ことばの広がり
Jun 3, 2019 by Ryota Nagashima
小説家の上原菜穂子さんの言葉。
「私にとっての宝物は、知らないところが、私の外に限りなく広がっているということ。常に自分にはまだ見えていないことがあると思っています。」
だから彼女の言葉には広がりがあるのか。
言葉の裏側にある、分からない何かへの期待感を感じさせてくれる。
そんな表現を持った人の思考を少しだけ垣間見て、なんだか妙に納得をしてしまった。
言葉って発した瞬間に、そこに意味を縛りつけるものだと思う。
言葉に縛られていると理解していないと、
ある意味で言葉に頼り、自信を持って吐き出してしまう。そんな言葉は死んでいるし、毎日大量に生産されては消費されてしまう。
そう考えて最近は、文章を書く行為は人には見せない日記だけ。
言葉を置くことで生まれる意味に、重荷を感じていた自分がいた。
そんな時に上原菜穂子さんの言葉を見て、
久しぶりにまとまった文章を書いてみようと思えた。知らない世界があるという希望を抱くには、言葉によって"意味"を縛りつけるという行為が必要だろうと気づくことができた。
縛りつけることによって、縛られない何かを感じることに繋がるのだろうし
知らない世界があることも知らずに、毎日を同じように繰り返し過ごすことの違和感を、感じることさえ出来なくなってしまったら
せっかく"言語"という表現手段を獲得した人間であるのだから、その不自由さを楽しんでみよう。私の外に広がる知らない世界を感じ続けるためにも。
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