本日をもって

Feb 16, 2020 by Ryota Nagashima

本日をもって営業を終了します。 

長い間ご利用いただき誠にありがとうございました。


街を歩いていると書いてある文字。

前向きな廃業なのか、経営不振だったのかはわからない。何しろお店があったことすら今日知ったのだから。ただ、しばらく僕の頭からそのカフェのことが離れなかった。


以前、友人がこんなことを言っていた。


なにかを作ること。なにかを表現すること。

それがなかったら生まれなかったものがある。

例えば今日のイベントを主催する人がいたから、

人が集まって、各々が持ち帰り、日々の生活に少しだけ変化がうまれたり。

それって変化が生まれた人にとっては偶然であり、一方で必然でもあったんだよ。

ただし、このイベントがなかったら生まれなかった変化だ。と。


続けて彼は、

作り出されたものによって、何らかの変化が受け手に起こる場に遭遇したときに感動を覚える。

と言っていた。


このカフェは、

このカフェがあったからこそ生まれた出会いや変化がどれくらいあったのだろうか。どれだけ多くの人が大切にしていた場所なんだろうか。

そんなことは可視化できないし、可視化できたところで店は今日で終わってしまうのだけれども。

ただ、営業終了という事実だけを切り取って、

「儲からなかったんだね」と言ってしまうのは、

友人の話を聞いてから、何となくできなくなってしまった。



昨日まであったものが今日なくなったところで、変わることなんてほとんどない。悲しい気もするけれど、だからこそ世の中はまわっている。

でも、なかったものが生まれたことによって生じた変化は大なり小なり必ずあると思っている。

たまたま読んだ本の一節が忘れられなかったり、

ある人にかけてもらった言葉で前を向けるようになったり。

だから、世の中になかったものを生み出すことって、とても素敵だ。それは、誰かにとってなくてならないものになりうるのだから。

言葉を発することだって、生み出すことの1つだから、丁寧に発することを心がけたい。


今日終わってしまうカフェの店主さんは、

自分が生んだ空間でどれだけの気づきや感動があったのだろうか。名前も顔も知らないけれど、店主の次の挑戦も応援したい。

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