Yuji Nishimori

主に筋肥大を目的とした筋力トレーニング初心者を対象に、基礎的な情報を発信します。発信す…

Yuji Nishimori

主に筋肥大を目的とした筋力トレーニング初心者を対象に、基礎的な情報を発信します。発信する情報は、研究論文や解剖学、生理学等の客観的事実に基づいています。筋力トレーニングについて疑問を持っている人、筋力トレーニングの知識を得たい人たちの役に立ちます。

最近の記事

筋力トレーニングのための生理学~骨格筋の機能と構造~

はじめに 小腸や大腸、血管などの臓器は、平滑筋に分類され、これらの筋肉は意識の支配下に存在しないことから、不随意筋とも呼ばれる。 心筋は心臓のみにみられる筋肉である。心筋も、平滑筋と同様に、意識的に収縮されることができないという特徴を有する。このことから、心筋も不随意筋として分類される。心筋は、基本的に神経や内分泌系によって操作される。 骨格筋は、意識の支配下に存在する筋肉で、そのことから随意筋とも呼ばれる。その多くが骨格に付着し、骨格を動かすことから骨格筋と呼ばれる。

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    • テストステロンについて

      内分泌系ホルモンは筋肉量の増加に大きくかかわる。筋肉量の増加に関わり、かつ十分な研究が行われているホルモンとしてテストステロン、IGF-1、成長ホルモンがある。今回はこれらのうちテストステロンについて詳述する。 この記事では、最初にテストステロンの生理学を説明し、次にテストステロンの効果、トレーニングによるテストステロン分泌方法、トレーニング外で体内のテストステロン濃度、値を維持する方法について説明する。 テストステロンの生理学 概要 テストステロンはコレステロールに

      • 高強度~「筋肥大」を最大化するために~

        はじめに 今回は筋肥大におけるメカニカルテンション(機械的張力)の重要性について説明し、筋肥大を誘発するメカニカルテンションを得るには、高強度(高重量低回数)トレーニングが効率的であることについて、生理学的、科学的観点から説明する。この記事を読むことで、「なぜ5~8RM低度の高強度トレーニングが筋肥大に有効か」が理解できる。 筋肉の増加には、筋肥大(hypertrophy)と筋形成(hyperplasia)の2つの様式が存在する。 我々は筋力トレーニングを通じて骨格筋が

        • エネルギー系の生理学~基本的知識、筋力トレーニングとの関係~

          はじめに この文書が対象とする者は、筋肥大を目的とした筋力トレーニー初心者である。この文書の目的は、筋力トレーニング初心者への基本的かつ適切な知識の付与である。 ヒトは生まれてから死ぬまで、常に運動し続けている。ヒトが運動するためにはエネルギーを消費する必要があり、ヒトがエネルギーを産出する方法には大きく分けて3種類ある。 今回の記事ではエネルギー系の生理学と筋力トレーニングとの関係について記述する。最初にヒトのエネルギー源を創るために必要な栄養素であるタンパク質、

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        筋力トレーニングのための生理学~骨格筋の機能と構造~

          カフェイン~作用、摂取量、筋力トレーニングにおけるメリット~

          カフェインは効果が科学的に信頼されている成分である。カフェインはその効果の高さから、オリンピックでドーピングとして禁止されていた過去があるほどである。今回はカフェインの作用、効果を得るための摂取量を説明したのち、筋力トレーニングにおけるカフェイン摂取のメリットを説明し、最後にカフェインのデメリットである睡眠阻害について説明する。 カフェインの作用 カフェインの主作用として、①中枢神経刺激、②血管拡張、③利尿作用、④代謝の亢進、⑤胃酸分泌が認められている。以下に主作用発生の

          カフェイン~作用、摂取量、筋力トレーニングにおけるメリット~

          ジャーマンボリュームトレーニング(GVT)とは~セット数の科学からGVTの効果を考察する~

          ジャーマンボリュームトレーニング(以下GVT)は、1970年代にかけて、ドイツのパワーリフターの間で開発されたトレーニング法である。GVTは「10セット法」とも呼ばれ、名前の通り、1セット10回のトレーニングを10セット行う方法である。今回の記事ではGVTトレーニングの概要を説明する。次に筋力トレーニングのセット数についての研究を紹介し、研究を基にGVTを考察する。 GVTの目的、やり方 GVTは、「60%1RM程度の重量で、1セット10回のトレーニングを60秒程度のイン

          ジャーマンボリュームトレーニング(GVT)とは~セット数の科学からGVTの効果を考察する~

          筋力トレーニングにおける「意識性」~マインドマッスルコネクション~

          トレーニングでの意識性とは、いわゆるマインドマッスルコネクションのことである。マインドマッスルコネクションとは、その名の通り筋肉と脳の繋がりである。多くの研究から、このマインドマッスルコネクションは大きくExternal focus(外部的要因への集中)とInternal focus(内部的要因への集中)の二つに分類できるとされている。今回の記事では、2種類のマインドマッスルコネクションを説明し、研究を基にマインドマッスルコネクションがトレーニングに与える効果を説明する。最後

          筋力トレーニングにおける「意識性」~マインドマッスルコネクション~

          筋力トレーニングにおいてのストレッチとウォームアップ~違い、目的、利点~

          ストレッチという言葉と、ウォームアップという言葉は、しばしば同じ意味で使用されることがある。多くの人がトレーニング前や、トレーニング後に準備運動を行うはずだが、それがストレッチであるかウォームアップであるか、どのような目的で行っているか明確な人は多くない。今回の記事では、ストレッチとウォームアップの違い、目的、及び利点を簡単に説明したのちに、全てのストレッチとウォームアップに共通する事柄を説明する。 ストレッチとウォームアップの違いとは ストレッチとは腱や靭帯、骨格筋を引

          筋力トレーニングにおいてのストレッチとウォームアップ~違い、目的、利点~

          筋肉の収縮の種類~なぜネガティブは大切か~

          ヒトの骨格筋の収縮は大きく分けてアイソメトリック収縮とアイソトニック収縮に分けられる。そしてアイソトニック収縮はその特性からコンセントリック収縮とエキセントリック収縮の二つに分けられる。 今回の記事では、ヒトの骨格筋の収縮様式について簡潔に説明し、そのうえで、筋肥大においてのエキセントリック収縮の重要性を説明する。最後に実際のトレーニングで取り入れることができる、エキセントリック収縮を得る方法を解説する。 アイソメトリック収縮「筋肉の出力=負荷」 アイソメトリック収縮と

          筋肉の収縮の種類~なぜネガティブは大切か~

          高重量VS低重量

          「筋力トレーニングは高重量で行うべきか、低重量で行うべきか」、おそらくこの議論は100年後も行われているだろう。この議論の際、二者択一的に考えるのは適切ではない。両者にメリットがあり、自分の目的に合わせて選択すればよいのだ。 高重量vs低重量、筋肥大効果変わらない? 高重量と低重量で筋肥大に有意差は見られなかったという研究は最近になり多く見られるようになった。 [i]この研究では、60%1RM以下でトレーニングする群と60%1RM以上でトレーニングする群では、筋力は後者

          高重量VS低重量

          予備疲労法は効果的なのか?研究論文をもとに考察する。

          予備疲労法とは? 予備疲労法というのは、単関節種目であらかじめ対象筋を刺激してからメインの複合関節種目を行うトレーニング方法である。これはメイン種目で対象筋への効きが感じられないときに使用されることが多い。例えば、ベンチプレスで胸に効きが感じられないときに、あらかじめペックフライで大胸筋を刺激して行ったり、レッグプレスを行う前にレッグエクステンションを行ったりする。予備疲労法を行うことで対象筋を鍛えやすくなるといわれるが、実際はどうだろうか。 予備疲労法について調査した研

          予備疲労法は効果的なのか?研究論文をもとに考察する。

          パーシャルレップvsフルレンジ

          フルレンジとは何か、種目による差異 トレーニングは基本的にはフルレンジで行うことが効果的であるとされている。この「フルレンジ」という言葉は、「対象筋に負荷が乗っている全可動域」を意味する。 フルレンジは、トレーニングの種目によって変化する。例えば、フリーウエイトのプリーチャーカールやインクラインカール等で、重力ベクトルと前腕が拮抗し、重さを骨で受ける場所がある。この場所以降では対象筋への負荷はなく、これ以上収縮させる必要はない。 重力を骨で受けている状態になり、そこから

          パーシャルレップvsフルレンジ