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近未来の管理会社を考える(その12)

今回は、「Web3.0」技術の大本命かもしれない「メタバース」がマンション管理組合に与える影響を考えたいと思います。

前回の記事は、こちら!   
 「近未来の管理委託を考える(その1)
 「近未来の管理委託を考える(その2)
 「近未来の管理委託を考える(その3)
 「近未来の管理会社を考える(その4)
 「近未来の管理会社を考える(その5)
 「近未来の管理会社を考える(その6)
 「近未来の管理会社を考える(その7)
 「近未来の管理会社を考える(その8)
 「近未来の管理会社を考える(その9)
 「近未来の管理会社を考える(その10)
 「近未来の管理会社を考える(その11)

マンション管理組合の会議は・・・

 総会、理事会、プレ理事会、委員会、説明会(意見交換会)・・・色々あると思います。
 原則は・・・リアル出席型ですが、昨今のコロナ渦においてオンライン会議が普及し、国土交通省の標準管理規約でもオンライン会議を想定した内容が織り込まれました。

 私も・・・フロント担当者が持参するノートパソコン付属のカメラとマイクとスピーカーで行なうオンライン理事会を経験したことがあります。
 リアル出席型と較べると・・・情報量が圧倒的に少なくオンライン参加しても議事内容の把握や議論への参加が困難ですね。
 会議システムが整っていれば、改善する余地があると思いますが、最低限のシステムによるオンライン理事会は、参加するのが苦痛になりました。

 管理会社的には、例えば一部オンライン参加の理事会を事例にすると・・・一部オンライン参加者に議事内容が充分に伝わらなくて議論が進まなくても、理事会の定足数や決議が取れれば(理事会が成立すれば)OK!と考えるかもしれません。

「メタバース」の世界では

 「メタバース」は、リアル参加とかリモート参加とか・・・関係なく、全て仮想空間上で行われます。
 仮想空間というものの・・・リアル出席型理事会にとても近い会議環境になると思います。

 なお、今回のブログの写真は、「VRゴーグル」です。
 「メタバース」では、スマホやパソコンの画面に表示させることもできますが、「VRゴーグル」を装着して仮想空間を楽しむことになります。

 私も試したことがありますが・・・私が試した「VRゴーグル」は、解像度や反応速度等、発展途上という感は否めませんでした。
 それでも、新たな世界にワクワクしました。

 今でこそ・・・大きなゴーグル状態ですが、そのうちに眼鏡くらいのサイズになると思います。
 聞くところによると・・・映像をモニターに映し出すのではなく、網膜に直接映写する技術が開発されているそうです。
 スマホやパソコンのモニターでは全体像の一部を切り取って出力しますが、網膜に直接映写する画像の解像度が上がれば、仮想空間もリアルの世界と全く同じ感覚で頭の中に像が浮かぶことになります。

 また、仮装空間の中では、(自分自身を含めた)人物の描写に3Dアバターが使用されますが、自分とそっくりなアバターを使う人も居れば、自分とは全く異なる姿をしたアバター(・・・私だったら、「紅の豚」かな?(笑))にする人も居ます。

「メタバース」で理事会!

 「メタバース」の指定された仮想空間に入って、理事会が開催されます。
 当たり前の話ですが・・・参加者は、マンションに帰宅する必要はありません。インターネット環境さえ整っていれば、どこに居ても(職場でもたとえ海外からでも)参加できます。
 「メタバース」の会議室に入ると、他の出席理事さんやフロント担当者等の姿(アバター)が目に入ります。
 もちろん隣の人と会話をしたりもできます。
 そして理事会が開始されると・・・レジュメ等の資料は、手元に映し出されるし、手に取って確認することもできると思います。
 もちろん、議事録等の記名や押印も実費費用の精算も「メタバース」内で完結します。(ホント・・・リアル理事会と同じです)

「リアル理事会」には無い利点

 それは・・・(理事役員だけでなく)関係者が理事会に参加しやすくなる!という点です。例えば管理員さんです。
 管理員さんは、マンションでずっと勤務している(ある意味、マンションでの出来事を一番よく知る)存在なので、理事会に参加して欲しいですよね。でも勤務時間の問題で参加してもらえない・・・なんていう理事会もあると思います。

 でも「メタバース」理事会なら、管理員さんが自宅からルームウエアを着たまま参加できます。管理員の報告時間は、15分もあれば大丈夫なので・・・勤務時間は15分超過するだけです。(どこかで勤務時間を15分削れば良い)
 そうすることで管理員さんから生の声で報告してもらえるので、報告内容が出席理事役員に・・・より正確に伝わると思います。
 また、管理員以外にも・・・理事会で専門家が説明してもらって審議を進めた方が良いケースもあると思います。
 そんな時も、専門家に気軽に理事会出席を依頼することができるます。

 もちろん、理事役員が臨時で集まることも容易ですね。
 極端な話・・・出席者がパンツ一丁!の姿でも(アバターがいるので)問題ないし、出席のために化粧したり着替えたり・・・といった身だしなみを整える必要もありません。

 また、理事会の定員(理事役員数)を大きく増やしても大丈夫・・・みたいな世界になる可能性もあります。

 ここでものすごく夢想(笑)すると・・・
 「Web3.0」の思想もあるので、古代ギリシャの「民会」のような仕組みでマンション管理組合を運営!みたいな世界も実現できるかもしれないかも?なんて思ってしまいます。

「メタバース」総会

 戸数の多いマンションが「オンライン総会を」開催する時は、オンライン出席者のモニターに出席者全員の顔を映し出すことはできないでしょうし、質疑が集中したり、かぶったりしたりすると、総会の議事進行に収拾がつかなくなりそうです。
 なので、多くの「オンライン総会」ではオンライン出席者からの質疑をチャットだけで受付けたり、質疑は全く受け付けなかったり・・・「リアル出席型総会」とは違うスタイルが取られることが多いように思います。
 でも「メタバース」による「オンライン総会」ならば、「リアル出席型総会」と同様に(質疑の取り扱いを含めて)運営することができそうに思います。

管理会社にとって「メタバース」は?

 以前に「建サ・ショック」についてお話をしました。

「建サ・ショック」とは
 業界内にマンション管理受託戸数9位(2020年調べ)の「住友不動産建物サービス株式会社」が行ったことに衝撃が走ったニュースを言います。
 「住友不動産建物サービス株式会社」は、自社が管理を受託しているマンションの中から「不採算マンション」をセレクトし、次年度からの管理委託契約更新を断ったのです。
 なお「不採算マンション」とは、「小規模」とか「遠隔地」、または「手間がかかる」等のマンションを指します。

 もし「メタバース」普及したら・・・少なくとも「小規模」とか「遠隔地」といった理由で「不採算」になる可能性が相当に下がる(=管理会社に切られるマンション管理組合が激減する)と思います。
 フロント担当者の負担が大幅に低減され、マンションに出向く頻度が飛躍的に少なくなると思います。
 もっと極端に・・・管理員との連絡もリアル面会と同じような感じで行なうことができるので、基本的にフロント担当者が担当するマンションを訪問しなくても大丈夫になるかもしれません。

ガバナンスは強化されそう・・・

 「メタバース」導入によって、管理会社の管理職による部下のフロント担当者のマネージメントが強化されると思います。
 チームの社内会議も「1on1(ワン オン ワン)」のミーティングも誰も帰社していなくても時間さえ合わせば実施可能ですし、管理を受託しているマンション管理組合の理事会への参加も容易です。(そもそも会社の事務所が「メタバース」内に存在していて・・・リアルな事務所は無い!みたいな世界になるかも?)

1on1(ワンオンワン)とは
 個人面談といえば期末に実施する人事評価面談を思い浮かべる人が多いと思われますが、最近は米国シリコンバレー由来の「1on1(ワンオンワン)」という新たなミーティングの手法がトレンドになっています。
ヤフー株式会社をはじめ日本の大手企業でもこの1on1の採用が進んでいますが、1on1は組織の規模にかかわらず、これからの人材育成において非常に効果的な施策といえるものです。
 1on1とは、上司と部下が一対一で行う面談です。上司と部下の面談には業務の進捗確認や目標設定、人事評価面談などの面談が挙げられますが、1on1はこれらのどれとも異なります。
 1on1と従来の面談との大きな違いの1つは、実施サイクルです。従来、日々の業務指示やタスク管理とは別に上司・部下間で行われる一対一の面談は、四半期あるいは半年に1回が主流でした。対してシリコンバレー由来の1on1は、週に1回、最低でも1ヶ月に1回の短いサイクルで定期的に実施されます。また面談の時間も長くて30分程度です。
 また1on1は実施目的も異なります。これまでの面談は、上司から部下への指示や指摘、連絡事項が目的でした。
 それに対し1on1においては、上司は部下から日常の悩みや不安、業務に関する課題感などに耳を傾けて積極的に引き出すことが目的です。これはコーチングのような関わり方ともいえます。
 さらに、面談における関係性も1on1では従来の面談と大きく変わります。例えば人事評価面談は、上司と人事担当が部下に評価結果を納得してもらうために行うことから、自ずと上下の関係となります。一方で1on1にもやはり役職の上下関係はあるものの、内容が一方的な通達ではなく「対話」であることから、同じ目線で対話を行うことが前提となります。

出典:1on1(ワンオンワン)とは?部下を育てる個人面談

 次回は・・・「メタバース」によってマンション管理組合の受付業務が大きく変化しそうなので、そんなことをお話します。  (つづく)

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