※もくれん※

児童発達支援通園施設に保育士として勤めています。

※もくれん※

児童発達支援通園施設に保育士として勤めています。

最近の記事

保育士の私が、子どもたちに教えてもらったこと…ここは安心できる遊ぶ場所と半月かけてわかったよ

*名前は仮名です。 ユウジ君は年少の男の子。今年から入園しました。毎日体を精一杯使って泣きながら、帰りたいと主張しているようでした。シャボン玉やセラピーボールでふっと帰りたい気持ちを忘れるようですが、すぐに思い出し、また泣いて全身で表現します。 担任は3対1の配置。ユウジ君と関わる他に、他の子供にも目や手を配らなければならないので園長先生も一緒に見ていました。 そういう日々が過ぎて行くうちに、ふと気づくとユウジ君の表情に穏やかな様子が見られたように感じました。まだまだ思い

    • 保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと…(そうだった!私ママから離れていたんだ(涙))

      ※名前は仮名です。 ミホさんは年少の女の子。今月から園に入園してきました。 この日は数日の慣らし保育を経て通常登園1日目。初めて我が子が手を離れるとあって、お母さんはとても心配をしているようす。『うちの子、大丈夫でしょうか?』『泣いたら迎えに来た方がいいですか?』と落ち着かない様子でした。私たちは『大丈夫ですよ』と話しながら、ミホさんに見つからないよう気をつけながらようすを見守ることができることを提案しました。 お母さんはホッとされた表情になり、離れる決意が固まったようです。

      • 保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(新年度、コウジ君ロス)

        *名前は仮名です。 『なんだか毎朝元気がないんです。』登園の際、ミチオ君のお母さんが話されました。新年度が始まり2日目のことでした。私も同じことを感じていました。登園したばかりの10分〜20分くらいは静かなミチオ君です。 しばらくすると子ども同士の遊びでは笑顔になるし、給食もよく食べているので体調が悪いわけではなさそうだけど…と、様子を見ていました。 ある日、みんなで集まり絵本を読みきかせしていると、ミチオ君の表情が曇っていることに気づきました。新入園児が楽しめるように選ん

        • 保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと…(入園・進級式)

          今年は入園式の頃に合わせて桜の開花が宣言されました。新入園児は新しい場所に緊張の表情。中には泣いてしまったり、会場に入らなかったりする子どもさんもいました。歌が始まると雰囲気が和らぎ、泣いていた子どもも泣き止みました。そんな我が子を穏やかな笑顔で見守る保護者の方も、心の中は期待と不安でいっぱいなのかもしれません。 さて一方、昨年も通っていた在園児ですが、違う意味で戸惑っているようでした。卒園式は卒園児のみの参加なのでしばらくお休みが続いたあと登園すると先生たちがたくさん玄関

        保育士の私が、子どもたちに教えてもらったこと…ここは安心できる遊ぶ場所と半月かけてわかったよ

          保育士の私が、子供たちに教えてもらったこと(絵本が子供の心を揺らす瞬間…長 新太さん《にゅ〜するする》)

          *名前は仮名です。 レン君は年長の男の子ASDの診断を受けています。コミュニケーションは主に大人の手を引っ張る(クレーン)と、『あー、あー』等の発声です。私たちは具体的な物や絵カードを見せながら伝えています。 ある日、午後の活動の前に絵本を読みました。題名は、《にゅ〜するする》。独特な筆のタッチが目を惹く長 新太さんの作品です。 絵本を目で捉え、集中して内容を受け止められるよう、事前にその子のマークの貼ってある椅子に座るよう呼びかけて読み始めました。 絵本のストーリー

          保育士の私が、子供たちに教えてもらったこと(絵本が子供の心を揺らす瞬間…長 新太さん《にゅ〜するする》)

          保育士の私が子供たちから教えてもらったこと(卒園していく子供たちへ)

          *名前は仮名です。 卒園式が近づいてきました。今年も子供たちが卒園していきます。 マサミさんは手繋ぎでゆっくり歩くことが楽しくなりました。 ユウキ君は椅子に座っていられるようになりました。 トモキ君は自分の気持ちをことばを組み立てて相手に伝わるように話ができました。 ユメちゃんは大きな声で気持ちを表現できるようになりました。 いろいろな《できること》があり、成長したと思います。そして、何より、その【見える成長】があっても無くても子供たちの安心できる大人がそばにいること。

          保育士の私が子供たちから教えてもらったこと(卒園していく子供たちへ)

          保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(隣のクラスに入ったら、今のクラスが《おうち》になったよ)

          *名前は仮名です。 エリちゃんは年少の女の子。小さいけど元気いっぱい。ダンスが大好きで、音楽が聞こえると、ニコニコと体を動かしています。 園庭ではよく野菜の皮などを使って砂場でお料理ごっこをしています。小さくて可愛いので、ほかの子供たちからもよく声をかけてもらっています。園では笑顔が可愛いエリちゃんですが、家ではイヤということが多く、時にはものを投げたりお母さんの足を蹴ったりしているとの事…家では発散しているのかな…そう返しつつも想像がつきませんでした。 先日、来年度の

          保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(隣のクラスに入ったら、今のクラスが《おうち》になったよ)

          保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと…(先生と一緒ならやってみるけど…)

          ※名前は仮名です。 タクトくんとマサミチくんは年中の男の子。タクトくんはミニカー・マサミチくんはお絵描きが大好きです。 保育士と1対1で過ごす時間があるのですが、別空間で行う保育士と関わるその時間帯は2人ともそれぞれの遊びに集中しています。 先日はマサミチくんが紐通し遊びに挑戦。できそうでできない場面もありましたが、最後までやり通しました。 タクトくんは紙コップに隠れている小さな人形がどこに入っているか当てるゲームで、とてもよく見ていてあっさりと正解。先生もやってみて…と

          保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと…(先生と一緒ならやってみるけど…)

          保育士の私が、子どもから教えてもらったこと…(時間の捉え方)

          *名前は仮名です。 ミズキさんは年長の女の子。ASDの診断が出ています。絵を描いたり粘土などを使って作ったりするのが大好きで、実際の作品も『なるほど!』という発想のものがたくさんあり、私はその様子を見ているのが好きです。没頭するあまり、時間で切り替えられないため、終わりにするよう声をかけると『いや〜』と言って寝転んで動かなくなります。その際、失尿することもしばしば。部屋の隅にはバケツと雑巾のセットが置いてあり、素早い対応に備えていました。 ある日、粘土遊びをしていて、ドー

          保育士の私が、子どもから教えてもらったこと…(時間の捉え方)

          保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(僕を見て)

          *名前は仮名です。 ソウタ君は年中の男の子。自閉症スペクトラムと診断を受けています。小柄で身のこなしが素早く、追いかけるのはもちろん、目で追うのもなかなか大変なところがあります。時々、他の子を押したり、叩いたりするので目が離せません。担任の先生が必ず1対1でついて見守っていました。 ある日、私はソウタ君のクラスにフォローとして入る機会がありました。担任が1人お休みで、日ごろ関わりの少ない私がいることで変化を感じたようすのソウタ君、少し表情がこわばっているように感じました。

          保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(僕を見て)

          保育士の私が子どもたちに教えてもらったこと…(今回は保護者)

          *名前は仮名です。 アダチさんという女性とは、仕事とは別のサークル活動で知り合いました。セミロングの髪の毛をきちっと一つに束ねた清潔感のある人。ユーモアを入れながらお話をするため、その時の話を私はよく覚えています。 アダチさんの子どもさんはASDと診断されている、当時5年生の男の子でした。幼児期は私の勤めている園に通っていたそうで、その話をすると『そういえば…』と、園に通っていた時のある出来事を話してくださいました。 担任との面談で、『子どもはお母さんを選んで生まれてく

          保育士の私が子どもたちに教えてもらったこと…(今回は保護者)

          保育士の私が子どもたちに教えてもらったこと…(困ったから走るんだ)

          *名前は仮名です。 ヨシキ君はダウン症の年中の男の子。年度途中にお父さんの仕事の都合で転園してきました。 先生に追いかけてもらうのが楽しくて、よく保育士の手を優しくトントンとたたき、『待てぃ』と言いながら逃げていきます。『走るのが楽しいよ』と言っているかのように可愛らしい笑顔を見せながら…。 しかし、トイレから出て手を洗う前にも、下駄箱に来た時にも、ヨシキ君は走り出します。その時は振り向いて表情を見せず(もちろん保育士を誘わず)、真っ直ぐに走っていくのです。そんなヨシキ君を

          保育士の私が子どもたちに教えてもらったこと…(困ったから走るんだ)

          保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(僕、楽器は嫌いって言いたかった)

          ※名前は仮名です。 トモアキ君は年中の男の子。いつも元気いっぱいのワンパクボーイ…ではないですが、まぁまぁ活発な子です。 午後のドッチボールではけっこう目立つ存在でした。 さて、当時の保育園ではたくさん行事があって、子どもたちは季節を感じたりする機会はとても多かったと思います。端午の節句・梅雨・夏キャンプ・十五夜、地域の祭り(盆踊り)・秋刀魚を焼く会もありました。 冬のお楽しみといえばクリスマス会なのですが、その前に生活発表会という大イベントがあり、保護者の皆さんの前でダ

          保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(僕、楽器は嫌いって言いたかった)

          保育士の私が、子どもから教えてもらったこと…(ことばにできない)

          ※名前は仮名です。  ヒロシ君は年中の男の子。時々ポカっとお友達を叩いたり、しつこく付きまとうようなことがあり、少し嫌がられている面もある子でした。  ある日、数人の男の子がヒロシ君を追い払うような様子だったので、注意して見ていました。すると、男の子たちの輪の中に少し強引に入ろうとしているヒロシ君がいました。仲立ちとして間に入り、『ヒロシ君は一緒に遊びたかったんだよね』と話したところ、ヒロシ君は突然泣き出しました。これには男の子たちも驚いたようで『オレっち、いじめてないよ〜

          保育士の私が、子どもから教えてもらったこと…(ことばにできない)

          保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと(その6… 砂場でシャベル)

          ※名前は仮名です。 ミコさんは自閉スペクトラム症の女の子。笑顔がとっても可愛らしいです。目の前で物の位置が変わることが不安で、嫌がって大きなブロックなども顔を真っ赤にして元の位置に戻そうとしたり、以前の配置を覚えていて、その設定にしようとしています。その度に『ミコさん、こっちで遊ぼう〜』など声をかけ、他のものに興味を持ってもらいたいなぁと思っています。 ある日、ミコさんは珍しく砂場にやってきました。…というのも砂に触るのが苦手で普段は近寄らないからです。砂だけでなく粘土やス

          保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと(その6… 砂場でシャベル)

          保育士の私が子どもから教えてもらったこと…その5(だから遊びたいんだ!)

          ※名前は仮名です。  トモキ君は年長の元気いっぱいな男の子です。友達も多く、毎日活発に遊んでいます。  運動会が終わる頃か…友達、特にカズヤ君と一緒に遊びたがるようになりました。ところが、カズヤ君はトモキ君が近づくと逃げたり、仲間はずれにしたり、何故かトモキ君が悲しむようなことを続けています。トモキ君は泣いてしまうこともたびたびありました。泣いているトモキ君を、カズヤ君は黙って見ていました。  保育士はカズヤ君にトモキ君と遊んで、と提案してみましたが、応じません。同じくトモ

          保育士の私が子どもから教えてもらったこと…その5(だから遊びたいんだ!)