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「それおもろいとおもて言うてるん?」と恋人の父に言われちゃった!!|『ミート・ザ・ペアレンツ』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ミート・ザ・ペアレンツ」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ミート・ザ・ペアレンツ」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ミート・ザ・ペアレンツ」は、結婚の許可を得るべく恋人の父に会った主人公が、様々な「壁」にぶつかり翻弄されるものの、最終的にはプロポーズを成功させる物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ミート・ザ・ペアレンツ」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 上述の通り、主人公(グレッグ)と恋人の父(ジャック)が「対立」する理由は3つに大別できます。すなわち、【理由①:男親は「娘の恋人」に反感を抱くものだから】、【理由②:グレッグが不運だから】、【理由③:グレッグとジャックは、価値観や生活習慣が大きく異なっているから】。

嘉村 ええ。

三葉 そしてこの中で最も重要なのは、「理由③」です。

嘉村 ほぉ。

三葉 もしも「理由③」がなければどうなるか?……第1に、似たようなエピソードばかりになるでしょう。「ミート・ザ・ペアレンツ」には、「2人の『宗教の違い』に基づく対立」、「2人の『職業観の違い』に基づく対立」など、様々な「対立」が登場しますが、これらはすべて「理由③」に該当します。もしも「理由③」がなくなれば、「ジャックのイビリ」エピソードと、「グレッグの不運」エピソードだけになってしまう。これでは面白くありません。

嘉村 確かに。

三葉 そして第2に、ジャックが単なる「意地悪オヤジ」になってしまう。

嘉村 あー、そうか。「ミート・ザ・ペアレンツ」では、「価値観・生活習慣の相違による対立 → どちらか一方が善、もう一方が悪というわけではない」となっている。しかし「理由③」がなくなると、「ジャック = 若い2人の恋路を邪魔する悪者」、「グレッグ = 哀れな青年」になってしまうわけですね。

三葉 ええ、その通りです。それでは物語が単純すぎると言えるでしょう。

嘉村 なるほど。

三葉 とまぁ、「2人の価値観・生活習慣の相違」がいかに重要か、おわかりいただけたかと思います。

嘉村 ふむふむ。

三葉 しかし、ここで1つ問題。日本で「ミート・ザ・ペアレンツ」風物語を作る場合、どのようにして「2人の相違」を生み出すのがいいでしょうか?

嘉村 と言うと……?

三葉 「ミート・ザ・ペアレンツ」には、例えば「人種・宗教の相違」が登場します。グレッグは「ユダヤ系、ユダヤ教徒」、一方のジャックは「白人アングロサクソン、プロテスタント」。この相違が「対立」を招き、そしてユニークなエピソードが始まるのですが……日本では、「人種・宗教の相違に基づくネタ」は使いづらいと思うんですよ。

嘉村 ふーむ。

三葉 例えば、主人公を「東京に住む普通の青年」、恋人の父を「バリバリのアイヌ民族」にしてみましょう。あるいは、恋人の父は「フランス人で、厳格なカソリック信徒」でもいいし、「イラン人で、イスラム教シーア派の熱心な信徒」でも結構です。このように「人種・宗教の相違」を作ることは可能です。

嘉村 ええ。

三葉 ……が、しかし!多くの日本人にとって人種・宗教的な「対立」は、馴染みのないものです。例えば、「イスラム教信徒の食事は○○。主人公はそれを知らず、戸惑う」といったエピソードを盛り込んだとしても、多くの鑑賞者・読者は「へぇ、そうなんだ」と関心こそ示すかもしれませんが、笑いにはつながりづらい。

嘉村 確かに。「体感的に知らないもの」で笑うのって難しいですもんね。

三葉 そうそう!「ミート・ザ・ペアレンツ」のようなコメディ作品にはなりづらいと思うんですよ。

嘉村 なるほど。

三葉 では、どうするか?どのようにして「対立」を生み出すか?

嘉村 ふむ。

三葉 そこで……「案①」です。ズバリ、「『ミート・ザ・ペアレンツ』 ~『それおもろいとおもて言うてるん?』編」


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三葉 主人公は「東京の普通の青年」です。そして恋人の父は……「コテコテの大阪人」!

嘉村 なるほど。

三葉 つまり日本では、「人種や宗教、あるいは経済的な階層差に基づく相違」ではなくて、「居住地が異なるがゆえの相違」こそがネタになり得ると思うんですよ。

嘉村 ふむふむ。

三葉 例えば……主人公が張り切る「よーし!ここは一発、出会い頭にギャグをかまして、お父さんの心を鷲掴みにするぜ!」。

嘉村 あー、相手が大阪人だからって、無理してギャグを飛ばさなくてもいいのに……。

三葉 主人公は恋人が止めるのを聞かずに、渾身のギャグを放ちます。ところが不発!シンと静まり返る。

嘉村 ……。

三葉 主人公の目が泳ぐ。額にはじわっと汗がにじむ。そしてしばらくして、お父さんが言った「……それおもろいとおもて言うてるん?」。

嘉村 ヤバッ!

三葉 ねっ、超ヤバイですよね!

嘉村 ええ。見ているだけでドキドキするというか、「おい、止めとけ!開口一番ギャグを飛ばすとか、あまりにも無茶だ!自爆する気か!」と主人公を引き留めたくなりますね。

三葉 そうそう。そういう「止めときゃいいのに……」を連発するわけですよ。例えば……お父さんがギャグを飛ばした時のこと。主人公は閃きます。「よし、今度こそ!」ということで、吉本新喜劇ばりにひっくり返った。

嘉村 止めときゃいいのに……。

三葉 再びシンと静まり返ります。そして、恋人が呟いた「……あかん。これはあかん」。

嘉村 なるほど。

三葉 他にも、「野球(阪神タイガース)」や「うどん(ツユ)」に関するエピソードが考えられるでしょう。いずれも目新しさはないものの、鉄板ネタですよね。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、今回は「恋人の父 = コテコテの大阪人」というアイデアをご紹介しましたが、もちろん大阪以外の土地を舞台にすることもできるでしょう。例えば「恋人の父 = コテコテの名古屋人」なら、どのようなエピソードが考えられるでしょうか?あるいは「京都人」なら?また、「博多人」ならどうか?……とまぁアレコレ考えてみると、ユニークな物語が生まれるかもしれません。

嘉村 確かに。

三葉 以上、「『ミート・ザ・ペアレンツ』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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