211 ある雨の日
雨の中、大荷物で帰ろうとしている私のかばんに「お見送りできなくてごめんね、これくらいしかできないけど…」と言いながらタクシー代を差し込んでくれた。
この間の旅行の時も、同じセリフを言いながら地元までの乗車券と特急券を突然手渡してくれた。
昨日訪れたディズニーでは、私が数百円の食べ物を自分で買う!と言っているのにそのくらいいつもみたいに払わせてよ〜と言ってくれたり、また別のものを私が注文した後、間髪入れずにキャッシュレスでお支払いをしてくれた。
彼は私にお財布を出させない人だ。
お金があってそれを上手く使えると、彼がいつも私にしてくれるように大切な人を喜ばせられるし、時に大切な人を守れるんだなと思う。
私はタクシーなんて滅多に乗らないし、新幹線もなかなか使わない。どこで食事をするかだって、金銭的な面から即決できなかったり。
なのに彼はそれらを私に提供してくれる。自分ひとりだったらうーむ…と悩むことを、彼はスムーズに叶えてくれる。
私は彼のおかげで何度も贅沢や快適な思いをさせてもらっているけれど、私自体はなにも凄くないし偉くもなくて、ただただ彼のおかげ。
もちろん、お金目当てでお付き合いしているわけでは決してないけれど、そういえばこの間、Instagramで繋がっているお友だちからいつもいいお店で食事してるよね〜なんて言われた。
変に嫉妬されたり勘ぐられたりするのも嫌だから冒頭のようなエピソードは載せるとしてもここみたいな比較的クローズドな場に。
ご飯をご馳走してもらったり、旅費を出してもらったりすることに対して、いつもしてくれるからと当たり前に思ってはいけないと思っている。
お店を出たあとの「ごちそうです」はマストだし、一緒に楽しい時間を過ごしてくれたこととそこでの費用をカバーしてくれたことに対するお礼は何度伝えても良いと思う。
実家にいた頃よく母が言っていた「お金は湯水のように湧いてくるものではないんだからね」はずっと心にある言葉で、彼だって石油王でもなければ億万長者でもないし、彼自身が価値を感じる対象にしかお金を使わない倹約家的な一面があることも知っている。
彼の話を聞いた上での想像の範疇にとどまるが、心や体に負荷のかかるお仕事に日々取り組んでいるいることも知っている。
結構前に言われたこの言葉には、経済的な側面も含まれていたのかもしれないな。
普段のお礼としてほんの気持ちだけど、ちょこちょこ旅先でのおみやげやお菓子を渡している。あとお手紙を書いたり。
これからも、金銭面にとどまらず彼に対する感謝を忘れずに、ともに歩んでいきたい。
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