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近未来の管理会社を考える(その4)

今回のシリーズは、「DX」により大きく変革を遂げるであろうと思われる「近未来の管理会社」「近未来の委託管理」の姿を「AI」・「ブロックチェーン」・「メタバース」といった技術を題材に考えたいと思います。

 「AI」の技術は、既に家電製品の中に入っていたり、様々なメーカーのホームページ等のFAQ等に活用されていますよね。「AI」は、私たちの日常生活に溶け込む欠かせない技術になった!と言えると思います。

 また「ブロックチェーン」は、ビットコイン等の「暗号資産(仮想通貨)」を実現した技術、「メタバース」は仮想空間の技術を指します。

 双方の技術は、日常生活に溶け込んだ・・・というレベルではなく、現在は「アーリーアダプター(モルモット的なレベルのユーザー)」が使い始めたくらいのレベルだと思います。

 でも、今後の(通信を含めた)技術革新が進めば、近い将来に私たちの日常に入ってくる可能性が高いのでは?と思います。
 これらの技術が管理委託の中に取り入れられると・・・どんなマンションライフになっていくのか?考えて行きましょう!

前回の記事は、こちら!   
 「近未来の管理委託を考える(その1)
 「近未来の管理委託を考える(その2)
 「近未来の管理委託を考える(その3)

AI(Artificial Intelligence)技術の波

「AI」とは?

 「AI」とは、生物の頭脳で行われている判断技術を電気回路の上で人工的に行う技術です。

 電気回路では、電気が通る(1)通らない(0)の2つの選択をすることができます。
 例えば・・・部屋の照明スイッチをONにすると照明が点灯するし、OFFにすると切れると思います。
 これって、2つの選択肢(スイッチON/OFF)の中からどちらを選ぶ(=入力する)と、結果(=出力)が決まる・・・みたいな感じですよね。

 そして、このスイッチを何段(何層)も重ねていくと・・・選択肢は、1段増える毎に2倍ずつ増えていきます。
 例えば・・・1段(1x2)=選択肢2つ、2段(2x2)=選択肢4つ、3段(2x2x2)=選択肢8つ、4段(2x2x2x2)=選択肢16、5段=選択肢32、6段=選択肢64→7段=選択肢32、8段→選択肢64・・・となります。

 これを応用して複雑な計算をしてくれるのがコンピューター・・・ということになります。
 ちなみにコンピューターの世界では前述の選択肢の数を「ビット」と言います。(うんちくのついでにお話しすると(笑)・・・現在のパソコンは64ビットコンピューターなので1秒間に最大50億回くらい!、64個の選択肢から1つを選ぶ計算をしてくれています)

 でもコンピューターは計算をしてくれるだけで、人間のように自分で考えて判断はしてくれません。
 なので・・・例えば(コンピューターの1種である)電卓に同じデータを入れて計算させると、必ず同じ結果が出てきます。

 ということで・・・本来コンピューターには判断能力がありませんが、「確率」に基づいて選択することはできます。
 例えば「右か左か選べ!」と命令(入力)すると、1/2の確率で右か左を選んでくれる(出力してくれる)・・・みたいな感じです。

 あくまで確率のお話なので、このプログラムを何回も試すと・・・「右」と出力される(=答えが出る)回数も「左」と出力される回数も(ほぼ)同じ回数になるはずです。
 でも・・・アルゴニズム(=プログラム)に「答え合わせをした結果、出力した内容で正解ならば、確率を上げ(=不正解ならば確率を下げ)といった確率を結果によって変化させろ!」といった命令が入っていると・・・話が変わってきます。
 このアルゴニズムで何回も計算(=学習)させると・・・例えば、必ず「右」が正解だったとすると「右」を回答する(出力される)確率が100%に近づき、「右」80%「左」20%が正解だったとすると「右」80%「左」20%で回答される確率に近づいていきます。(これを「AIに学習させる」と言います)
 そしてこれは・・・動物の頭脳の中でも行われているアルゴニズムなので「人工頭脳(AI)」と呼ばれています。

「AI」は身近な存在ですよね

 スマホだけでなく最近の家電にも「AI」入ってますよね。エアコンや冷蔵庫の温度管理や洗濯機や炊飯器なんかにもコソッと入ってます。

 そしてその進化がスゴイ!私が使う翻訳ソフトもAIのおかげですごく進化していて、変な和訳は、皆無になりました。(アンドロイドは正式版は出ていないけど・・・「DeepL」というアプリの翻訳機能は素晴らしい!)
 音声文字起こしも最新スマホ「Google Pixel 6」搭載のソフトは完璧に近いらしいですね・・・

「DeepL」には、Windows版があるので、是非お試しを!
   ※ 「DeepL」のダウンロードページ

 「AI」の技術は、私たちの日常生活の中に欠かせない技術になっちゃいましたね。

マンション業界と「AI」

マンション管理業界にもAI化の波が、すぐそこまで迫っていると思います。AI化等による技術の進歩によって、管理員等の業務の一部を機械が担う世界がそこまで来ているはず。(「夜明けは近い~♪」岡林信康(笑))

 例えば、エントランスや管理員室等に設置された「AIコンセルジュデスク」に座ってとか、各戸に設置されたインターフォン親機からとか、(マンションの外に居ても)手持ちのスマートフォンからとか「AI」と会話すれば・・・管理員の受付業務が全て完了する世界は明日に実現できそうです。

 マンション管理組合が支払う管理委託費の中で「管理委員業務費」は大きな金額を占めています。(専属で日勤される場合が多いと思いますので・・・そりゃそうです)
 「AI化の普及」によって・・・マンション住民へのサービスはより手厚くなり、管理員業務費の大幅削減ができそうな気がします。

 例えば、365日24時間受付でマンション住民が行う各種の手続きが完了(来客駐車場の予約、シェアリング自転車やシェアリング自動車!の予約、消防点検等の時間変更とか)・・・みたいな世界は現実的にあり得る世界だと思います。
 そして何より、最近の「AI」は、以前の冷たい感じから脱却して、随分とホスピタリティのあるインターフェイスに進化してます。

 将来は、高齢者が快適なマンションライフを送ることをイメージしたサービス提供・・・例えばタクシーやフードデリバリーの手配なんかも管理会社が担う、みたいな世界が来るかもしれません。
 介護サービスとか医療サービスとのコラボなんて世界も・・・あり得そうですね。

 または・・・マンション住民間の悩みの相談を聞いてくれたり、「茶話会をしましょう」みたいなコミュニケーションのエンジン機能を果たしてくれたり・・・みたいなことを「AI」が担ってくれるようになるかもしれません。

管理会社にとって「AI」は・・・

 管理会社に大きなメリットがあると思います。
 より細かなデータの取得的なところはさておき・・・業務の省力化につながるだけでなく、マンション管理組合が、学習を重ねてマンション住民に馴染んだ「AI」を放棄でき難くなると思うのです。

 そうなると・・・マンション管理組合から「管理会社変更!」と簡単に言われなくります。つまりこれは、顧客であるマンション管理組合に対する立場が強くなることを意味します。

 マンション管理組合側として、承知しておく必要があると思います。
 場合によっては、「AI」による管理員システムを管理会社から提供してもらうのではなく、マンション管理組合が別途準備する・・・みたいな検討も将来的にあり得るかも?と想像したりします。

 また、自主管理のマンションにゃ大手でない管理会社は独自の「AIシステム」を開発することができないので・・・
 「AI」ノウハウに特化したベンチャー企業が登場して、そうしたシステムを構築してサービス提供する・・・といった展開もあり得るかな?と思ったりしています。

「AI」がもたらす他の側面

 また世の中に「AI化」が進化することによりマンパワーにも変化がもたらされると思います。
 「AI化」によって・・・職が無くなりそうな業種(例: 事務員・銀行員・警備員・店員・運転手・ホテル従業員・建設従事者・工員・他)が生まれるからです。
 そうして業種から優秀な人員の流入(=「なり手不足」の解消)が期待できるでしょう。
 でも、そのためには・・・管理会社は、働きやすく生産性の高い職場環境を作っていかなければならないだろうと強く思います。

今回のまとめ

 「AI」の技術を使うことで・・・マンション管理組合は(管理員業務等の人件費削減により)安いコストで管理を委託できると良いなと思います。
 また管理会社も、マンション管理組合から管理を受託している強みを生かして、管理委託契約とは違う新たな分野で事業を成立させる・・・みたいな世界が広がるかもしれません。

 そうなると・・・「あなたのマンションは、(遠隔地・小規模な)不採算マンションなので撤退します」みたいなことは防止できるのでは?と思います。(それは・・・「ブロックチェーン」や「メタバース」の技術も同じかも?)  (つづく)

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