聖杯に選ばれたライター(■■■■)

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聖杯に選ばれたライター(■■■■)

このアカウントは個人による二次創作アカウントです。『Fate/Grand Order』公式、ならびに投稿されている文章中や画像内などの作品・人物・製品などとは一切関係ございません。

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FGO 異世界特異点a AiEn奇縁戦争 東京

怨みたいわけじゃなかった  それでも許せなかった ◇あらすじ ◇はじめに この二次創作には実在する名称や概念などが登場しておりますが、全て執筆者が個人的に書いたものであり、歴史の記録としての正しさを保証するものではありません。  また、この文章には「酷く陰鬱な展開⚠」・「残酷な描写⚠」・「性的な表現⚠」・「規範や人道に反する言動⚠」・「原作のネタバレ⚠」などが含まれています。 ◇目次 修正一覧 ◇ギャラリートレーラー ◇お知らせ(予告) 【公開サイト一覧】 ・ハー

    • 幕間 休題されど休まらず、閑話は星や羊のように

       ――線路を走っていた電車が制御不能になってしまった。  このままだと、前方で点検している五人の作業員が轢かれてしまう。電車は猛スピードだ。彼らに避難する猶予はない。  そして貴方は今、その線路の分岐器の目の前にいる。貴方がすぐにレバーを引けば、電車の進行方向が切り替わり、五人の作業員は助かる。  しかし、切り替え先の線路では、一人の作業員が点検作業を行っている。電車は猛スピードだ。その作業員にも避難する猶予はない。切り替えれば、その作業員が轢かれて死んでしまう。  今、五人

      • 第25節 水いらずのおちつき

         白く平たい陶器のお皿に、夏野菜がたっぷり使われたカレーライスが盛られている。  そのカレーは汁物というよりあんかけのような水分量で、豚肉とナスとともに入れられた赤と黄色のパプリカが鮮やかに食欲をそそり、添え物のローストされたカボチャやオクラ、ミニトマトがさらなる彩りを演出している。 「……これは、とても美味しそうですね」 「ほんとですか? 一応味見はしたんで、味も悪くはないと思うんですけど。マシュさんのお口に合うかどうか……。」  そう言って直輝が座布団に座る。  今、二人

        • 第24節 地上の花火

          目次 第23節 第25節  人目を忍んで石神井川へと下りた真衣たちは、冷たい川の水で足を撫でられながら、花火が上がるのを待っていた。  ブーディカたちの提案で、最初の花火が打ち上がる音を合図に戦いを始めることになったのだ。今は、河原のない川に立ち、両者とも足を濡らして待機している。 「真衣、手を」 「――!」  ジェロニモは真衣の右手を取ると、その中指に親指を乗せぎゅっと力を加えてから、手の甲に口づけをした。そこには、“推しをイメージしたハートの令印”がある。 「ジェロニ

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        FGO 異世界特異点a AiEn奇縁戦争 東京

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        • FGO 異世界特異点a AiEn奇縁戦争 東京
          28本

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          第23節 約束は雨天の打ち上げ花火のように

          目次 第22節 第24節  夏の日没はまだ来ない。  としまえんの広場では、男女のパフォーマーが、それぞれヨーヨーと一輪車を巧みに操り観客を沸かしている。  音楽に合わせて行われる息の合ったパフォーマンスを|みせる二人は、実は夫婦であるらしい。子供の頃、児童館に通っていた彼らは、当時から片やヨーヨー片や一輪車に夢中で、その後パフォーマーの道に進み、今や夫婦でもあるという素敵なエピソードが語られた。  夢と生活、人生をかけた二人のパフォーマンスは、終わりを迎えようとするとし

          第23節 約束は雨天の打ち上げ花火のように

          第22節 閉園まであと…01日!

          目次 第21節 第23節 「ねえ、ジェロニモ。一緒に遊園地、行かない?」  ――“としまえん”。  東京都練馬区向山にあるその遊園地は、西武池袋線の豊島園駅から徒歩一分という駅前に位置し、周囲を|戸建ての家々やマンションに囲まれた住宅街の真っただ中にある。  その立地から、周辺住民や西武池袋線沿線の住人らに親しまれる地域密着型の遊園地であることは想像に難くないだろう。しかし、としまえんの魅力はその距離感だけにとどまらない。  二十二ヘクタールという広大な面積の中に、世界

          第22節 閉園まであと…01日!

          第21節 優しい復讐者

          目次 第20節 第22節 「……」  自宅マンションの階段で、達也はもう何度もスマートフォンの時計を確認していた。  買い物に行ったブーディカの帰りが遅いのだ。  彼女は、自動車を見るのが辛くて外出を避けるようになった達也に代わって、もう何度もお使いに行っている。今さら道に迷うことも、買い物に難儀することもないはずだった。  それに彼女は、達也の家族に見られないよう、荷物の受け渡しはマンションの階段で行い、部屋には霊体化して出入りしている。入れ違いになるというようなことも

          第20節 それはたとえるなら仮面舞踏会

             春の夜に 知らぬ暁 我夢中  いつかはさめる あいはいらない 「木村さん。その……。一つ、聞いてもよろしいでしょうか?」 「? なんですか?」 「何か、あったのですか?」 「……。」  直輝はマシュの目を見つめて固まったかと思うと、平常心を装って問い返した。 「……なんか俺、変ですかね?」 「変、と言うか……。一昨日の夜、急に少し外出されましたよね? あの後から、なんだか元気がないように思えて……」  マシュの言葉に、直輝は軽く笑う。 「そう、ですか……。流石にずっと

          第20節 それはたとえるなら仮面舞踏会

          第19節 胡蝶の夢2020

           また、あの夢だ――。  ジジジジジジジジと虫けらが鳴きわめく。  ジリジリジリジリと太ようが照りつける。  タラタラタラタラと汗が流れおちる。  タタタタタタタタと俺が走りまわる。  ブォーンと鳴っているのは扇風機? いや、違う。  ブォーンと鳴っているのは戦闘機。ああ、違う。  まだ見たことがないはずの過去の記憶、思い出し気づく。これは夢だ。  俺はもうガキじゃない。  目が覚めるとブォーンという空調の音が、現実に残ったまま、まだ聞こえてた。  起き上がった俺の首を背

          第18節

          「……もう、やだ」  いきなり絡んできたおかしな男が、二度も目の前で爆発して消えてしまい、女性の心はもはや限界に達しかけていた。 「やはり、幼稚なゴブリン・ハンター程度ではどうにもならないようだなぁ」 「――!?」  女性が振り返ると、そこには新たな男が立っていた。 「フッ。俺は今までの奴らとは違うぞ。例えばお前が、ゴブリン以外のモンスターも従えていることも知っている」 「……あの。ほんと、なんなんですか? 貴方は何を知ってるんですか? なんで私、襲われてるんですか?」  男

          第17節 【ハンティングクエスト】#2 アイアンラッシュ!【■■■敵太郎】

          「嘘……」  嘘のような静けさばかり残して、爆発と共に男は消えてしまった。  女性はあまりにも突然の出来事に、ただ呆然と立ち尽くす。  目の前には金棒を思わせる剣を持ったゴブリンが、後ろには弱そうなスケルトンが静かに立っている。  ガシャン! と突然、音がした。 「ぃやあっ!」  短い悲鳴を上げ、女性が音のした方を、後ろを振り返る。すると、スケルトンが地面に倒れていた。 「大丈夫!? ――?」  スケルトンに駆け寄った女性は、倒れているスケルトンの側に、何かの種のようなものが

          第17節 【ハンティングクエスト】#2 アイアンラッシュ!【■■■敵太郎】

          第16節 【ハンティングクエスト】#1 ジモトがジャンプ【■■■■■■】

             順不同にて、あとにも続く。  Scott David Aniolowski様をはじめ、多くの皆様へ敬意を込めて――。 《center》 ―――――――――――――――――――― 《/center》  都内某所、ある日の日没後。  立ち入り禁止を示すビニールテープによって封鎖された喫煙所の前で、一人の男性が懐から加熱式たばこ *1 を取り出した。  新型コロナウイルス感染症が流行し、多くの喫煙所が封鎖されている。マスクを外した状態で密集することが予想されるため、感染

          第16節 【ハンティングクエスト】#1 ジモトがジャンプ【■■■■■■】

          第15節 得手勝手な親和欲求

            「……。」 「……」  直輝とマシュは、まだ暗く人気のない道を静かに北上していた。  取り替えたばかりの真っ白な不織布マスクでも、直輝の疲れた表情は隠しきれない。  ネロの姿が消えた後――。 「ランサー、行くぞ……」 「ちょっと、マスター! ――ごめんね。マスター、ああ見えて結構こたえてるんだと思うの。後で必ず連絡させるから。……マシュ、お疲れ様。よく頑張ったね。それじゃあ、またね」  と言い残して、二人は立ち去ってしまった。  直輝たちも、放心状態で地べたに座り込んで

          第14節 招き蕩う独擅劇場

            「木村さん! もう少しで交戦地点に到着です!」 「はぁっ、はぁっ、はい!」  ステンノが消滅した後――。  直輝は急いでコンビニに行き、すぐ近くの公園に何人もの男性が倒れていると伝え通報をお願いし、自分は様子を見るため公園に戻ると告げて退店。公園で男たちの応急手当をしていたマシュと合流し、ブーディカたちを探すためその場を後にした。 「もうすぐですが、大丈夫ですか?」 「はぁっ、はい! はぁっ、はぁっ……。」  息を切らせて走る直輝を心配したマシュだったが、目的地の方から聞

          第13節 友情∞ 無限大――目眩まし

            「はぁっ、はぁっ……。」  ステンノのもとに辿り着いた頃には、直輝の白く平たい背中は汗で艶めいていた。 「あらあら。あの子を置いて一人で私に会いに来るだなんて。あなた、本当は私のことが好きなんじゃないかしら?」 「……はぁっ、はぁっ。そうですね。操られることはないのに、貴方の魅了が全く効いてないわけではないってことは……。すぅぅー、はぁっ……。貴方のことを魅力的だと思ってるってことでしょうね。」 「……、うふふ。あなた。もしかして、私のことを口説きに来たのかしら?」 「い

          第13節 友情∞ 無限大――目眩まし

          第12節 勝手気儘な自己貫決

             ――特に何も起こらなかった。 「……。」  少年から貰った怪しげな機器と接続を試みた直輝だったが、特にこれといった変化は感じられなかった。  全身に力がみなぎったり、耐えがたい苦痛に襲われたり、そんなことは微塵もなかったのだ。  しかし、直輝は間もなく気づく。機器の画面にあった接続数という項目に、1という数字が表示されていることに。 「……。」  直輝は素早く機器をポケットにしまうと、こぉーと音を立てて強く息を吐き出しながら、目の前に迫るゴーレムを見据えた。  空っぽに