転地療養

引きこもりと無職期間が長いせいか、見かねた周囲の人から声をかけてもらえるのがありがたいやら重いやら。
引きこもりと言っても全く外に出られないわけではないし、話ができないわけではない。友人からの誘いがあれば出かけられるけれども、そうかといって自分から出かけることはしない。持病の花粉症で病院に行く、家の庭に出る。そのくらい。

お金がないと出かけなくなって、誘いも断りがちになる。お金使わないことだったらいくらでも付き合うけれど、使うならちょっと……というわけだ。
お金がないから断るというのも変な話だが事実ではあるし、そういえばお金がなくてもいい遊びって大人はほとんどしないのだな、なんてことに思い至った。

そんななか、友人からは「引っ越しの手伝いをしてほしい。泊まりで。もちろん滞在費用は持つ」とか「防犯のために一時的に一緒に住んでほしい。滞在中にかかる費用はこっちで持つので」とか誘いがぽつぽつとあって、おかげさまで生きている。
実家で引きこもっていると昼夜逆転するわ、風呂へ入る余裕もなくなるわ、こんなんじゃ生きてる意味なさそうなにやってるんだろうと虚無に浸ることも多いわでいいことがないのだけれど、友人からの依頼で住み込みでなにかを手伝わせてもらうことでちょっとだけ社会的生活を取り戻していた。

つい先日も、友人の家にしばらく滞在していた。滞在費用を持ってもらうということでほんの少しの罪悪感から最初に依頼された以外のこともして、精神安定をはかっていた。生活も他者の家ということでそのルールに従うことにより強制的に健康的な生活を送れていた。ありがたい話だ。

だれかに頼まれるとがんばってしまうし案外がんばれてしまうので、自分の為にはがんばれないのかもしれないなあと思った。一時的にしかがんばらなくて済んでいるからかもしれないけれど。
ダメになりかけているところで掬い上げてもらったので、そろそろやる気を取り戻さないといけない。

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