「爪、きれいなほうだね」
ネイルをしても不思議ではない昨今、いまだにネイリストにお世話になったことがなかった。爪の手入れに興味がわいたことがないわけではなかったが、ネイルカラーを塗ったあとの蓋をされて呼吸ができなくなるような閉塞感がどうにも苦手でたまらなかった。
他人のきれいなつけ爪を眺めながら「きれいだね」「新しい色なの?」「かわいいね」「テンション上がりそう」「いいねえ」と声をかけるだけだった。
うらやましい。
そう思わない感覚がないでもなかった。ただ、わたしにとってはネイルをすることはおしゃれに