比喩を使った後、その比喩を膨らませて話を続ける ~映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」の場合
◆概要
【比喩を使った後、その比喩を膨らませて話を続ける】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
▶1
本作の主人公はカール(40代後半頃の男性)。
彼は、確かな腕を持つベテラン料理人である。
ところがいろいろあって、
・Step1:思うように料理を作れなかった時のことだ。
・Step2:料理評論家のラムジーはそれを食べ、唖然。
・Step3:かくして彼は、カールをめちゃくちゃにこき下ろした。曰く「この10年の間に、カール・キャスパーはマイアミいち独創的なシェフから、すっかり変貌を遂げた。いまは喩えるなら、『親戚の子どもに5ドルやって好かれようと媚びているおばさん』のようだ。だがこちらは、垂れた胸で暑苦しいハグをされてはごめんだと後ずさりしたくなる」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「喩えるなら、『親戚の子どもに5ドルやって好かれようと媚びているおばさん』のようだ。だがこちらは、垂れた胸で暑苦しいハグをされてはごめんだと後ずさりしたくなる」というラムジーの評である。
要するに「お前の料理はお客に媚びている!そんなのダメだ!俺は認めんぞ!」と猛批判しているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。
ではラムジーの評が「喩えるなら、『親戚の子どもに5ドルやって好かれようと媚びているおばさん』のようだ」で終わっていたらどうか。これはこれでユニークな比喩だと思う。しかし……まだまだ!もっと面白くできるはず!
というわけで【比喩を使った後、その比喩を膨らませて話を続ける】という技法の出番だ。
改めてラムジーの評をご覧いただきたい。
彼は「喩えるなら、『親戚の子どもに5ドルやって好かれようと媚びているおばさん』のようだ」の後で、「だがこちらは、垂れた胸で暑苦しいハグをされてはごめんだと後ずさりしたくなる」と続けた。これがいいと思うのだ。より一層ウィットに富んだ印象的な批判になったといえるだろう。
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