目覚ましのアラームがやかましく私を起こす。 フィリップ・ベルおはようございます。 5月35日朝8時です。 上体を起こしベッドに座り、朝の情報を頭にインプットする 今の世の中は秒単位で変化が訪れるんだ。 移り変わりの激しさは人間同様。 私の職種的に服装は特に規定はない。 長い事使い古してるジーンズそれに白いTシャツグレーのパーカーそれで十分だ。 まだ眠さが残る。ベランダに出て電気自動車が行き交う街子供が人型アンドロイドに引率してもらい学校に送られている。 そんな街を見て左のケ
俺はワインよりも日本酒の方が好きだ。 助手席の森木は饒舌この上なくワインの素晴らしさを語り始めた。「大体ですね。葡萄言うのは奈良時代に日本に伝来してそこから今日までの歴史があるんですよ!!」 全くこいつは何でこんな無駄な知識を蓄えられえるのに、これらから俺たちが向かう富央県にいる凄腕警官の名前も覚えてないのだか。 俺との温度差に気付かずまだ口が止まっていない。「そう言えば最近、品魔谷県のほうに一際不思議な葡萄があってワインにすると鉄分が豊富で珍味なんですよ。有給休暇使っ
夜桜舞い散る。 私は縁側に座り煙草をふかし、桜が散っていくのを見つめていた。 一枚また一枚、春の終わりを告げる風が、春に咲く花をと共に地に帰っていく。 自らの儚い生涯を終わらせる日にお似合いである。 微笑を浮かべ、着物の袖から薬瓶掴み口を開け真上向いた。 後は飲むだけだ。薬が瓶から出て口に入るほんの数秒だ。しかし、薬が私の大きく開けた口に入ることはなかった。 裏口の方から可愛らしい声が聞こえたからだ。 縁側には薬が辺り一面にばらまかれている、かくいう私はスッと立ち上がり裏口か
水、それは、どんなに頑張ってもつかめない、あったかくも冷たくもなりうる。不思議な存在だ。 背中には浅い水、目前には、暗い星空が見える所にもう随分といる。 夢だろうと思い何度も眠って目を覚ましたが、どうやらこれは現実みたいだ。 何で私はこんな所にいるのだろう。 最近よく寝られてなかったけど、体にボロが出たわけでもない。 そんなことより星が綺麗だ。 まるで子供が真っ黒の板に白い絵の具を筆で飛ばしたみたいな模様だ。 そういえば目を覚ます度に星らしき白い点の位置は変わっている。 偶然
1匹の鴉、世闇に同化し眠っている。 だがある夜から寝られなくなった。 鴉は寝れないのは寂しいからだとわかっている。 なぜなら過酷な都会の街を飛び回って今日の飯にありつく、それだけで手一杯だ。 それに、鴉には仲間もいない、親の顔も知らない、人間からも煙たがれる。 自分が一体何か悪い行いをした言わんばかりの事をされる。 鴉は夜になると高いビルの屋上に寝床を作った。 その時、夜の空にポツンといる月を見つめた。 月を見た鴉は悲しさと願望が湧いた。 月も誰もいない夜に地球を照らしてくれ
濡れた土の匂いが鼻を掠めていく。 昨日の夜雨が降ったから道はぬかるんでいる、せっかくの先のとがった赤い靴が汚れてしまう。 うちの周りの道は舗装されていない。おろしたての靴に気を使いながら獣道を歩いて町に向かった。 森が開けて、美味しそうなにおいや人の話し声が聞こえる。町はきれいだ、道は綺麗な石畳がはめ込まれている、壁みたいに大きな家が立ち並んでいる、何より町の中心に宮殿が鎮座している。 町の石畳をコツコツ機嫌よく歩く私にみんな笑ってくれる、私は道化師だ。 人前で面白おかしく動
夏の夜空に、オレンジ色の光が空を照らす。 オレンジ色の空から純白の雪が降ってる最近よくあることだな。 灯り1つ付いていない、ビル群。 見渡す限り半狂乱の人間が、ひしめき合っている。 物凄い熱だ。気温が猛暑日くらい熱い。 鼓膜を破きそうなくらいの声量で先導者の言葉を復唱している。 {我々にも権利があり、人間として生きていけるのだ。我々は愛を持ってこの国を建て直おすのだ!!偉いさんに何がわかるんだ。} そう、俺は数ヶ月前に俺宛に1通のメールが届く。 堅苦しい文章だったが、要約する
王は民衆を支配すると同時に民衆の奴隷である。 暴君は今日も土地を他の国から略奪 暴君は今日も気に食わぬものを消していく 暴君はカラスがたかる屍を見ても何も思わない 暴君は自分の手は汚したくない 暴君は今日も大好きな宝石を眺める 暴君は今日も女に囲まれ酒を浴びる 暴君は鏡を見て自分の姿にご満悦だ 暴君はこの世は全て自分のだと思う 暴君は久しく戦っていない 暴君は今の自分が弱いのに気づかない 暴君は使用人の陰口に気づかない 暴君は自分の国が他の国に負けても
僕はこの時代にそぐわないのか? それとも何もないだけなのか? また終わりのない疑問に耽ていた、カーテンの隙間から細長い光が朝を知らせる。 僕はベッドからスッと起き上がった。 軽く背伸びをして、椅子に掛けてあったアウターを着て飄々と砂浜に向かった。 砂浜には朝早いから誰もいないだがそれがいい。 氷のように冷たい砂浜にそっと腰掛ける。 波の音が何もない男の心に染み渡る。 太陽が地平線から少し顔を出している。 太陽光が海に当たる。 ガラスのように乱反射する海を見ている間だけは全てが
そこは暗く湿気ていた。 日の光なんて浴びれない。 まるで太陽が嫌ってそっぽを向いているみたいだ。 湿気も多くかみなら濡れてしまうくらい、しかし珍しく太陽がこちらを向いてくれたとき坂道の上に一際背が高く綺麗な桜色の花が太陽を目指して咲いていた。 いつ思い出しても、あの花は地面しか向かない私に太陽いや、空の素晴らしさを教えてくれた。 もう一度でいいからお目にかかりたい。だが、あの煌びやかな花は空を見ている。 さらに坂の上に咲いている。私が綺麗な紫の花を咲かせても来るのは蜂だけだ。
電車のつり革にしがみつく、同じような格好をしている人に流されぬよう。 踏ん張ってもう3駅は通過した、一向に終わりが見えない。 ふと、目の前の窓から景色を見た。面白みのないただのビル群言わば鉄の塊だ。 俺の古巣は景色を思い出した。 春になれば辺りにたんぽぽが黄色く優しい色で癒しをくれた。 夏になれば、風鈴が優しく透き通った音色で夏を知らせてくれる。 それに、蝉の声が地平線まで響いた。 秋には稲が黄金色になりライオンのたてがみのように風になびかれていた。 冬になれば、一面銀世界に
純白の空からひらりひらりと小さな結晶が舞い落ちてくる。 俺は零度に近い気温の中、コートのポケットから携帯の画面を見て、一人ぼやいていた。 「全く2015年になって2ヶ月経ったのに、まだ車はガソリンを使って地を這っている。 俺の好きな映画だと、2015年は車は空を縦横無尽に飛んでいるぞ。」 大きく溜息をついた。 後ろから「先輩!! 置いて行きますよ。」車で待っていた森木が怒っていた。 俺は軽く手を振って車に乗り込んだ。 乗り込んだと同時に、森木から紙コップにホットの紅茶入れ差し
これは、少し前の真夏の日々のこと。 あそこはあまり人に地名を言っても知ってる人は、ほとんどいない場所いわゆる田舎だ。 周りは山ばかり、あの時はテレビから「数年に一度の猛暑日になる模様です。十分に熱中症対策をとってください」なんて、涼しいスタジオにいる見ず知らずのアナウンサーから注意を受けるくらいだ。 ちょうどこの時期はスイカが一年で最も輝く頃である、水に氷を足してキンキンに冷えた氷水にスイカを浸す。 それを切り分けて近所の人と風鈴の音色を聴き