしまうと、やることがなかった。二度も草むらから動物を引っ張り出すことはない。書いていて気づいたけれど、引っ張り出すタイプの仕掛けは戻すときに紙が曲がりそうでイヤだな。いつだって散らかすほうが簡単で、片付

          人造物嗜好症(と、人造物嗜好症的『オズの魔法使』レビュー)

          イマジナリー知人

           知人のタルパみたいなのを作る癖がある。  たとえばファミレスでメニューを開くと、前に知人とそうした時にどんな会話をしたかを思い出す。そういうことを続けていると、別のファミレスでメニューを開いても相手が何を選ぶかなんとなく考えてしまう。場合によっては考える前に直感的に架空の相手のセリフが脳に流れ込んでくる気がする。日常のありとあらゆる局面でそんなことを無意識にやってしまう。単なる予測変換の集合だったものが、次第にニューラルネットワークを経た出力に変わっていくような。  頻繁

          イマジナリー知人

          榎本博明『〈ほんとうの自分〉の作り方』感想② 自己の確立・安定には悩み相談

          前回までのあらすじ・"ありのままの自分"を"自分の納得する自己物語にしたがって生きる自分"と定義する ・生きづらいときはこれまでの自己物語を書き換え、都合がよくて生きやすい自己物語を採用してみよう "自己物語"を確立するには 自分が何者であるかわからない、果たすべき役割を定められないといういわゆる"アイデンティティの拡散"は、本書の文脈では自己物語が不安定になっている状態を指す。  自分の可能性を限定するのは、一見ネガティブなことのようで実は生きやすい状態ともいえる。あ

          榎本博明『〈ほんとうの自分〉の作り方』感想② 自己の確立・安定には悩み相談

          榎本博明『〈ほんとうの自分〉の作り方』感想① "ありのままの自分"なんて存在しない

          前書き 私はオースターのNY三部作を溺愛している。これらは端的に言えば、自分と他人の境界がなくなっていくさまを探偵小説仕立てで書いた作品群である。  これは現実の世界でもしばしば起こりうることで、人は赤の他人に影響を受けて自殺さえしてしまう。1903年には投身自殺した青年・藤村操の遺書が反響を呼び、多くの自殺者が現れたことで彼が身を投げた華厳の滝が自殺の名所となってしまったという話もある(自殺の連鎖現象は『若きウェルテルの悩み』の主人公からとって"ウェルテル効果"と呼ばれる

          榎本博明『〈ほんとうの自分〉の作り方』感想① "ありのままの自分"なんて存在しない

          『時間のかかる彫刻』感想 理屈屋の救済

          前書き 私は考えるのが好きだ。なんにしたって戦略を立てたり、分析したりしてみたい。本質を知りたい。  その一方で、考えることに囚われてしまうことがある。多くの要因を意識できるということは、必要以上に多くのものに縛られるということでもある。暗闇の中を怪我をしないように進もうとして、ありもしない障害物を避けて必要以上に身を縮こまらせているようだ。そのうちどこにも行けなくなってしまいそうな恐怖すら感じる。  本書のヒロインの言葉に、思わず膝を打った。 「つまりね。あなたが熱いスト

          『時間のかかる彫刻』感想 理屈屋の救済

          音楽と感情と理性について

           高校生ぐらいまで、自分は音楽を奉じる人間ではないと思っていた。耳に物を入れていいときは常にイヤホンを入れて何かを聴いていたし、音楽の授業も取れるだけ取っていたが、それでも。  だから、しばしば親や学友に「感情がこもっていない」「(恋の歌なのに)恋をしているように見えない」と言われても、足掻くこともせず、真意を掴むこともできなかったのである。  今日は久しぶりにカラオケに行った。フリータイムで6時間。なんとなく当時好きだった曲を歌って、高校時代を思い出した。  今の私は歌

          音楽と感情と理性について

          一向に長門を理解できないキョン 映画『涼宮ハルヒの消失』感想(ネタバレあり)

          映画『涼宮ハルヒの消失』を観てきた。 涼宮ハルヒシリーズは中学生時代に夢中になって読んでいたものの、細かい展開はほとんど記憶から落ちており、『消失』も先の展開が読めず再度ワクワクを体験することができた。 また、中学生時代は特になにも思わなかった朝比奈さん(大)に感情移入するようになったことにも時間の流れを感じ、歳を重ねるごとに名作を見直すありがたみを改めて知った。 個人的に気になったことやどうしても言いたいことをまとめておく。 長門とキョンのすれ違いこの映画では、キョン

          一向に長門を理解できないキョン 映画『涼宮ハルヒの消失』感想(ネタバレあり)

          祖母の遺品整理をした話

          先日、祖母が急逝した。 時勢を考慮して、近所の親戚だけしか集まらない簡単な式を執り行った。式については特に掘り下げない。故人についても。 服用したばかりの薬の副作用で健康状態を損ね、飲食もままならなかった私は、式に先駆けて実家に戻ることにした。そこで目にしたのは、実家の隣の祖母の家で大量の有象無象をゴミ袋に詰める母と伯父の兄妹である。 伯父と父は仲が悪く、弟はただただクソ野郎なので何も手伝わない。他に若い親族はいない。兄妹二人にはあんまり大きい家と多すぎるゴミの山を見て

          祖母の遺品整理をした話