長島遼大

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長島遼大

いろんな生き方や働き方を紹介する求人サイト「日本仕事百貨」で働いています。週末は農を起点としたコミュニティつくりをしています。

マガジン

  • バックパッカーだった時の文章(2018/4~2019/3)

    環境問題を自分の目で見て考えるため、半年間で13カ国を周り、5カ国でボランティア活動をした時の記録。

  • 編集ライター養成講座

    宣伝会議46期を受講し、その際に書いた文章たちです。

  • 日記(2021/2~3)

    唐突に始めてみた毎日投稿。3週間くらい続いたかな?

最近の記事

「生きている間は福島に住み続けて廃炉を進めていく」 ――福島原発5号機ツアーを続ける経産省職員の決意と覚悟

福島第一原発内にある巨大なタンクの数々。その数は1000基を超える。タンクの中身は処理水。浄化処理された汚染水が処理水である。政府は2021年4月に、この処理水の海洋放出を決定している。処理水の放出予定時期は今夏だ。 今回お話を伺ったのは、経産省職員の木野正登さん(54)。彼は2011年3月20日に東京から福島へ 異動となり、今日まで、処理水を含む福島第一原発の廃炉を担当している。廃炉への理解を深めるために、3年前から開始した福島第一原発5号機ツアーは、2か月先まで予約が取

    • 水俣と地蔵と私

      滞在中、時間のあるときはひたすら地蔵を掘っていた。横浜に戻る数日前に完成したその地蔵は、埋め立てられた水俣湾の跡地に造られた公園に安置される予定だった。しかし、コロナが流行し、安置式を行うことができなくなった。 それから数年が経った昨日、6年ぶりに安置式が行われたそうだ。水俣に住む人にとって大切な1日。 私が彫った地蔵もようやく海と夕焼けを眺められただろう。頭の片隅で気になっていたことが無事に終わり、一区切りがついてほっとした。 光栄なことに、安置式を主催した本願の会の会

      • 福島原発5号機ツアーを続ける経産省職員の決意と覚悟

         ふっと笑って木野さんがゆっくりと話し出す。私は見えないように小さくガッツポーズをして、インタビューを始めた。 「ものすごく長いのですが、経済産業省、資源エネルギー庁。えー、事故収束対応室の廃炉汚染水処理水対策官という役職です。」  木野さんはあまり笑わない。原発事故が起きて福島へ出向し、それから12年間、住民や漁業関係者、東京電力社員といった多くの人と廃炉について話してきた。ときには罵声を浴びたり、心苦しい思いをたくさん経験してきたのだろう。 以前会った時に、「感情が麻

        • 私の好きな場所「えんちゃん農場」

          「レタスは4種類、春キャベツはぜひ生で。カーボロネロは結球しないキャベツで菜花は苦みがあっておいしい。カブは間引きだから小さいけどテキトーに取って齧ってみな。スイスチャードは3色あるけど茹ですぎると色落ちするからね。」 と長岡さんは畑に来た人へ丁寧に説明し、収穫のサポートをする。  4月は端境期と言われ、一般的には畑で収穫できる農作物が少ない時期だ。周りの畑を見ても夏に向けた作付け準備のためか、土は耕されているが野菜はない。そんな中、この畑には畝ごとに様々な野菜が並ぶ。

        「生きている間は福島に住み続けて廃炉を進めていく」 ――福島原発5号機ツアーを続ける経産省職員の決意と覚悟

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        • バックパッカーだった時の文章(2018/4~2019/3)
          36本
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          23本

        記事

          野菜のカタチ

          土からひっこ抜いた野菜は 私たちが思い浮かべるような 太くてまっすぐ伸びている大根や ごろっと立派なさつまいも といったものばかりではなくて。 おかしな方向に伸びていたり、 途中でふたつに分かれていたり、 思わずクスッとしてしまうものも多かったりする。 土の中に埋まっている野菜は、 大抵は思っていたようなカタチではなかったりするものだ。 だからこそ面白い。 今年もさつまいもの収穫の時期がやってきた。 みんなで一気に土を掘るのが毎年の恒例行事。 そして、い

          野菜のカタチ

          じゃあ結局あなたは何がしたいの?

          日曜日の朝。 オリナスのスタバの窓際に座って外を眺めている。 雨が強く降っていて、傘をさした人たちが従業員口に向かって歩いてくる。 これから商業施設で1日働く人たち。お疲れさま。 警備員はカッパを着て交通整理。この天気で1日雨に打たれるのね、ご愁傷様です。 でも雨の日のサッカーの試合、個人的には嫌いじゃなかったなぁ。こんな天気でも俺はボールを追っかけている!って浸ってたのかもしれない(笑) 朝のスタバは勉強熱心な人たちが多くて、なんだか居心地が良い。 みんなやることやっ

          じゃあ結局あなたは何がしたいの?

          音楽や文学とか。

          Feb 7, 2021 by Ryota Nagashima 「人生に意味なんてない」と、 多くの人は気づいているはず。 それでも意味を見つけようと足掻く、もがく。 そこに人の美しさを見出したいと思う。 私が好きなアーティストのKID FRESINOがインタビューでこのように語っていた。  引用元:CINRA.NET/KID FRESINOが示す良好なバランス。多層的な創作者としての姿勢 意味なんてないと分かっているけれど、 それでも意味を見出そうとしている人

          音楽や文学とか。

          金木犀

          Oct 17, 2020 by Ryota Nagashima 今年は堂々と金木犀の香りを嗅ぐこともできないなぁと思いながらも、周りを確認しては、夜道でこっそりマスクを外して楽しんでいた。 すれ違う人は香りにはあまり気を留めない様子で、 相変わらずマスクを付けたままだから、 結局、いつもよりも金木犀を独り占めできた気分がした。 そんな数日間を過ごしていたのだけれど、 先日の長雨で金木犀の花は散っていった。 気のせいかな。今年は例年に比べて咲いてから散るまでが早か

          ひまわり

          Sep 3, 2020 by Ryota Nagashima ゴッホのひまわりと向き合ったときに、 この人は絵を描くのが本当に好きだった、 そして特に、このひまわりを描いたときは楽しかったんだろうなぁと感じた。 もちろん、ゴッホの生涯は本や映画を通じて知っている。だからこそ、実際にゴッホ自身がどう思ってたのかは分からない。 しかし、少なくとも私は、この絵から溢れるような描く喜び、もっと言うと、"愛"を受け取った。 そこにはゴーギャンの存在も大きいと思う。 当時は

          ひまわり

          本日をもって

          Feb 16, 2020 by Ryota Nagashima 本日をもって営業を終了します。  長い間ご利用いただき誠にありがとうございました。 街を歩いていると書いてある文字。 前向きな廃業なのか、経営不振だったのかはわからない。何しろお店があったことすら今日知ったのだから。ただ、しばらく僕の頭からそのカフェのことが離れなかった。 以前、友人がこんなことを言っていた。 なにかを作ること。なにかを表現すること。 それがなかったら生まれなかったものがある。 例

          本日をもって

          土と宇宙。

          ひとすくいの土の中に宇宙を感じた。 全身に塗りたくってそれを自分の中に取り入れたいという欲求を抑え、春ダイコンの種にそっと土を被せる。 生命を育む土は、 その土地の記憶そのもの。 しかし、どれほどの記憶を宿しているのか、僕らには知る由もない。 「土の中で生まれて、育ち、やがて死に、土へ還る。」 土は生物にとっての母体だ。土の恵みを分け与えられ、僕らは生きている。 農家は言った。 「人間の体は、もともと野菜からビタミンを取る必要があって、だからこそ生えている植物を食べ始めた

          土と宇宙。

          願い

          Dec 16, 2019 by Ryota Nagashima 畑に継続して行くようになって1年が経とうとしている。 冬の土はとても冷たい。 ずっと触っていると体の芯から冷えてくる。 そんなことを1年前にも思っていたなぁと、 土をいじりながらふと思い出す。 感覚で記憶が蘇るってなんだか豊かだ。 農業は循環しているという当たり前のことを学んだ1年だった。種から芽が出て成長し、実がなり枯れて、土へと還る。何かと変化を求められる現代において、変わらない生物の循環を感じ

          友人たちとの旅にて。

          Oct 2, 2019 by Ryota Nagashima 夏の終わりに、それぞれ違う分野で活動する同年代の表現者たちと高松へ行き、美術館を見て回った。分野が違うと、1つの作品を見ていても目の付け所が違うし、そもそも世界の見え方も変わるんだなぁと改めて思った。自分が感じたことを忘れないために、ささっとメモ程度の文章です。 直島で安藤忠雄の建築を見ていた時に、 建築を学んでいる友人が、 「悔しい!」と言っているのを聞いて、 彼女のフィールドはここなんだと実感。 絵

          友人たちとの旅にて。

          ことばの広がり

          Jun 3, 2019 by Ryota Nagashima 小説家の上原菜穂子さんの言葉。 「私にとっての宝物は、知らないところが、私の外に限りなく広がっているということ。常に自分にはまだ見えていないことがあると思っています。」 だから彼女の言葉には広がりがあるのか。 言葉の裏側にある、分からない何かへの期待感を感じさせてくれる。 そんな表現を持った人の思考を少しだけ垣間見て、なんだか妙に納得をしてしまった。 言葉って発した瞬間に、そこに意味を縛りつけるものだと

          ことばの広がり

          残るもの

          Apr 20, 2019 by Ryota Nagashima 言葉について考える。 例えば1000年後にはどんな変化をしているんだろうとか、 たくさんの本が毎日出版される中で、 どんな本が、言葉が、 後世の人たちに読まれるんだろうとか。 絵画の歴史を辿ると、 在るものをそのままに書くという表現の先にあったのは、抽象画の世界だった。 画家の手によって完結するのではなく、 受け手の中で広がる作品。それらの作品は、 その時代の人々によって受け取る印象が変わっ

          残るもの

          何かを生み出すこと

          Feb 25, 2019 by Ryota Nagashima 曲を作る友人にこう伝えたことがある。 何かを表現する場を持っていて羨ましい。と。 なんと自分勝手なことを言ってしまったんだと今となっては後悔している。けれどその時はたしかに嫉妬していた。表現をする方法はいくらでもあるのに、自分にはそれが何もないと思っていた。 しばらくして旅をすることになり、 言葉を使って表現するようになった。 それまで溜めていたものが一気に吐き出されたのか、文字を打ち込む手は止まら

          何かを生み出すこと