ミ輪

ただの明治・大正・昭和初期文化追体験愛好者。特に中山太陽堂のクラブ化粧品、商業美術、染…

ミ輪

ただの明治・大正・昭和初期文化追体験愛好者。特に中山太陽堂のクラブ化粧品、商業美術、染織・着尺図案に興味津々です。趣味で、現在から当時の事を探求・考察しながら好き勝手に書いております。

マガジン

  • 中山太陽堂のクラブ化粧品

    大好きな中山太陽堂のクラブ化粧品について自分なりに綴っております。

  • 昔の図案

    趣味で少しずつ収集している戦前の商業図案やらをアップしています。既に投稿済みの記事に追加していっています。

  • 古いモノ好きの日常

    日常の他愛もない出来事、考え事などを綴ったものをまとめています。過去の記事もおりおり更新しています。

  • 昔の着物

    昔の染織図案や着物に関することをまとめています。

最近の記事

クラブ化粧品「陽級」「堂級」「特定品」?

以前投稿した記事で、クラブ化粧品には販売ルートが3本(「陽級」「堂級」「特定品」)存在していたことについて触れました。 しかし、化粧品カタログと無理矢理ひとまとめにしたせいで、内容が錯綜してしいたため記事を分けることにしました。 こちらの記事は、『堂級クラブ化粧品カタログ』のみにまとめ直しました。 ♣堂級?陽級?特定品?クラブ化粧品を収集していると、「陽級」「堂級」「特定品」という文言を必ず目にします。東京小間物商報のクラブ化粧品の広告でも「陽級第七分科商品」等という記載が

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      昔のお化粧品その2

      • 大正恋愛事件-蜉蝣のような果敢なさ-

        『女性』四月特別號(昭和二年)にて特集された「大正年間の七大戀愛事件」。題のごとく七件の恋愛事件が紹介され、現在でも広く知られている話が取り上げられています。人は噂の奴隷と言いますように、センセーショナルな内容に多くの人が関心を寄せたことでしょう。 七大恋愛事件の中で特に哀れなのは、有島武郎と波多野秋子の心中事件です。現在もこの事件を取り上げている記事は数多くあるので、ほとんどの方が知っていると思います。なので現在の考察ではなく、昭和二年からほんの数年前に起きた事件を『女性』

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          1920sモダーンな扉絵『家事と衛生』

        クラブ化粧品「陽級」「堂級」「特定品」?

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        • 中山太陽堂のクラブ化粧品
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          18本
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        記事

          六年間の和服生活を振り返ってみる

          一度は冷めていた明治時代〜戦前昭和の文化と和服に対する気持ちが再燃し、夢中で追い始めてから早六年が過ぎました。今では当たり前のように生活の一部として溶け込んでいると思っています。 自分の中で、戦前文化と和服における思考が以前よりは形になった気がしたため、ふと、この六年前を振り返ってみたくなりました。 かなり個人的な内容なので、退屈な記事であると予めお伝えしておきます。 たかが装い、されど装いまず、和服を着続けたいと共鳴した岡倉天心の挿話を紹介します。 怒髪天を衝くといった

          六年間の和服生活を振り返ってみる

          古本屋で見つけた婦人画報(大正3年)百號紀念號。島成園の口絵欲しさに購入しました。島成園女史作「歌まき」。随分とハイカラな美人画です。当時の流行が描かれており、まるで三越のポスターのようです。

          古本屋で見つけた婦人画報(大正3年)百號紀念號。島成園の口絵欲しさに購入しました。島成園女史作「歌まき」。随分とハイカラな美人画です。当時の流行が描かれており、まるで三越のポスターのようです。

          クラブ化粧品-堂ビル専売品カタログ-

          クラブ化粧品の小冊子が8冊集まりました。 少しずつでも資料が増えるのは嬉しいことです。小冊子を入手する度に新たな発見があり、中でもラベル図案の変化や、クラブ化粧品のルートによって異なるラベルを初めて目にした時はとてもワクワクします。 ちょっと小冊子の記事が多かったと思いますが、ひとまずこの記事で小冊子については一段落というところです。 では、毎回のことですが小冊子の全ページを取り上げてゆきます。 ♣クラブ 堂ビル専売品カタログ 今回入手したのは、堂島ビルヂングで取り扱われ

          クラブ化粧品-堂ビル専売品カタログ-

          昔の商業美術を本で楽しむ

          明治から戦前昭和までの約80年、一世紀にも満たない短期間に世相は目まぐるしく流動し続け、その過程は享楽的であり妄信的であり、この時代に生まれた様々な文化は、今なお人々を魅了し続けているように思えます。 私も子供の頃からこの時代の虜の一人です。とは言え、全てに関心を持っているわけではなく、一等惹かれているのは商業美術で、それはずっと変わっていません。最も身近で気軽に親近感がわくからでしょうか。 そもそも商業美術とは下記のことを指します。 中でも好きなのは商品のパッケージです。

          昔の商業美術を本で楽しむ

          クラブ堂級化粧品 美容小典

          先日、神保町の古本屋で入手した『美容小典』です。 文章中に「出征将士」の文言があるので、昭和10年頃〜戦況悪化までの間に発行されたものだと考えられます。 今までに入手した小冊子を並べてみると、表紙からデザインの流行の変遷を知ることができます。 過去の小冊子と比較すると、化粧法の解説や商品説明が分かりやすくまとめられています。今回は開きやすいタイプの小冊子なので、全ページ載せました。それでも文字が読みにくいため、一応テキストに起こしましたが、画像を拡大しても内容を楽しめると

          クラブ堂級化粧品 美容小典

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          平尾賛平商店レート化粧品

          平尾賛平商店レート化粧品

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          杉浦非水による『三越』(T14)の表紙「古代希獵より現代日本へ」 非水は『流行グラフ』(T14)にも「新時代のよそほひ」として同じ装いの提案を発表しています。「古代希獵系統の模様と色彩を応用。帯は15,6世紀のロード陶器模様、着物の裾はギリシア瓶器から常春藤の模様」とのこと。

          杉浦非水による『三越』(T14)の表紙「古代希獵より現代日本へ」 非水は『流行グラフ』(T14)にも「新時代のよそほひ」として同じ装いの提案を発表しています。「古代希獵系統の模様と色彩を応用。帯は15,6世紀のロード陶器模様、着物の裾はギリシア瓶器から常春藤の模様」とのこと。

          昔の物売りの生活

          古本屋で見つけた『甦る昭和ロマン』(昭和51年)。 昭和レトロの特集本かと思い手にしてみると、戦前昭和を取り上げた内容でした。すでに本の発行から半世紀近く経っており、昭和51年が昭和ロマン時代になっているような気がします。 本の中で、昔懐かしい「街の物売り」が紹介されていました。玄米パン屋、ゆで卵売り、金魚売り、下駄の歯入れ屋、羅宇屋、拡大器売り、今では聞き慣れない生業ばかりで、新鮮ですらあります。どうやら東京の町は、昔にさかのぼるほど、行商や露店という屋外の商人が多かったと

          昔の物売りの生活

          コスメの王様の感想

          書籍化を心待ちにしていた『コスメの王様』。 小説のモデルは中山太陽堂の中山太一氏と知り、購入せずにはいられませんでした。また、小説自体を読むのも久々で、素敵な装丁も重なって気持ちが高まりました。 元より読書感想文は大の苦手でしたが、小説といえどやはり中山太陽堂関連のものは書き留めておこうと思います。 そもそも人が創作し完結しているものに対し、それ以上考える余地はない気がしますし、私のような文才皆無な者が何か云うなんて思い上がりもいいとこかもしれないと考えてしまいます。普段読

          コスメの王様の感想

          足利銘仙の図案

          写真フォルダを遡っていると、2018年に足利学校で撮影した銘仙行灯の写真が出てきました。記憶にないので調べてみると、「足利灯り物語」なるイベントのために設置されていたようで、行灯の周囲は足利銘仙の図案が貼られています。 ライトアップの写真は撮っていなかったようで、その様子は改めてネット記事で見ました。 足利学校付近には、足利織物伝承館なる施設があり足利銘仙の歴史を学ぶことができます。織物館のWEBサイトでも、歴史が解説されているので、興味のある方は覗いてみてください。 さら

          足利銘仙の図案

          中山整容美粧研究所内 美粧院

          近頃新たなクラブ化粧品が入手できず、何故か冊子に巡り合う機会が多いです。今回は先日神保町で見つけた、中山整容美粧研究所内の美粧院の冊子について取り上げていきます。 ♣美粧院の冊子この冊子には、中山文化研究所が運営していた「美粧院」の活動内容などが紹介されているとお思いになることでしょう。しかし、ページの大半は「お化粧の仕方」で占められており、肝心の「美粧院」については室内写真と簡単な案内程度で済まされています。 美粧院の利用者となるであろう読み手が知りたいのは、各パーラーの

          中山整容美粧研究所内 美粧院

          クラブ化粧品-美は禮節-

          詳細は一切不明である中山太陽堂『美は禮節』を入手しました。 これから社会へ巣立つ女学生向けに配布されたと予測できましたが、調べた限りでは何の情報も出てきませんでした。他の化粧品メーカー同様に、女学校の卒業日に配布されたものでしょうか。 この冊子の表題通り、美しい装いを心掛けるのは礼節の一つであり、その道理を説いた内容になっています。化粧法の紹介はあっても、商品写真は一切なく、16頁のうち10頁は美に関する教えです。ちなみに、中山太陽堂は近代美粧でも礼節について触れていますが、

          クラブ化粧品-美は禮節-