近未来の管理会社を考える(その10)
前回は、読者さんからの質問(「別に今のままで良いのでは?」)に反応した(感じた)ことを書きました。
私が書いた内容を要約すると・・・マンション管理組合が「これまでどおりで良い!」と旧態然としたまま管理運営を続けると、これからの購買層(新たに住んでくれる人)となる「Y世代」特に「Z世代」に受け入れてもらえなくなる可能性が高くなるかもしれないです。(「今のままで・・・」みたいな発想があるから、どう考えても・・・マンション管理組合の資料は、デジタルアーカイブ化をしなければならないのに、その有効性に気が付かない、気が付いても重い腰が上がらないのだと思います)
「Y世代」「Z世代」に受け入れてもらえない既存のマンションは、少子高齢化の渦の中で立ち枯れて行くだけ(=SDG´sを達成できなくなる)危険性が高くなるかもしれないからです。
だからこそ、これからの技術である「Web3.0」に代表される「AI」・「ブロックチェーン(NFT)」・「メタバース」を上手く取り入れることを検討する気持ちが肝要かも?・・・と言ったお話をしました。
その一方で「Web3.0」に弱みがないのか?というと・・・実はそうでもなく、自由な思想は大いに結構だけれども・・・安定性や永続性に疑問を感じる部分もあるかな?と感じます。
年々理事役員が輪番で入れ替わり続けるマンション管理組合にとって、それは尚更です。
例えば(管理規約や総会議事録等の)管理組合資料の正当(正統)性を担保する目的で「NFT」の技術を使ったとしても・・・専門的な知識や経験、または日進月歩する技術吸収していくスキルアップを続けなければ、安定性や永続性が実現しないとしたら、マンション管理組合にとって「NFT」は使えない技術になるかもしれません。
今回は、素人集団で理事役員がクルクル交代していくマンション管理組合が「NFT」を上手く使うための方法を考えたいと思います。
前書きが長くなりました。今回も消化不良というか、机上論だけで実践が伴っていないペラペラの内容なのですが・・・懲りずに書きます。お付き合いください!
仮想通貨に対する国家の対応
「Web3.0」は、国家も支配者も排除して自由な自分たちだけの世界を実現したい!・・・的な発想が根底にあることは、何回かお話しました。
一方の国家は、どう考えているのかというと・・・歓迎していないかも?と思います。自分たちのガバナンス(統制)が行き届かなくなるからです。
特に中国では、とても神経質になっているようです。
2021年のニュースで記憶に新しいのですが・・・中国人民銀行は「ビットコイン」等の暗号資産(仮想通貨)の決済等を全面的に禁止しました。
しかも単に禁止するだけでなく、違法な金融活動としてあ、取引に参加した関係者には刑事責任を追及すると宣言しました。(中国国内から海外の取引所で取引することも違法らしいです)
それなのに…中国は仮想通貨を
中国(中国だけではないけれど・・・)は、仮想通貨の利便性や影響力を理解しており、自分たちのガバナンスが行き届く仮想通貨を出そうとしています。それが中国人民銀行が発行するであろう仮想通貨「中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)」です。
ちょっと・・・この「中央銀行デジタル通貨」を考えてみたいと思います。
「え~マンション管理組合と関係ない話と違うの??」と思われたかもしれませんが、「国家」を「管理会社」に置換えると・・・何か見えてくる世界があるかも?と思ったのです。お付き合いください!
「中央銀行デジタル通貨」のメリット
「中央銀行デジタル通貨」は、国家が管理してくれる「仮想通貨」なので、難しいことは国家がやってくれます。国民は、ただそのサービスを使うだけで良いのです。
つまり、高度なスキルが必要な「仮想通貨」であっても、国家が管理してくれるので、国民は安心して使えます。安定性や永続性の実現に何の問題もないということです。
また・・・コスト面でも大変に有利です。
国家が発行する紙幣や硬貨の(製造・運搬等の)手間やコストだけでも・・・「中央銀行デジタル通貨」のメリットは図り知れません。
銀行窓口やATM等の設置も必要なくなるでしょう。(それはそれで、銀行の仕事が無くなることになるのだけれど・・・)
その他、納税や還付金・助成金等の申請といった各種の手続きも超高速化されるでしょう。(例えば・・・コロナ渦での助成金支給についても、国民の情報把握やIT化等の進んだ「ドイツ」と、そうでない「日本」では、時間や支給の経費に大きな差が生じましたよね。その効率性がもっともっと・・・異次元のレベルで広がると思います)
国家の戦略的にも有効性が
また、お金の流れをビッグデータで解析することによって得られる情報には、恐ろしい位の力を秘めていそうです。(国家が国民を管理する・・・みたいなことも簡単にできそう・・・)
また中国の場合は・・・国内だけでなく海外に中国資本を行き渡らせる野望の実現に大きく関与できる!と考えていると思います。
毎年、マネージャーが交代するマンション管理組合では、巨大な組織にマネージメントされるメリットもあるかもしれないと思います。
国家が管理するように「NFT」を・・・
マンション管理組合の「NFT」を使ったデータ管理も「中央銀行デジタル通貨」と同じ考え方で管理した方が・・・安定性や永続性の実現につながると考えることもできます。
じゃあ・・・ということで、大手の管理会社が「NFT」を使ったデータ保管システムを独自に開発したとします。
でもこれって・・・中国の「中央銀行デジタル通貨」以上の縛りをマンション管理組合に与えてしまうかもしれませんよね。
管理会社が管理するデータ保管システムを導入した管理組合は、たぶん(データ管理システムを提供する)管理会社から離れることができなくなりそうです。(「AI」の時にお話した時と同じ問題が生じそう)
「NFT」技術を使うか?使わないか?は、さておき・・・管理会社から「マンション管理組合のペーパーレス化を推し進めるために、自社で開発したデータ管理システムを提案します」みたいな提案は出てきそうな気がします。また、そんなシステムができたら・・・新築マンションには予めこうしたシステムが導入されるでしょうね。
そうなると、(築年数がそこそこ経過した)物心ついた頃のマンション管理組合が「管理会社を変更したい!」と考えても(管理会社独自のデータシステムが導入されているから)できない・・・みたいな事態に陥ることもあるかもしれません。
何となくですが、管理会社には情報管理システム構築に係わって欲しくないなあ・・・問題あるかもなあ・・・と個人的に思います。
じゃあ誰か他に音頭を取る人は・・・
私は、それを「公益財団法人 マンション管理センター」がやってくれたら、と思います。いや、やらなければならないと思います。同センター(略称「マン菅センター」)は、「マンション管理適正化法」によって、マンション管理組合側に立った活動をする団体として設立され、認定されている組織です。
ホント・・・ここに頑張って欲しいなと思います。
「マンションみらいネット」
同センターのマンション管理組合向けサービスに「マンションみらいネット」があります。このサービスに登録したマンション管理組合は、自身の電子データの保管場所(クラウド)を提供され、自身のデータをクラウド上にいつでも保管し閲覧できます。
ところが・・・このサービスを利用するマンション管理組合は、とても少ないと聞いています。
その理由は、クラウドにデータを預けても・・・結局は紙ベースのデータを保存しなければならないからでは?と思います。
親方日の丸?の「マン管センター」が「NFT」技術を使って紙ベースのデータを捨てても大丈夫!みたいなインフラを作ったら・・・資料の保管場所に困るマンション管理組合に重宝されそうな気がします。
「マン菅センター」には、是非!システム構築して、マンション管理組合にサービス提供して欲しいと思います。
次回は、「メタバース」を取り上げたいと思います。 (つづく)
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