「思わずニヤニヤしてしまうツンデレ物語」を描こう!!|【第6χ(第27話) Ψ厄に遭わない為には…】「斉木楠雄のΨ難(第1期)」を三幕構成で分析する
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分析対象
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕(1):学校。生徒たちの間で、とある占い師が話題になっている → しかし、楠雄や海藤は「占いなんて幻想だ」と無関心
・第1幕(2):放課後、楠雄が偶然占い屋の傍を通りかかる → 客の列の中に海藤がいる。楠雄は呆れる
・第2幕前半:楠雄は思う「この店、インチキ臭いな。少し観察してみるか」 → 海藤が店に入る。楠雄も透明人間になり、後に続く → 占いが始まる。当初は占い師に疑念を抱いていた海藤だが、すぐに虜になってしまう
・第2幕後半(1):海藤が「友達がいない」という悩みを抱えていると判明 → 占い師が海藤に助言する。楠雄は「この占い師、悪人ではなさそうだぞ」とひと安心して微笑む
・第2幕後半(2):直後、占い師が海藤にネックレスを売りつけようとする → 楠雄は唖然。やっぱりインチキ占い師だ!
・第3幕:ところが海藤は「買います!」 → 楠雄は呆れ果てる → だがその時、海藤が「これを付ければ、楠雄とも友達になれるんだよな?」 → 楠雄は「……海藤がどうなろうと知ったこっちゃないが」と呟きながらも、占い師をとっちめる
ポイント②
<1>
いやぁ、この物語……すごい!
思わず頬が緩み、ニヤニヤしてしまいます♥
本話の見どころはズバリ2つ。【楠雄のツンデレっぷり】と【海藤のアホかわいさ】でしょう。
<2>
まずは、本話の前提となる【楠雄と海藤の関係】を整理しておきましょう。
海藤……彼は中二病の少年です。
そして、楠雄のことが大好き。どうやら「無二の親友」という関係になりたい様子。しょっちゅう楠雄に話しかける。隙あらば、楠雄を遊びに誘う。
一方、楠雄。彼は虚無的・厭世的な少年です。いつもしらけ気味で、感情の起伏に乏しい。
人間関係も同様です。「熱い友情」だなんて最も苦手とするところでしょう。ゆえに、楠雄は海藤を嫌っているわけではないものの、しかしなおざりに扱うことが多い。
そう、2人の「友情」には決定的な温度差があるのです。
ポイント③
それでは本話の見どころの1つ、【楠雄のツンデレっぷり】をご説明しましょう。
楠雄の行動を整理すると……
・【1】心配、言い訳、付き添い:海藤が、占い屋の行列に並んでいる。楠雄は「この店、インチキくさいな。よし、少し観察してみるか」。楠雄は透明人間になり、海藤に付き添う
・【2】安心:占い師が、海藤にまともなアドバイスを送る。楠雄は「この占い師、悪人ではなさそうだ」とひと安心
・【3】言い訳、手助け:海藤が占い師に騙される。楠雄は「海藤がどうなろうと知ったこっちゃないが」と呟きつつも、占い師をとっちめる
・【4】言い訳:事件解決後、楠雄が言う「ネックレスを付ければ僕と友達になれるだなんて思われたら、迷惑だからな」
一目瞭然ですね。
嗚呼、このツンデレっぷり!
「この店、インチキくさいな。よし、少し観察してみるか」だの、「海藤がどうなろうと知ったこっちゃないが」だの、「ネックレスを付ければ僕と友達になれるだなんて思われたら、迷惑だからな」だの、楠雄は繰り返し言い訳していますが、まぁ、海藤のことが心配で仕方ないんでしょうね。
「お前は海藤の保護者か!?それとも恋人なのか!?」とツッコミたくなりますね♥
ポイント④
続いて、【海藤のアホかわいさ】に注目しましょう。
海藤の行動を整理すると……
・【1】楠雄の前でカッコつける:海藤は、楠雄の前では「ふん、くだらんな。占いなぞただの幻想だ」と発言。しかし実際には、こっそり占い屋を訪問する
・【2】気づかない:占い屋の行列に並んでいるところを、楠雄に目撃される。しかし、海藤はそれに気づかない
・【3】騙される:うさん臭い占い師を前に、「この人、本当に特別な力を持っているのか?」と訝しむ海藤。しかし占い師が巧言を弄すると、ころっと騙されてしまう
・【4】見抜かれる、じつは密かに友達がいないことを悩んでいる:占い師はすぐに察する「あっ、この子は友達がいないという悩みを抱えているのね」
・【5】楠雄のことが大好き:海藤が占い師に訊く「このネックレスを付ければ、楠雄とも友達になれるんだよな?」
・【6】真実を知らない:楠雄の超能力で一件落着。しかし海藤は何が起きたのかわからず、ポカンとしている
これまた一目瞭然ですね!
嗚呼、このアホっぽり!ピュアっぷり!お前はどれだけ楠雄のことが大好きなんだ!
本当にかわいいですよねー♥
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私は、いわゆる「BL脳・やおい脳」「カップリング中毒・カプ厨」の類ではありません。
しかし本作は、そんな私でも思わずニヤニヤしてしまう名作です!すごい!
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(担当:三葉)