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トレーニング&コーチング

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記事一覧

型と納得とベストキッド

ベストキッドで宮城さんが少年にワックスを拭き取らせるというシーンが出てくる。少年は最初このことになんの意味があるかわからないまま渋々やっている。そして、いざ実践の際にワックスを拭き取る動作が防御に役立つと知って驚きをもって納得する。この描写はとても示唆深い。

二つ興味深い点がある。一つは、最終的に必要とされる要素を宮城さんが知っているからこそ、要素分解したトレーニングが生み出せる。もう一つは熟達

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私のパフォーマンス理論 vol.1 -練習時間について-

これらが私の練習時間の推移となる。

小学生-週2日/1日90分

中学生-週5日/1日2時間

高校-週5,6日/1日2-3時間

大学-週5日/1日3-4時間

22-26才-週5,6日/1日5-6時間

27才以降-週5日/1日2-3時間

色々やってみて、今は1日2時間あればほとんどの練習効果は得られるという結論に至った。

アスリートにとって時間以外で最も貴重な資源はモチベーションだ。体

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実験のセンス

2014年12月02日 blogより

スポーツ界には迷信と真実が入り混じっている。あのトレーニングでトップ選手は速くなったという話が広がると、それが流行る。本当に万人に効くのかどうかはさておき、結果から原因を推測する。イチロー選手がカレーを食べていたからカレーにメジャーリーグで成功する秘訣があるのではと勘ぐる人は少ないけれど、トレーニングになるとそういうものは多い。

本当に効果があるものとそう

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フォース

2015年02月24日
アメリカのチームにいた時、コーチがやたらとForceという言葉を連発していた。競技の現場では物体の勢いという意味で使われ、重みのあるような力のことをforceと表現する。重たい4トントラックが何かに激突して、それを押し飛ばしていくようなあの力のことをForceというイメージで捉えている。

将来ハードル選手になりたい子供に何を意識してやればいいかと聞かれたら、私はこのFor

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プラス思考と、言い訳思考と、その弊害

プラス思考と、言い訳思考と、その弊害

プラス思考は実は言い訳なのではないかという指摘をいただいた。これはとても鋭い指摘だと思う。考える前にプラス思考というものが何を指すか私も厳密にはわかっていないので、あくまで物事をプラスに捉える、考え方の枠組みのことだという定義で話をしていきたい。

プラス思考も言い訳思考も、共通点は解釈の枠組みを先に決めてしまっているということだだろう。全ては前向きな出来事だと捉える枠組み、全ては自分のせいではな

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言い訳の弊害

競技者にとって言い訳は良くないと言われますが、なぜ良くないのでしょうか。言い訳の問題点を考える前に、まず分析と言い訳の違いは何かを整理してみましょう。分析は事実を明らかにするために考えることです。考えることが先で結論があとになります。一方、言い訳は自分は悪くないという結論が先に決まっていて、そこに辿り着くように考えることです。結論が先で考えることが後です。

分析の結果として自分のせいではなかった

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素直さと当事者意識

素直さと当事者意識

当事者意識と素直さに関係があるのでは、というご意見があった。確かにイエスマンは、極論するとアイヒマンのように、責任回避のために何も決めず無批判でいるようなイメージがある。一方素直な人間はそこになんらかの意図があるように見える。しかし意図があることと素直さはバランスするのか。

私なりの整理では、

「当事者意識=自分には結果に対し責任がある+自分には影響を与える力がある」

だ。まず、結果に対し責

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素直な人とイエスマンは何が違うのか

素直な人とイエスマンは何が違うのか

素直であることと、ただのイエスマンの違いがわからないという質問がありました。
これは確かに微妙なところで、素直さはただの従順さになりえます。また教える側も、実際には相手を従順にさせコントロールする為に素直になれと言っていることもあるかもしれません。では、違いはどこにあるのでしょうか。

私は、素直であるということは行いながら感じているということだとしています。一方ただのイエスマンは無感覚、または感

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説明と、納得と、限界と

説明と、納得と、限界と

昨日の話で、宮城さんがもしワックスの拭き取りの効果を事前に説明していたらどうだったろうかという質問があった。確かに事前に反復する行為の具体的な意味を知っておくと、本人にしても意識をしやすい。具体的な技術の使用イメージがあれば、より習得も早まるし正確に覚えられる。

本人が理解できるなら説明してからトレーニングを行うに越したことはない。だから基本は常に指導者は聞かれれば答えられなければならない。ただ

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