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掌編小説

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原稿用紙5枚の掌編小説
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#自由詩

原稿用紙5枚の掌編小説『夏の帰り道』

原稿用紙5枚の掌編小説『夏の帰り道』

 桑畑の一本道を、僕はランドセルを背負って歩いていた。大人の背丈ほどもある桑の木が道の両側を囲み、緑の葉のムッとする匂いが夏の光の中に漂っていた。

 その日の午後、僕は学校で熱を出し、保健室のベッドに横になっていた。体調がいくらか落ち着き、保健の先生から帰宅の許可が出たのは、放課後の時間をだいぶ過ぎてからだった。先生は軽い日射病だろうと言っていた。

 陽が西に傾きかけた道を歩いているのは僕一人

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随筆「習慣」

 ある週末の午後、行きつけの本屋をのぞいた。欲しい本があったわけではない。ただ本のある空間で、漠然と過ごす時間が好きなのだ。思いがけず読みたい本に出会えれば、それはまさに至福の時といってもいい。

 今回もそんな出会いを期待していたのだが、残念ながら触手が動くものはなかった。こんな日もあるさ・・・私はそう自分にいい聞かせながら店を出ようとした。

 と、その時、入り口近くの新刊本コーナーに平積みさ

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原稿用紙5枚の掌編小説       「雪の日の誕生日」

原稿用紙5枚の掌編小説       「雪の日の誕生日」

父から誕生日のプレゼントとして野球のグローブを贈られた日のことは、今でも鮮明に覚えています。子供用の玩具のようなグローブでした。その日は季節外れの雪の降る、寒い日でした。

 私は仰向けになり、四角い箱の中から空を眺めている。青い空を背景にして、白い雲が様々な形で浮かんでいる。カラカラという音ともに、小刻みな振動が私の体に伝わってくる。私が横たわった箱はゆっくりと移動しているようで、四角く見える空

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