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たとえガラス片が、目に突き刺さろうとも！｜「女囚701号 さそり」に学ぶテクニック（3）

100%ツールズ｜創作の技術

※引き続き、「女囚701号 さそり」を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。


たとえガラス片が、目に突き刺さろうとも！


＜1＞

「女囚701号 さそり」には、ユニークなシーンや演出がたくさんあります。

本記事では、その中でも特に私が好きなものをいくつかご紹介しましょう。


＜2＞

まず取り上げるのは、「刑務所長の目にガラス片が突き刺さる」というショッキングなシーンです（第2幕前半）。


経緯をざっくりまとめると……

▶ 進藤の指摘

・Step 1：囚人たちが車座になり、バクチをしています。じつはリーダー格の囚人は不正をしており、それでもって一般囚人から物品を巻き上げているのですが……一般囚人はそれに気づいていません。

・Step 2：と、そこに進藤（後にナミの味方になる囚人）が登場。彼女はリーダー格の連中が不正をしていると指摘した。

・Step 3：かくして、リーダー格の連中は進藤を敵視する。


▶ 政木の報復

・Step 4：とりわけ政木という囚人の怒りは大きく、彼女は進藤に報復を試みます。

・Step 5：ところがどっこい、ナミが政木の思惑をいち早く察知。それを妨害します。


▶ 政木 v.s ナミ

・Step 6：しかして、政木の怒りの矛先がナミに向いた！

・Step 7：政木は怒りのあまり我を忘れ、看守の制止を振り切ってナミに突進した。しかし、我らがナミはそれをひょいと回避。政木は頭からガラスに突っ込み、血まみれになりました。

・Step 8：だがしかし、それでも政木の怒りは収まりません。むしろ一段と激昂。政木はガラス片をむんずと掴むと、頭から血を流しながらナミに迫った。

・Step 9：とはいえ、やはりナミの方が一枚上手です。ナミは、政木の攻撃をひらりと回避。


▶ 刑務所長の右目にガラス片が突き刺さる！！

・Step 10：その結果、政木の持つガラス片が刑務所長の右目に突き刺さりました。ここ、「厳めしい中年男性の右目から20cmほどのガラス片が飛び出ている」という映像をご想像ください……恐ろしいですねぇ！

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・Step 11：さすがの政木もこれには動揺し、我に戻る。また、その場にいた囚人や看守は揃って仰天した。

・Step 12：ところが、当の刑務所長は顔色ひとつ変えません。彼はずいっと両手を伸ばすと、政木の首を締め始めた。ぐいぐい力を込め、間もなく政木は失神する。

・Step 13：そして、刑務所長は動揺する看守たちを一喝しました「何をボヤボヤしとる！全員懲罰だ！」……右目からガラス片が飛び出たままに！


＜3＞

目にガラス片が突き刺さっているのに、一切動じない！相手の首を絞め、さらに部下を叱責する！


嗚呼、なんとシュールな映像か！

多くの鑑賞者が、思わず噴き出したことと思います。爆笑必至の名シーンです。


誰もがその名を知っている！


＜1＞

続いてご紹介するのは、ナミが「閻魔落とし（えんまおとし）」なるリンチを受けるシーンです（第2幕後半）。


・Step 1：看守が囚人たちに命じて、縦2m幅5mほどの大きな穴を掘らせた。

・Step 2：穴ができたところで、看守は「穴の外に出ろ」と囚人たちに指示を出した。

・Step 3：しかしナミだけは穴の中に取り残され、穴を掘り続けるように命じられる。

・Step 4：それを見て囚人たちは、「閻魔落としだ」「閻魔落としじゃない？」「閻魔落としですわ」「閻魔落としよ」と囁き合った。

・Step 5：看守や囚人たちがニヤニヤ笑いながらナミを見下ろす。そんな中、ナミはたった1人、不眠不休で穴を掘らされ続けたのだった……！


＜2＞

ここでご注目いただきたいのは、「閻魔落としだ」「閻魔落としよ」と囚人たちが囁き合う場面です。


つまりこの刑務所では、

・1：多くの囚人が、「好奇の目に晒される中、昼も夜もなく穴を掘らされ続ける」というリンチを認知している

・2：しかもそのリンチに、「閻魔落とし」なる大層な名前が付いている

・3：そして、その名前は広く流通している

……というわけですね。


＜3＞

ご想像ください。

例えば……孫悟空があの独特の構えをとった途端に敵味方がどよめき、「かめはめ波だぜ」「かめはめ波よ」「かめはめ波じゃない？」「かめはめ波に違いない」と囁き合う場面を。


あるいは……ドラえもんが四次元ポケットに手を突っ込んだ瞬間、その場にいた者が揃って「どこでもドアよ」「どこでもドアだぜ」「どこでもドアだよ、きっと」「僕知ってるよ。どこでもドアだよ」と囁き合う場面を。


かなりユニークですよね！



続きはこちら！！


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（担当：三葉）

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