[ポチ子ちゃんと街の友だち2]

「ポチ子ちゃんと街の魔法使い」

 「まあまあ。二人とも、ゲームは、もうよしなさい。」
おかあさんは、そう言って、あきれがおです。子どもたちは、夢中でした。
「あなたたちは、あれね。魔法使いね。」
え?と二人は振り向いて、尋ねました。
「おかあさんには、ちっとも仕方がわからないもの。」
「そうかなあ~。」
「さ、もう寝ないと。明日にひびくよ。」
「おかあさんこそ、魔法使いだよ!そうしてわたしたちのこと、すぐわかるもん!」
おかあさんは、困り顔して、ふふふと笑いました。

ある日、上の子は、泥だらけで帰って来ました。学校の子どもたちに、泥だらけにされたのです。上の子は、ポチ子ちゃんにそっと話しかけました。
「ポチ子ちゃん、やられちゃったよ。でも、やり返さなかったよ。それが、本当の勇者ってものなのさ!」
半泣きの勇者は、強がって、ぎゅっと笑みを作りました。
ポチ子ちゃんは、話を聞くと、そっと泥をなめとりました。
「うっ、うっ。」
涙がぽとり、ぽとり、と落ちて行きます。
「ポチ子ちゃんは、魔法使いかもしれないなあ~。なんだか、元気になった気がする!」
勇者と魔法使いは、とても仲良しなのでした。

「おかあさん、本当の魔法使い知ってる~?」
「なあに?」
「、、ポチ子ちゃんだよ!!」
あはは~、と笑って、子どもたちが元気よく、飛び出して出掛けるのを、おかあさんは、いつも通り眺めながら見送りました。
さて、本当の魔法使いは?一体誰だと思いますか??


 

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