「○○したら××するぞ/××になってしまうぞ」と言う代わりに、「○○か××のどちらかだ」とわざわざ選択肢・候補を並べる ~映画「マトリックス」の場合 #2
◆概要
【「○○したら××するぞ/××になってしまうぞ」と言う代わりに、「○○か××のどちらかだ」とわざわざ選択肢・候補を並べる】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「マトリックス」
▶1
本作の主人公は、アンダーソン(男性30代。後に「ネオ」と呼ばれることになる人物)。
いろいろあってある日、
・Step1:謎の組織の襲撃を受けたアンダーソン。
・Step2:彼は逃げる。モーフィアスという人物から携帯電話経由で助言を受けつつ、高層ビルの中を必死に逃げまくった。
やがて、
・Step3:角部屋に到着。
・Step4:モーフィアスは「窓を開けて外に出ろ。清掃業者が使っているゴンドラがあるから、それに飛び乗って屋上に移動しろ」と指示を出した。
・Step5:アンダーソンは耳を疑う。何しろそこはビルの上層階。地上100mはあろうかという高所だ。そんな場所で窓から外に出るだの、ゴンドラに飛び乗るだの……できるわけないだろ!。かくして彼は叫んだ「冗談だろ!?断る!」。
・Step6:するとモーフィアスは「そのビルから出る方法は2つ。ゴンドラで屋上に上がるか、彼らに捕まるか、だ。どちらも危険だ。きみが選択しろ」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「そのビルから出る方法は2つ。ゴンドラで屋上に上がるか、彼らに捕まるか、だ」というモーフィアスのセリフである。
要するに「ゴンドラで屋上に上がらないと連中に捕まるぞ」という意味だが――ストレートにそう言ってしまっては面白みを欠く。
そこで【「○○したら××するぞ/××になってしまうぞ」と言う代わりに、「○○か××のどちらかだ」とわざわざ選択肢・候補を並べる】という技法の出番だ。「ゴンドラで屋上に上がらないと連中に捕まるぞ」を「そのビルから出る方法は2つ。ゴンドラで屋上に上がるか、彼らに捕まるか、だ」と選択肢提示型に置き換えたことで洗練されたセリフになったといえるだろう。
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