土と宇宙。


ひとすくいの土の中に宇宙を感じた。
全身に塗りたくってそれを自分の中に取り入れたいという欲求を抑え、春ダイコンの種にそっと土を被せる。
生命を育む土は、
その土地の記憶そのもの。
しかし、どれほどの記憶を宿しているのか、僕らには知る由もない。

「土の中で生まれて、育ち、やがて死に、土へ還る。」
土は生物にとっての母体だ。土の恵みを分け与えられ、僕らは生きている。

農家は言った。
「人間の体は、もともと野菜からビタミンを取る必要があって、だからこそ生えている植物を食べ始めたのか。もしくは、食べられる野菜が身近にあったから、次第に体の構造が外部からビタミン等を取るように変化していったのか。」
そんな鶏が先か卵が先か議論のような事を考え続けながら、土をいじっているらしい。

土の上で僕らは思いを巡らせる。宇宙から見たらとてもとても短い人類の歴史において、その大半の人が今日の僕のように、土の上で様々な事を考えてきたのだろう。
生きると農業が必ずしも一致しなくなった現代において、これから僕はどのような事を考えて土に触れるのか。今年も一年が楽しみだ。


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