冬アニメ「魔法少女にあこがれて」の研究 ～悪いのはアズールだけなのか？いや、違うだろ！
🥳本記事では、ポプカルMAXによるオンライン座談会「アニメ語り」（24年3月3日実施）の内容を一部抜粋してお伝えします。なお、完全版は動画でご覧いただけます→ こちら
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＜座談会の参加者紹介＞
👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年120作以上のアニメを見続けて20余年。好きな魔法少女アニメは「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」。
👉村上空気 好きな魔法少女アニメは「撲殺天使ドクロちゃん」。 →X（旧Twitter）でフォローしてね！！
✨才能を開花させたうてなは、自他ともに幸せ一直線！一方、アズールはどこまでも堕ちていく……
※前記事に引き続き、冬アニメ「魔法少女にあこがれて」について議論します→ 前記事はこちら
村上：さて、ここではうてなとアズールを比較してみたい。
清水：ほぉ。
村上：まずはうてな。彼女は第1話でヴェナリータと出会ったことをきっかけに、「真性のサディスト」という才能を開花させる。
清水：うん。
村上：そして、その結果として皆がハッピーになった。うてな自身はおそらくは無意識の内に心の底に押し込めてきた欲望を解放できたわけだし、キウィやこりすという素敵な仲間にも出会えた。一方、キウィやこりすからしても、うてなが才能を開花させて悪の女幹部になったからこそ、うてなと知り合うことができたわけだからね。
清水：そうね。
村上：また、うてなが才能を開花させて女幹部ベーゼになったことで、アズールは最高のパートナー（笑）を得たわけだし、サルファにしても本気で戦える好敵手を得たと言える。
清水：ふむふむ。
村上：つまり「それまで隠れていた才能を開花させたことで、うてな自身も周囲の人も幸せになった」というわけだ。
清水：ふむ。
村上：一方、アズールはどうか？彼女は第1話でベーゼと出会ったことをきっかけに、「真性のマゾヒスト」という才能を開花させたわけだけれども――。
清水：うん（笑）。
村上：その結果、皆が不幸になった（笑）。
清水：（笑）。
村上：アズール自身はどこまでも堕ちていく自分に戸惑い、困惑しただろう。さらには恋焦がれるベーゼから「解釈違いにもほどがある」と叱られるに至り、絶望する。
清水：そうねぇ（笑）。
村上：共に戦うマゼンタやサルファだっていい迷惑だ。何しろ、頼りないアズールのせいで連敗続きだからね。そしてまた、アズールが完堕ちしたせいでベーゼも不幸になってしまう。
清水：確かに。
村上：とまぁこのように、アズール自身も周りの人も皆不幸になっているわけだ。
清水：なるほど。
村上：でね、俺は声を大にして問いたい！なぜアズールだけがこうなってしまうのか、と（笑）！
清水：（笑）。
村上：だってそうじゃんか！同じ時期に目覚め、同じように覚醒していったうてながハッピー一直線なのに対して、なぜアズールばかりがひどい目に遭うのか（笑）！
清水：うーん……開花した才能が戦闘に役立つかどうかの違いなんじゃないかなぁ？うてなの能力は戦闘に大いに役立つけれど、アズールはただただ無能になってしまったから……。
村上：おっ、何だ（笑）！何かの役に立たない人間・生産性のない人間には幸せになる資格がないってか（笑）？
清水：そんなことは言っていない（笑）。
村上：そうか（笑）。
✨魔法少女チーム「トレスマジア」のあり方に問題があるのでは？
村上：話を戻そう。すなわち――なぜアズールばかりが不幸になるのか。
清水：うん。
村上：もっと言うならば、なぜアズールは「解釈違いにもほどがある」とベーゼに叱られるところまで堕ちてしまったのか。
清水：そうね（笑）。
村上：もちろん、アズール自身に問題がないとは言わないよ。彼女の性格的な弱さも一因だとは思う。たださぁ、アズールだけの問題とも思えないのよ。
清水：ほぉ。
村上：だってさ、アズールがヤバいことになっているのになぜマゼンタとサルファはそれに気づかないのか。なぜ助けてやらないのか。たった3人きりの仲間だぜ？助けてやれよ！――と思うわけ（笑）。
清水：なるほど（笑）。
村上：もしもだよ、もしもキウィちゃんやこりすちゃんが魔法少女サイドにいたら、きっと敏感に異変に気づいて手を差し伸べてくれたと思うのよ。
清水：確かになぁ。改めて考えてみると、魔法少女サイドは、悪の組織サイドと比べて何となく人間関係が薄い感じがするね。
村上：そうなのよ！例えば――サルファはサディストっぽいキャラだ。「アズールはん、うちが殴ってあげるから悪の組織との戦いではしっかりしぃや！」とか言ってぶん殴ってやってもいいと思うのよ！魔法少女チーム内でSMやってりゃいいじゃない（笑）！
清水：（笑）。
村上：そしてマゼンタはマゼンタで、リーダーのくせに周りが見えてなさそうじゃん（笑）。
清水：そうねぇ……彼女は「幼女向け魔法少女アニメを実体化しました」って感じのキャラだからなぁ（笑）。
✨マゼンタに「欲望」はあるのか？
村上：ところで、マゼンタについてはちょっと思うところがあるんだ。
清水：ほぉ。
村上：第6話、マゼンタはネロアリスに捕まって赤ちゃんプレイの餌食にされた。
清水：ふむ。
村上：途中、マゼンタは正気を取り戻す。しかし「ネロアリスが赤ちゃんプレイを続けたがっている」と気づくと――彼女は羞恥心を押し殺して相手をしてやる！
清水：うん。
村上：このエピソードから明らかなように、マゼンタは利他主義者なんだと思う。「人から望まれるから・求められるから」という理由で悪と戦い、「困っている人がいるから」という理由で人助けをする。たとえ相手が悪党であろうとも、求められれば応じてしまう！
清水：そうね。
村上：つまり、マゼンタには自分というものがない。自分自身の欲望と呼べるものがない。そう言っていいと思う。
清水：あー。
村上：他のキャラがサドだのマゾだのと言っている中で、彼女だけは空虚な存在なんだよ。
清水：ふーむ……しかし、「マゼンタはまだ本性を露わにしていない」と解釈することもできるかもね。
村上：なるほど！そういう解釈も成り立つな。
清水：じつは彼女は誰よりもヤバい欲望を心の奥底に隠しているのかもしれない（笑）。
村上：ドロドロの何かを隠し持っているわけか……怖い（笑）。
✨見よ！この声優陣の強さ！！
清水：話が変わるけれど――本作の特徴の1つとして、声優さんの強さがあげられると思う。
村上：いやぁ、まったくその通り。反則級の強さですよ（笑）。
清水：（笑）。
村上：だってさぁ、ヴェナリータが福圓美里さんで、ヴァーツが阿澄佳奈さんって……もうこの時点で俺はダメだ（笑）。
清水：（笑）。
村上：さらに俺の好みを言わせてもらうと、やっぱり古賀葵さんね。
清水：好きだねぇ。
村上：大好き（笑）。
清水：そういえば作中で、「魔法少女ミラクルみみる」なるアニメが流れるけれど、あの声優さんもすごかったよね（笑）。
村上：そうそう！
清水：丹下桜さんとか久川綾さんとか。
村上：「カードキャプターさくら」じゃねーかよ、ってね（笑）。
清水：そうね（笑）。
村上：あと忘れちゃいけないのが、うてな役の和泉風花さん。これまであまり大きな役をやっていなかったみたいだけれど、この方すごくない？
清水：うん、すごい。何て言うか――挙動不審な感じの声がとても巧いよね。
村上：だよね。「ぼっち・ざ・ろっく！」のぼっちちゃんに並ぶ名演技と言っていいんじゃないかな。
清水：ふむ。
村上：もちろん他の人も皆いい！俺が特に好きなのは、薫子役の池田海咲さん。この方もこれまであまり大きな役はやっていなかったみたいなんだけれど、薫子の京都弁キャラらしい嫌味っぽさとかよく出てるなぁと思う。
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