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【24年冬アニメ座談会】魔法少女の「変身」と、「大人」になるってこういうこと! ~「魔法少女にあこがれて」第1話

🤯2024年冬クール(1-3月)のアニメを語ろう!:本記事では、ポプカルMAXによるオンライン座談会「【第1話だけ見て】24年冬アニメを語ろう!」(24年1月10日実施)の内容を一部抜粋してお伝えします。なお、完全版は動画でご覧いただけます→前半 後半


「ポプカルMAX」とは?:ポップカルチャー(マンガ、小説、ラノベ、アニメ、映画、ゲームなど)好きのための、ゆるいコミュニティです。好きな作品について語ったり何かを作ったりして楽しむことを目的としています。


🎍2024年は「魔法少女にあこがれて」からスタート!


村上:あけましておめでとうございます。

清水:おめでとうございます。

村上:さて、正月だ!めでたい!冬アニメが始まるぞ!――ということで、2024年冬アニメについて座談会を始めましょう。今日は、各アニメ第1話まで見た時点での感想になります。

清水:はい。

村上:それではまずは……。

清水:村上くんの強い要望により、「魔法少女にあこがれて」からスタートです(笑)。

村上:はい(笑)。


<座談会の参加者紹介>

👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年120作以上のアニメを見続けて20余年。ちなみに……23年秋アニメのマイベストヒロインは、「カノジョも彼女」の桐生紫乃。

👉村上空気 「けいおん!」の唯を見てアニメに開眼した。ちなみに……23年秋アニメのマイベストヒロインは、「16bitセンセーション ANOTHER LAYER」の秋里コノハ。 →X(旧Twitter)でフォローしてね!!


🎍エロばかりに注目するなかれ


村上:えーと、俺は語り始めると止まらない気がするから(笑)、まずは清水さんの感想を聞きたいな。

清水:うん。何つーかね、「久々に来たな」って感じがしたね

村上:何だそれ(笑)。

清水:ほら、こういうエロが目立つ作品はゼロ年代には多かったよね。しかし、最近はめっきり少なくなった。

村上:なるほど。

清水:だから「久々に来たな」と(笑)。

村上:そういう意味か(笑)。たださ、1つ確認しておきたいんだけれど……本作は一歩間違えるとエロアニメに見える。当然、エロ方面から注目する人は少なくないと思う。その気持ちはわかるんだけれど……(笑)、しかしこの作品をエロ方面からばかり語るのは違うよね。

清水:うん、それは間違いないね。例えば「不徳のギルド」という作品がある。あれはエロ方面から注目されがちな作品だけれど、本当はエロだけではない。戦闘シーンに駆け引きがあったりして面白かった。本作も同様だと思うな。


🎍先の展開が気になるフック×2


清水:俺が第1話を見て気になったのはね、魔法少女たちが「記号的」って言うのかな、「いかにも魔法少女」という感じの造形なんだよね。

村上:うん。プリキュアっぽかった。

清水:テーマカラーにしても、「従来の女児向け魔法少女ものを参考にして各キャラにそれっぽく割り振りました」「特にこだわりはありません」って感じだしさ。

村上:ふむふむ。

清水:冒頭の戦闘シーンもそうだよね。音楽もそう。すべてが「いかにも魔法少女」という感じ。

村上:確かに。

清水:でさ、このコテコテさが何かのフラグなのではないかと思うんだよ。

村上:あー、なるほど!あまりにもそれっぽいから逆に怪しいと。

清水:そうそう。

村上:そういうことなら、俺も気になるところがあったな。

清水:ほぉ。

村上:いやさ、主人公(悪の組織の女幹部)も、魔法少女たちも、変身する時にまったく同じ呪文を唱えているんだよ。

清水:あー、言われてみれば!

村上:両者ともに「トランスマジア」と言う。これは何か意図があるんだろうなと思う。例えば、正義も悪も元々は同じものだったとか……。

清水:なるほどね。いやぁ、こうやっていろいろ仕込まれると「第3話で誰かの首が飛ぶんじゃないか!?」なんて思わず勘繰ってしまうよね(笑)。

村上:マミさんじゃん(笑)。


🎍1本の矢なら簡単に折れるかもしれないが……


村上:それでは、ここからはより深堀りしていきましょう。

清水:はい。

村上:まずさ、結局のところ第1話の何が面白かったのか考えてみた。

清水:ふむ。

村上:第1に本作には、魔法少女がひどい目に遭うという「戦うヒロイン凌辱もの」の要素があったよね。

清水:うん。

村上:しかし、ひどい目に遭うのは魔法少女だけではない。主人公も同様だ。嫌だって言ってるのに悪の組織の女幹部に変身させられて変な格好になるし、魔法少女に助けを求めても信じてもらえないし、「変身バンクを拡散するぞ」と脅されるし……(笑)。

清水:(笑)。

村上:さらに3つ目の要素として、主人公がサディスティックな嗜癖に目覚めていくという展開もあった。

清水:そうね。

村上:でね、この3つの要素が併存しているのがポイントだと思うんだ。例えば、「戦うヒロイン凌辱もの」は少なくない。魔法少女が触手で体をまさぐられるエロ作品なんてのは数多ある。つまり、これだけでは弱い。鑑賞者は「はいはい、こういう作品ね」としか感じない。

清水:確かに。

村上:ところが、本作には3つの要素があった。かくしてすごいインパクトが生まれたんじゃないかな。


🎍「変身」が成熟のメタファーだとすれば――では、本作の主人公たちは変身してどんな姿になるのか


村上:それからもう1つ、これは「我ながら見事な分析だ!」と感嘆したんだけどさ(笑)。

清水:うん(笑)。

村上:本作の主要キャラは、主人公も魔法少女たちも皆変身するんだよね。そして、魔法少女ものにおける「変身」は、一般的には「成熟」のメタファーと考えられる。つまり、「幼い少女が一時的に『大人の女性』になることで問題を解決する」というのが旧来の魔法少女ものの筋立てだ。

清水:なるほど。

村上:では本作ではどうか?変身後、主人公はどのように「成熟」したのか、どのような「大人」になったのか。

清水:うん。

村上:主人公が変身すると……そう!「ずっと隠れていた欲望=サディストという本性」が露わになる(笑)。

清水:(笑)。

村上:さらに、主人公は戸惑いつつも、魔法少女たちにSMプレイを仕掛ける。つまり、「己の欲望・本性を認め、それを適切に発散している」わけだ(笑)。――「適切」というのは、「街行く人をいきなりぶん殴ったりはしない。暴力を振るっても問題ない魔法少女を相手にSMプレイをする」という意味ね。

清水:うーん(笑)。

村上:でね、いま俺が言ったことを現実世界に置き換えてみよう。例えば――ロリコン男。言うまでもないけれど、「欲望のままに幼女を襲う」だなんてのは絶対に許されることではない。しかしその一方で、ロリコンという己の性を認めないのも心の健康にはよくないはずだ。はて、どうすればいいのか?

清水:ふむ。

村上:答えは明確だ。自分がロリコンであることを認め、「COMIC LO」を読んだり、ロリータ風のお姉さんが相手をしてくれるお店に行ったりして、自らの欲望を適切に発散させる。これしかない。

清水:なるほど。

村上:本作の主人公がやっているのは、これと同じだと思うんだ。つまりさ、本作では「大人=自らの欲望・本性を認め、それを適切に処理できる人」と描かれていると言えるのではないでしょうか(笑)!

清水:なるほど……。

村上:さらに言うとさ。

清水:さらにあるのか……(笑)。

村上魔法少女たちもまた、主人公と同じなのではないかという気がしている。というのも、本作の魔法少女はプリキュア同様、肉弾戦も辞さない戦闘美少女らしい。冒頭の戦闘シーンでは激しく暴れ回っている。ところが、彼女たちがガンガン戦っているにも関わらず、一般市民や住宅地には一切被害が出ていない。これ、「魔法少女=暴力をふるいたいという欲望を、他の人に迷惑をかけないように上手く処理している」と言えるのではないでしょうか(笑)!

清水:(笑)。

村上:要するにだ、本作はわれわれ鑑賞者に向かって「皆、自らの欲望・本性を認め、それを適切に処理できる大人になろうぜ!」と訴えかけていると言えるでしょう(笑)!


🎍お前が本当に見たいのは……!!


村上:えーと、もう1つ言いたいことがあるんだけど……(笑)。

清水:どうぞ(笑)。

村上:物語前半に、「主人公は魔法少女に憧れを抱いており、グッズを買うなど推し活をしている」という説明が入るよね。

清水:うん。

村上:ところがやがて、それは真実ではないということが明らかになる。彼女は単に「魔法少女が好き」なのではなく、「魔法少女が苦しむのを見るのが好き」なのであり、さらには「魔法少女を自らの手で苦しめたい」という欲望すら持っていた。

清水:そうだね。

村上:でね、この「○○のことが好き→じつは○○が苦しむのを見るのが好きでした」という構図、これは俺たち鑑賞者にも当てはまると思うんだよ。

清水:えっ(笑)?

村上:というのもさ、アニメにしろマンガにしろ何にしろ、物語を盛り上げようと思ったら一般的には主人公をピンチに追いやることになるよね。例えばハリウッドのアクション映画を思い浮かべてもらえばわかりやすいと思うんだけれど、どんどんどんどん追いつめていって、最後の最後に主人公が逆転勝利する。そこにカタルシスが生まれるわけだ。

清水:そうね。

村上:ってことはだよ、俺たちはカタルシスに至るまでの間、主人公が苦しむ姿を延々と見ることになるわけよ。わざわざ何時間も時間を割いて、時にはお金を払ってまで他人が苦しむ姿を見ていると言える。

清水:(笑)。

村上:これはもう、「主人公が苦しむ姿を見て喜んでいる」と言っても過言ではないと思うのよ(笑)。「お前はブルース・ウィリスの活躍を見たいんじゃない。ブルース・ウィリスが死ぬほど苦しむ姿を見たいんだ!」みたいな(笑)。あるいは、「お前が見たいのはソラ・ハレワタールが敵をぶっ飛ばすシーンなのか?違うだろ!ソラちゃんが悶絶する姿だろ!」みたいな(笑)。

清水:どうかなぁ……(笑)。

村上:少なくとも俺の中にはこの欲望がある(笑)。俺は「ストライクウィッチーズ」の宮藤芳佳が大好きだけれど、結局は彼女が苦しむ姿を見たいんだと思う。かの有名な「ストライクウィッチーズ 劇場版」の鼻血のシーンとかね。……同志はいるはずだ(笑)!


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