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相手(主に大人)を「子ども扱いする」「子どもに喩える」ことで、侮辱したり挑発したりする ~映画「シカゴ7裁判」の場合

司法長官「(概ね30歳頃の容疑者について)私は連中を『悪ガキども』と呼んでいる。危険な駄々っ子どもだよ。私は、この無職の反逆者たちを10年間見てきた。やつらは自ら手を汚して敵と戦うことはせず、この戦争のやり方を指図する!だがもう終わりだ。大人の出番だよ。生意気なだけのホモ連中は安全保障上の脅威だ。連中には30代を刑務所ですごしてもらおう。実刑にするんだ」

映画「シカゴ7裁判」




◆概要

【相手(主に大人)を「子ども扱いする」「子どもに喩える」ことで、侮辱したり挑発したりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「シカゴ7裁判」

▶1

1968年、アメリカ。

・Step1:大統領選挙に向けて、シカゴで民主党の全国大会が開かれていた

・Step2:一方、その会場の傍には反ベトナム戦争を訴える若者たちが集結。集会を開いたりデモを行ったりしていた。

・Step3:そしてやがて暴動が発生した。若者たちと警官隊が衝突――!


翌年。

・Step4:司法長官は、「若者たちのリーダー8人を共謀罪などの罪状で起訴する」と決めた。

・Step5:彼は検事たちに言った。曰く「私は連中を『悪ガキども』と呼んでいる。危険な駄々っ子どもだよ。私は、この無職の反逆者たちを10年間見てきた。やつらは自ら手を汚して敵と戦うことはせず、この戦争のやり方を指図する!だがもう終わりだ。大人の出番だよ。生意気なだけのホモ連中は安全保障上の脅威だ。連中には30代を刑務所ですごしてもらおう。実刑にするんだ」

※補足:リーダー8人の年齢は、およそ30歳。つまり司法長官は「連中を10年間は刑務所にぶちこんでやりたい。その方向で裁判の準備をしてくれ」と検事たちに指示したわけだ。


▶2

ご注目いただきたいのは、司法長官のセリフである。曰く「私は連中を『悪ガキども』と呼んでいる。危険な駄々っ子どもだよ」「大人の出番だよ。生意気なだけのホモ連中は安全保障上の脅威だ」。

司法長官は、兎にも角にも、反ベトナム戦争派の若者たちが大嫌いなのだ。愛国心のないクソ野郎どもだと思っている。

ゆえにそのリーダー8人を刑務所にぶち込んでやろうとしているわけだが――彼は、政治活動に取り組む30歳頃の連中を「悪ガキども」だの「駄々っ子」だのと呼んで侮辱し、その一方で自分を「大人」と称した。

そう、【相手(主に大人)を「子ども扱いする」「子どもに喩える」ことで、侮辱したり挑発したりする】という技法が使われているわけだ。


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