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リクルートで最強で最高の組織をつくるまでの物語(第1章:強固な組織基盤の構築)~心理的安全性をつくった2つの施策~

今日は僕が経験した営業組織で4半期連続の目標達成。2半期連続で最優秀グループ賞を獲得する組織をつくりあげたプロセス・ポイントをお伝えしたいと思います。

いつもはしくじりマネジメント″というタイトルで、僕自身のマネジメントの失敗体験からの学び・ノウハウを発信していますが、僕にも成功体験が一応あります笑
しかも、もうこれ以上の成功体験はないだろうなと思えるほどの最高の体験でした(そんな想いをさせてくれたグループメンバーのみんなには感謝しかありません)

そんな組織はどうやって作り上げたのか、3~4週くらいにわたって書きたいと思います。今日はその第1章です。

メンバーを採用するところから始まり、ローキャリだらけの中、メンバー1人1人の成長と組織としての成長をどのようにデザインし、組織価値を高めたのか・・・

自慢話にならないように気をつけて書きたいと思います^ ^
ぜひご覧ください!

序章:新たな組織がつくられた

20XX年、あるサービスの戦略推進を目的に新たな組織をつくることが決まり、僕がその組織をマネジメントを任されることが決まりました(詳細を書くのが会社的にNGなためご容赦ください)

リーダー1名、中堅・若手メンバー1名ずつ、育休明けメンバー1名、中途入社1名の5名で4月をスタートし、そこから更に6名を中途採用しました。
会社から大きな投資をしてもらった以上、成果を出さないといけないプレッシャー。一方でメンバーは採用したてで知識・経験がないローキャリばかり。人・組織をどのように育てたのか、お伝えしたいと思います。

機動性を高めるための心理的安全性の構築

まず初めに取り組んだことは心理的安全性を形成することです。心理的安全性とは1999年にハーバード大学の教授によって提唱された考え方で、「周囲の反応に怯えることなく、 安心して働ける状態 」をつくることを意味します。多くの人が耳にしたことがある考え方だと思います。

ですが、当時はお恥ずかしながら、そんな考え方は全然知りませんでした笑
メンバーのほとんどは中途入社でバックボーンはバラバラ。また、正社員、契約社員、派遣社員等、雇用形態も様々なメンバーで、平均年齢的にもメンバーも全体的に若かった(平均27歳くらい?)ので、お互いに信頼し合える関係性をつくることが重要だと考えました。平たく言うと、仲良くなった方が良かろうということです。

いやいや、仕事をする上で同じ組織のメンバーと仲が良かろうが悪かろうが、成果に影響しないのでは?と思う方もいるかもしれません。ですが、少なくとも今回形成された組織では、中途入社を中心としたこれまでの経験が異なり、ローキャリばかりのメンバーという構成です。「知識を交換し合える」という関係性をつくらないと仕事で分からないことがあった時に止まり続けてしまう・・・という懸念があったため、お互いに頼り合えるような関係性を構築することが欠かせないものだと考えました。

言い方によっては自分に全部質問が来ると困るので、自分が楽をするために・・・とも言えますが、メンバー同士で分からないことを聞き合えるようにしなければ、機動性がなくなってしまう。

そのためにお互いに信頼し合える関係性を作ろうと考えて、まず取り組んだのは“じっくりグループ会議”を開催することでした。

相互理解は全ての基点

じっくりグループ会議とは文字通り、じっくり話し合おうという場です。概要としてはこれまでの社会人経験を話したり、学生時代にやっていたことを話したり、月に1回半日(4~5時間)近くをかけて、相互理解に努めるという取り組みを行いました。

困ったときに質問し合える関係をつくるための相互理解にそんなに時間をかける意味ある!?

そんな風に思う方もいるかもしれませんが、「そんなに」やるんです。でないと、本当に困っているときに相談することができない。自分が忙しいときに周囲をサポートできない。ということが起こるからです。

では、なぜそこまで時間がかかるのか?

確かにその人の趣味やこれまでの経験を知るだけなら、そこまで時間をかける必要はありません。ですが、その人が仕事をする上でどんなことを大切にしているのか、何を実現したいのか、もしくは何を守りたいのか。それを知るには時間がかかります。また、本音を知るためには今大事にしていることを聞くのではなく過去の経験を聞くことが重要です。具体的には「なぜその選択をしたのか」「その経験で何を感じたのか」等、過去の判断軸や気持ちから見立てる、ということです。そういう意味でも短期間では難しいかと思います。

なぜ短期間では難しいかと言うと、人には「カッコつけたい」「見栄を張りたい」「弱いところを見せたくない」等の素直さを邪魔する様々な感情があります。中途入社で同時期に入社をすれば尚更です。人によっては「負けたくない」「周りより凄いと思われたい」等の感情もあるでしょう。そんな自己を開示することに時間がかかる人もいるため、じっくりと話し合い、メンバー同士の相互理解を図り、1人1人がこれまでの人生に対して自己受容できるようになることを促し、心を開きやすくすることに努めたのです。

それでも、そんなに時間をかける必要がないのでは?と思う方もいると思います。ぜひこの先を読んでいただけると、なぜそこまで時間をかけたのか?という疑問がもう少し晴れると思います。

安全・安心を一歩先へ

相互理解を進めて、1年が経った頃、じっくりグループ会議の方針を転換すすることにしました。1年間の取り組みもあって、メンバー同士の信頼関係は構築されて、一定の心理的安全(安心して働ける状態)は担保できました。しかし、戦略推進を強力に進める組織になるためには、更にその先の組織状態に進化させたいと考えました。最近の僕の流行りのPLUS ULTRAです笑

その先の・・・とは何か。
それは何を言っても安心な状態をつくることです。

冒頭で「仲良くなった方が良かろう」という話をしましたが、仲良しなだけでは組織は進化しません。だからこそ、1年が経ったとき方針を転換したのです。

そこで取り組み始めたのは“影響力賞の設置”です。

どんな賞かというと、メンバー全員がグループの中で最も影響を受けたり、刺激を受けたりしたメンバーを選び、理由と共に投票する。という取り組みです。

そんな制度は会社にありませんが、グループ内で勝手に始めました。

ポイントとしては上司(僕)の意図は一切入れず、単純なる多数決で選定するものです。選ばれたメンバーには賞状を作成し、僕から表彰をさせてもらうことにしたことです。

一石五鳥の愉しい取り組み

単純なる取り組みですが、1つの取り組みで実は5つのメリットがあるのです。

まず1つ目です。影響力賞は必ず誰かを選び、理由とともに推薦しないといけないというルールにしました。そのため、これまで周囲に関心がなかったメンバーも周囲のメンバーの良いところを見つけに行く必要があります。これによって、自然とメンバー同士で刺激を与えあうことができます。・・・①


次に選ばれた側は選定理由を伝えられることで、自分の強みや得意なことを認知することができます。自己肯定感が低いメンバーにとっては自信をもつきっかけにもなります。また、自己肯定感が高いメンバーにとっても自分自身を冷静にみるきっかけになります。特にメンバー同士のコメントであることから、恣意的なものは一切を除外したコメントのため、誰しも素直に受け止めやすくなります。(上司の立場だと同じことを言っても信じてもらえないとか、伝わらないことって、多いんですよねww)強みを認められて嬉しい。強みに気づけて頑張れる。そんな恩恵がありました・・・②

そして3つ目は賞状の中で更にその強みを伸ばすためのアドバイスをすることで、更なる成長を促すことができることです。上記の通り、メンバーからのコメントによって気づけた強みを更に伸ばすためのワンポイントアドバイスは僕が賞状に期待として、書くようにしました。・・・③

4つ目は誰が誰に投票したかを把握し、誰がどれだけ冷静にグループ全体を見れているか、何に刺激や影響を受けやすいのか、ということをマネジャーとして知れたことです。知識を与えてくれたことに影響を感じるメンバーもいれば、困ったときに助けてくれたことに感謝と共に影響を感じるメンバーや詳細は知らないけどあれはすごい仕事だと影響を感じるメンバー。それぞれのメンバーの特性を理解することにも役立ちました。・・・④

最後に、これはおまけですが、影響力賞に選ばれなかったメンバーは、来月こそ自分がとるぞ!と思ってくれると、いつもなら諦めてしまう場面でもう一歩頑張ろうと踏み出してくれることもありました・・・⑤

一石五鳥を実現するためには、メンバー同士の信頼関係が不可欠です。これを創るために1年間じっくりグループ会議を行い、メンバー同士の相互理解に努めてきたわけです。

なぜ、じっくりグループ会議に時間をかけたのか、ご納得いただけましたでしょうか。

時間軸を引きのばす

これらの取り組みをまとめると、仲良しグループになることを目指すことから始まり、その後の2年間の間に何を実現したかったのかというと、成長し続けようとする組織をつくりたかったのです。

じっくりグループ会議、影響力賞の取り組みは単なる手法にすぎません。他にもやり方はあると思いますし、もっと効率的な方法があるのかもしれません。(もちろん、1人1人は様々なことに日々悩みながら、仕事に取り組んできており、これだけで全てがうまくいったわけではありませんが大きな意味を為したと思っています)

ただそれでも成長し続けようとする組織をつくることに時間を割いたのは人・組織がもっと頑張りたい。と思える状態をつくらないと、どれだけ崇高な戦略をつくっても、完璧な商品があったとしてもうまくいくことはないからです。これは断言します。

そのため、組織のリーダーは「時間軸を伸ばし、組織を創る」ということを心がけなければ、その場しのぎ的な組織の運営では対処療法に過ぎず、長続きはしません

組織のリーダーの器の大きさが組織の成長キャップを決めてしまうのだと思います。

おまけ

ご紹介した影響力賞ですが、結果的に多少のメンバーの入れ替えもあったのですが、忖度なく、4月~3月の12ヶ月で12名のメンバー全員が1回ずつ選ばれるという奇跡的な感じになりました。

終わりに

今回は第1章ということで心理的安全性というテーマで組織構築の土台の部分を書きました。参考になりましたか?

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(太字にして強調します笑)

次回は戦略編です。キーワードは「選択と集中」です。

ぜひお楽しみにっ!!


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