保育士の私が、子どもから教えてもらったこと…(ことばにできない)

※名前は仮名です。

 ヒロシ君は年中の男の子。時々ポカっとお友達を叩いたり、しつこく付きまとうようなことがあり、少し嫌がられている面もある子でした。
 ある日、数人の男の子がヒロシ君を追い払うような様子だったので、注意して見ていました。すると、男の子たちの輪の中に少し強引に入ろうとしているヒロシ君がいました。仲立ちとして間に入り、『ヒロシ君は一緒に遊びたかったんだよね』と話したところ、ヒロシ君は突然泣き出しました。これには男の子たちも驚いたようで『オレっち、いじめてないよ〜』と向こうのほうへ走っていってしまいました。ヒロシ君はずいぶんと長い間泣いていたので、肩をなでながら落ち着くのを待っていました。
 『一緒に遊ぼう』簡単なことばですが、コミュニケーション言語として場面にあったものを使えるようになるには語彙の増加と場面にあう使用経験の両方が必要で、年中さんの中にはまだまだ難しい子も少なくありません。でも、お友達を意識して、一緒に過ごしたい社会性の育ちの芽生えもあります。このことばにできないもどかしさが、叩いたり強引な態度に出たり…といった行動に繋がりやすいかもしれないと考えます。

ヒロシ君から教えてもらったこと…自分の思いはすぐにことばにできないや。代わりに言ってくれて嬉しくて泣いちゃった。

…次の日から、私のそばからヒロシ君は離れようとしなくなりました。少しでも離れると泣きました。やがて、ことばを使って友達とやり取りしながら遊べるようになると、スッと離れていきました。

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