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ここはアメリカ?【日仏夫婦のなれそめ-🇦🇺3:オーストラリア縦断ロードジャーニー/キャンベラ〜メルボルン・縦断編⑤】

【概要】
この物語はフランス人の夫と日本人の私がオーストラリアで出会って家族になるまでを描いたお話。出会って3週間で意気投合し5555kmのオーストラリア縦断のロードジャーニーの様子を実際の写真とともにつづるノンフィクション小説です。また、チャプターごとに変わるTOP画のデザインは全て私の手書きです。

【目次】
▼チャプター1:出会い編
▶︎第1弾 最愛の夫の第一印象が最悪だった話
▶︎第2弾 策士なの?天然なの?ねえどっち?
▶︎第3弾 絶対に忘れられない恥ずかしすぎる初めてのキス
▶︎第4弾 当たり前の関係
▶︎第5弾 そうだ!シドニーに行こう!

▼チャプター2:ロードジャーニー/シドニー編
▶︎第1弾 ゴールドコースト〜バイロンベイ〜シドニーまでの旅
▶︎第2弾 念願のシドニー到着
▶︎第3弾 ボンダイビーチとおしゃれなランチ
▶︎第4弾 そうだ!キャンベラに行こう

▼チャプター3:ロードジャーニー/キャンベラ・メルボルン〜縦断編
▶︎第1弾 ん?キャンベラって首都だよね
▶︎第2弾 寒すぎたメルボルン
▶︎第3弾 僕に着いてきてくれる?
▶︎第4弾 助手席からみたオーストラリア縦断の景色

そろそろ半分ごろまで来ただろうか。地図を見るたび、どんどん北上しているのがわかって不思議な気分だった。電波がなくともGPSでMAPが見られるテクノロジーに感謝した。私が初めて1人で海外に出たのは2005年高校生の時、当時17歳であった。1年間アイルランドに留学したのだがその際には携帯の機能にインターネットなどなかったし、こんな手軽に地図を見る手段などなかった。(携帯用のウェブサイトiモードというのはあったが、海外で使うとバカ高い料金がかかったので実用的ではなかった。)

私「10年前だったら、私たち今頃紙の地図を手にしているかな?」
彼「あっても無理ーって!放り投げてそうだよね君の場合。携帯の地図さえ読めないんだから。」
私「そもそも道確認しようとみてないもん!わ!また進んでるって見て実感するのが楽しいんだよね。」

南下する際には海沿いを走っていたので、港町も多かったのだが今回内陸の最短ルートをたどっていて見えるものは木や広大な大地ばかり。景色が変わるので進んでいることは理解できるのだがこんなに何もないものなの!?と不思議な気持ちに何度もなった。世界はまるで非現実で携帯で見るGPSの自分の位置だけが現実と実感させてくれるまさにそんな感じだった。

進んでも自然、進んでもずーーーーと自然(笑)

▶︎ここはアメリカ?

もうすでに日が暮れそうな時間だった。その日は1日中、町という町にたどり着かず流石にお腹がペッコペコだったので次についた町でも集落でもなんでもいいから夕食を食べようねと話しながら次の町はまだかまだかと首を長くしていた。
そんな時にようやく辿り着いたのは、絵に描いたようなカウボーイ映画の舞台の雰囲気そのままのような場所だった。あれ?ここ南部アメリカだったっけ?と錯覚してしまうようなオレンジ色した砂地に唯一パブと小さな民宿があるようだった。大きなビールジョッキを片手にゴクゴク豪快に喉に流し込む男性たちが溢れていて、今にも酔っ払いの銃射撃が始まっても驚かない、本当そんな感じ。みんなどうやって家まで帰るんだろうか?と頭に浮かんだが、ここではそんなこと野暮な質問なのかもしれない。
 地元民だけが集う場に転がり込んだ2人の外国人姿が完全に浮いていたことは言うまでもなくオージーのおじさま方に珍しいものを見るような目で見られていた(笑)
ハンバーガーを頼み、外のテラス席に腰を下ろすと待ち構えていたように1人のかっぷくのいいオージー男性が寄ってきて私たちに話しかけた

男性「GDMATE!Where&ç/E%&TUéöBI%àZ£POP`*”!?」
それはそれは聞いたこともないような強いオージー訛りだった。
初めて英語を学んだのは訛りが特にキツいと言われるアイルランドだった私。訛りのある英語には強いはずだった。だが彼の話す英語は訛りのレベルが完全に違った。頭の中に「?????」が浮かびポカーンとしていた。

彼「彼女日本です、彼はフランス」
男性「オージャパーンèKGDTjFG&%ç”&F&%EDP(&&ç%*ç**èéOPIOGKU”%」
彼「イエース!トウキョー!!!!!」
私「は。

いやいや、英語喋ってます?いやそれ何語?宇宙語?ほんと冗談じゃなくそんな感じ(笑)

男性「トキョー!!HçT&%H%r&SミキコHD*?£RàOUIHGFDTè!?=」
彼「オーリアリー?ナーイス!」
私「え。

いやいやいやいや、なんか会話成立しとるやないかーい。

あの場所は一体どこだったのが、写真がなくてわからないのだがまさにこんな感じの時間だった。

宇宙語を喋るオージー男性と何故か心が通じているように会話する彼の姿も可笑しくて仕方がないのだが、それよりさっきからしきりに聞こえるどんぐりが落ちて転がるような乾いた音に気をとられていた。バチン!という音がしたと思えばコロン聞こえ。また音がしたと思えばまた別の場所でコロンと音はするのだがあまりよく見えない。上を見上げるとライトを覆い隠すほど何百匹もの虫が群れ上がっているようでライトがライトの意味をなしていなかった。

今度は近くでバチンと音がして横目に黒いものがよぎった。テーブルにかすめて近くに何かが落ちてきて全てを悟った。さっきから降ってきているのは電気でショートした大きな虫であるという事実に。衝撃の事実に唖然としていると注文したハンバーガーがテーブルに届いた。すると今度は親指ほどの大きさの黒い虫が私のプレートにボトンと音を立てて落ちてきたのだ。

とっさに「ウワァアァァ!」と図太い声が出て硬直した。私の何時間ぶりにありつけたご飯に虫がぁぁぁなんて思う暇なんてなかった。オージーの男性がケタケタ笑いなから体をこっちに向けたと思えばなーにただの虫じゃないかというとヒョイっとつまんで次の瞬間その虫を口にポイッとほりこんだのだ。
私「…‥。」


食べた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

得体の知れない黒い虫をご丁寧に口の中から見せつけ、もぐもぐと私の目の前で食べたのである。(笑)

もう一回言う。

ボトンと電気から降ってきた1センチはあるような得体の知れない黒い虫をオージーのおじさまは食べたのである。

やーーーーーめえーーーてーーーーーーーー!!!!泣

さっきまでの鳴り響くようなお腹の音がピタリと鳴り止んだ。衝撃的すぎて固まる私をみてオージー男性はプロテインだよーとケタケタ笑いながら言っているらしかった。その様子を見ながら彼は他人事のようにお腹を抱えて涙を流しながら爆笑していた。

もうカオスすぎてパニックだった。虫なんて大したことないよと示す彼なりの計らいのつもりだったのかもしれないが、私には逆効果で完全なるカルチャーショックだった事は言うまでもない。ワイルドすぎるオージーを目の当たりにした瞬間だった。

10分ほど頭の整理が追いつかず放心状態だった私だが、席を中に移してしばらくするとあ、そうだ。お腹が空いていたんだと思い出した。背に腹は変えられないんだなぁ私もたくましくなったもんだなんて感じなから、先ほど虫が落ちたプレートをゆっくり平らげた。

つづく
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▼今回のあとがき

この話は実はオーストラリアの話が出た時に夫が必ず話すすべらない話の1つになっています。今から考えても嘘のような本当の話なんですが、一連の出来事に衝撃を受けて固まる私の顔が1番面白かったと旦那はいつも話しています。

また、後から彼になんであのオージーの話していること聞き取れたの!?と聞いてみると聞き取れるわけないやんあんなごっつい訛りと真実を語ってくれました。どうやら雰囲気で理解しているふりだけだったんだとか。(笑)
「ゴニョゴニョゴニョ東京ゴニョゴニョ」と東京だけが聞き取れて僕も東京に住んでいたよーなどと適当に返事していただけらしい(爆笑)その割には楽しそうにみえたので旦那のコミュ力の高さには驚くばかりです。(笑)

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それではまた明日。

▼次のお話


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