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初心者と上級者は何が違うのか?|アニメ「NEWGAME!」に学ぶ

※本記事では、アニメ「NEWGAME!」(第1期、第2期)を分析します。


それでゆんの服装っていつも気合入ってたんだぁ……慣れてないから」


<1>

アニメ「NEWGAME!」を見ていて、面白いことに気がついた。


まずは、<第2期第6話の前半に描かれるエピソード>を一部端折りながら確認しておこう。


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休日。

はじめとゆんは、ゆんの弟妹と共にヒーローショウにきている。

そしてひょんなことから、はじめが高校時代のことを話し始めた(2人はイーグルジャンプ社の同期入社組で普段から大の仲良しだが、どうやらこれまで高校時代の話をする機会はなかったようだ)。


はじめ曰く……

・高校時代、はじめはオタクであることを隠していた。なぜなら、自身の趣味を否定されるのが怖かったから

・はじめは<普通の女子高生>として、そこそこ充実した毎日を送っていたようだ。当時の写真を見ると、かわいらしいヘアピンで髪を留め、フェミニンな服を着ている。<オシャレな女の子>といった感じだ。いまとは大違い。ゆんは「ウソやろ」と驚く


<2>

はじめの話を聞いた後、ゆんは狼狽し、落ち込んだ。そして、自身の高校時代の話を始めた。


ゆん曰く……

・高校時代、ゆんは友だちが少なかった。彼女は自宅でゲームばかりしていた

・当時の写真を見ると、ゆんはガリ勉タイプのぐるぐる眼鏡をかけ、髪の毛はおさげ。お世辞にもオシャレとは言えぬ。というかダサい。いまとは大違いだ。はじめは驚く「ウソやろ」


ゆんは、上京を機にイメチェンを図ったのだと言う。

はじめが頷く「そっかぁ!それでゆんの服装っていつも気合入ってたんだぁ……慣れてないから」。


はじめの言葉に、ゆんはショックを受ける「うっ!」。

彼女は恥ずかしさのあまり顔を赤くして、体を震わせた「こっちは真剣に悩んどるんや、アホー!」「確かにわからへんわ!でもこれでもウチなりに勉強しとるんや!アホー!アホー!」「なんや、はじめの方が服も詳しそうでショックやわ!いっつもラフな格好ばっかりしているくせに!わかっとるんなら、もっとオシャレすればいいのにー!」。


※このエピソードはまだまだ続くが、ここでは以下省略。

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<ゆんは着飾ることに慣れていない。だからこそオシャレなのだ>というこのズレ


<1>

さて。

ご注目いただきたいのは、「そっかぁ!それでゆんの服装っていつも気合入ってたんだぁ……慣れてないから」というはじめのセリフである。


なるほど、確かにゆんの格好は気合が入っている。

残業は当たり前、徹夜仕事も珍しくないという職場にも関わらず、毎日ロリータテイストのドレスに身を包んで出社する人はそうはいないだろう。


では、ゆんはなぜそこまでオシャレをするのか?答え……着飾ることに慣れていないから!


<2>

つまり……

・ゆん:着飾ることに慣れていない → だからいつも気合が入っている

・はじめ:着飾ることに慣れている → だからいつもラフな格好をしている


一見するとオシャレなゆんが着飾ることに慣れておらず(慣れていないからこそオシャレに励む!)、ファションなぞてんで興味なさそうなはじめがじつは着飾ることに慣れている(慣れているからこそラフなのだ!)というこのズレ!

これが面白いと思うのだ。


<3>

そして……要するにここに描かれているのは、上級者はラフ・自然体で無理をしない。一方、初心者は肩に力が入りすぎている(その結果として空回りすることもある)】という認識枠組み(モノの見方)である。


<コーヒーの飲み方>に見る青葉の成長


<1>

【上級者はラフ・自然体で無理をしない。一方、初心者は肩に力が入りすぎている(その結果として空回りすることもある)】……「NEWGAME!」には、この認識枠組みに基づくエピソードが複数登場する


ここではその一例として、【青葉がコーヒーを飲むシーン】に注目してみよう。


▶「NEWGAME!」(第1期)の第1話序盤

・青葉が、イーグルジャンプ社に初出社する。彼女は「今日から社会人!しっかりしなきゃ!」と気合が入っている。りんから「何か飲む?」と聞かれると、当初「オレンジジュースを」と言いかけるが、「いけない!今日から社会人なんだ!」と思い出し、「コーヒー!ブラックで!!」(そしてその後、ブラックコーヒーを飲んでむせる)

・一方、コウ(青葉の尊敬する人物で、青葉の上司!)は入社7年目のベテランだ。彼女はパンツ1枚というあまりにもラフな格好で登場し、「私はブラックコーヒーなんて飲めないよ!」と平然と言う


▶「NEWGAME!!」(第2期)の第1話序盤

・青葉がイーグルジャンプ社に入社して1年後(つまり第1期第1話のちょうど1年後)。第1期第1話そっくりのシチュエーションで、りんが問うた「何か飲む?」。すると青葉は「コーヒーでお願いします……砂糖とミルク入りで」


<2>

いまご覧いただいた【青葉がコーヒーを飲むシーン】は、

・第1期の青葉:初心者で肩に力が入りまくっている。ゆえに無理してブラックコーヒーを注文し、そしてむせる

・第1期のコウ:上級者で自然体。ゆえに「私はブラックコーヒーなんて飲めないよ」と平然と言う

・第2期の青葉:成長し、中級者くらいにはなっている。したがって自然体。無理にブラックコーヒーを注文することなく、砂糖とミルクを要望する

……と整理できるだろう。


そう、先にご紹介した認識枠組みがばっちり見て取れるのだ。


第2期第1話の青葉は、もう<初心者>を脱しているのか?


しかし……どうだろう?第2期第1話の青葉は本当に<初心者>を脱し、自然体でふるまえるようになっているのだろうか?


答えは……否!断じて否である!

なぜならば、第1話終盤にこんなシーンがあるのだ。

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・Step 1:皆で花見に行く

・Step 2:青葉は、コウに勧められて大トロの握り寿司を手に取る

・Step 3:しかし、それはわさび入りだった。青葉は戸惑う「どうしよう……」

・Step 4:コウがそれに気づく。そしていたずらっぽく笑う「おっ?わさびは苦手だったかなぁ?」

・Step 5:青葉は強がる「違いますよ!余裕です!」。そしてパクリ。大トロを一口で食べて……あまりの辛さに涙を流した

・Step 6:ゆんが呆れる「青葉ちゃん、別に無理せんでも……」

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青葉は「わさびくらい食べられます!」と強がってしまう。そして痛い目に遭う。

これ、【第1期第1話と比べれば、青葉は大いに成長した。だから、無理にブラックコーヒーを飲もうとすることはない。だが、彼女はまだまだ未熟者だ。ゆえに自然体になりきれない。無理してわさびを食べ、涙を流す。逆に言えば、青葉にはまだまだ成長余地があるのだ。第2期もいろいろ失敗し、そして成長を遂げていきますよ!】という制作者から私たち鑑賞者への挨拶代わりのエピソードと解釈できるだろう。


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★みなさんの作品にも、ぜひ【上級者はラフ・自然体で無理をしない。一方、初心者は肩に力が入りすぎている(その結果として空回りすることもある)】という認識枠組みに基づくエピソードを盛り込んでみてくださいねー!!


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(担当:三葉)

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