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保育士の私が子どもたちから教えてもらったこと…(隣のクラスに入ったら、今のクラスが《おうち》になったよ)

*名前は仮名です。

エリちゃんは年少の女の子。小さいけど元気いっぱい。ダンスが大好きで、音楽が聞こえると、ニコニコと体を動かしています。

園庭ではよく野菜の皮などを使って砂場でお料理ごっこをしています。小さくて可愛いので、ほかの子供たちからもよく声をかけてもらっています。園では笑顔が可愛いエリちゃんですが、家ではイヤということが多く、時にはものを投げたりお母さんの足を蹴ったりしているとの事…家では発散しているのかな…そう返しつつも想像がつきませんでした。

先日、来年度のクラス分けを踏まえた上で、他のクラスにエリちゃんが入ることになりました。園庭では顔を合わせるのですが、入ったクラスのお友だちと滑り台にいました。体を動かす遊びは自分からはなかなかしないので、いつも周りにいる人の影響は大きいなぁと思いながら見ていました。沢山体を動かしたからか、その日は家で帰宅後の大きな崩れもなく、過ごせたようです。

2日間、他のクラスでの生活を過ごした後、元のクラスに戻りましたが、エリちゃんは何故か強気でした。友だちが使っているおもちゃを「だめ!あたしの!」と取り上げたり、やりたくない事は椅子を倒してひっくり返り、動かなくなることも…。エリちゃんの気持ちの変化が何かしらあったのだと思いますが、家で大荒れだというお母さんの話の想像が出来ました。

何があったのでしょう?他のクラスから元のクラスに戻ったのがイヤだったのでしょうか?それともお友だちのまねをしているのでしょうか?全く想像がつきませんでした。ただ、エリちゃんにとって、他のクラスは慣れない空間・人がいる場所である程度緊張すると想定すると、現クラスは家のようなところ(自分を出せる場所)なのかもしれないと思いました。おもちゃをいきなり取ったり、椅子を倒したりすることは決して良いことではないけれど、出したい感情を出せる場と思ってくれる…その気持ちは嬉しく感じました。今までは現クラスでもエリちゃんなりに気を使い、頑張っていたのだなと思ったし、他のクラスに入ることで今のクラスがエリちゃんの心の拠り所となっていると、エリちゃんが無意識のうちに思ったのかもしれません。

もう少しで今年度が終わります。エリちゃんにとって、この時期だからこその経験ができたと思いました。

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