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「学園ハーレムアニメ」にミステリの構造を与える!!|『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』に学ぶテクニック

名作アニメを研究して、創作に活かそう!

本記事では、「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」に【2つのジャンルを融合することで、ユニークな作品を作る方法】を学びます。

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作品概要


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「学園ハーレムアニメ」と「ミステリ」の出会い♡


本作は「学園ハーレムアニメ」です。

「学園ハーレムアニメ」といえば、深夜アニメの王道ではありますが……まぁざっくばらんに言って、やり尽くされた感、今更感は否めない。

ところが本作はマンネリ感が薄い(と感じた鑑賞者が多いと思います)!


一体なぜでしょうか?

「主人公が鈍感」「理不尽にモテる」「いつの間にかハーレムを築いている」「妹と異様に仲がいい」といった「学園ハーレムアニメ」のお約束を守りつつも、「ミステリ」的な側面がある……これがポイントでしょう。


そう、ミステリ!

本作は、「学園ハーレムアニメ」と「ミステリ」いう2つの異なるジャンルをドッキングさせた作品なのです。

もう少し詳しく言えば、「いかにも学園ハーレムアニメらしい『キャラやイベント』」を、「ミステリ風の『構造』」に盛り込んだ物語。


以下、詳しくご説明しましょう。


構造は「ミステリ」


まずは、本作の「構造」をご覧いただきましょう。

キャラの人となりや、イベントの詳細などは全部無視して、「何が起きたか?」「主人公は何をしたか?」だけをシンプルに整理しています。


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本作が「ミステリ風の構造」を採用していることを、ご理解いただけたと思います。

すなわち……物語冒頭で事件が発生し、主人公は探偵のように犯人を探し始める。

「容疑者を調べる内に意外な一面が見えてくる」というのも、ミステリではお馴染みの展開ですよね。

そして第三者の証言や、突如発生した第2の事件、あるいは偶然撮影された写真などをヒントに、主人公は犯人を突き止める。

そして犯人が動機などを語り、物語は幕を閉じる。

……まさにミステリ!


なお、一口に「ミステリ」と言っても様々なタイプがありますが、本作は「探偵が真犯人を探し当てる過程を重視した物語 = フーダニット(Whodunit)」に該当すると言えるでしょう。


キャラやイベントは「学園ハーレムアニメ」


さてご覧の通り、本作の構造は「ミステリ」風ですが……登場するキャラやイベントは「学園ハーレムアニメ」そのものです。

いくつか例をご紹介しましょう。


<1>

ミステリの世界で「事件」と言えば、殺人や金庫破り、銀行強盗などをイメージしますよね。そして主人公は、殺人鬼や天下の大泥棒と対決することになる。

ところが本作は……

▶ 「第1の事件」の内容:ある日主人公は部室で、自分宛てのラブレターを発見。なぜか差出人の名前はなく、さらに女性もののパンツ(!)が添えられていた。かくして主人公による「犯人 = 差出人」探しが始まった。

▶ 「第2の事件」の内容:主人公は、受け取ったラブレターとパンツを自室に保管していた。ところがある日、何者かによってパンツが盗まれた。


パンツ!


<2>

上述の通り、「容疑者を調べる内に意外な一面が見えてくる」というのはミステリではお馴染みの展開です。

第一印象は最悪、どう考えても犯人にしか見えぬ糞ムカつく野郎がじつは誰よりもいいヤツだったとか、彼には同情すべき過去があったとか……。


では本作では、どのような「一面」が明らかになるのでしょうか?

▶ 第1~4、6話で明らかになること:容疑者は、全員変態だった。

▶ 第8~10話で明らかになること:容疑者は確かに変態だが、彼女らにも素晴らしいところがあった。


そう、変態!

本作の容疑者(= ヒロイン)は、全員変態なのです。

▶ 容疑者1(先輩):主人公の飼い犬になりたがるドM

▶ 容疑者2(後輩):主人公を奴隷にしたがるドS

▶ 容疑者3(同級生):主人公をモデルにしてBLマンガを描く腐女子

▶ 容疑者4(副会長):主人公の下着を欲しがる重度の匂いフェチ


<3>

「秘密 = 変態性」がバレたあと、容疑者たちはグイグイと主人公にアプローチするようになります。

「飼い犬にしてください!」「奴隷になりなさい!」などと言って迫り、主人公を独占しようとする。あるいは、好んで際どい衣装に身を包み、そしてラッキースケベを繰り広げる。

かくして主人公の周りには、いつの間にやら変態だらけのハーレムが築かれたのでした。


気がつくとハーレムが完成しているというのは、「学園ハーレムアニメ」のお約束の展開ですよね。


<4>

最後に、犯人について見てみましょう。

真犯人は妹です。彼女は、主人公(兄)を愛していた。主人公は仰天する「そんな……オレたちは兄妹じゃないか!」。

しかし2人は、実の兄妹ではありませんでした。妹は養子だったのです。


このように妹をフィーチャーするスタイルもまた、「学園ハーレムアニメ」の1つの定番と言えるでしょう。


まとめ


以上、本作の「ミステリ風の『構造』」と「いかにも学園ハーレムアニメらしい『キャラやイベント』」を見てきました。

2つ以上のジャンルを融合するのは容易なことではないと思いますが、上手くいけば、本作のようなユニークな作品を生み出すことができるでしょう。

みなさんも試してみてくださいねー!!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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