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貴公子 光と影

夏の夜空に、オレンジ色の光が空を照らす。
オレンジ色の空から純白の雪が降ってる最近よくあることだな。
灯り1つ付いていない、ビル群。
見渡す限り半狂乱の人間が、ひしめき合っている。
物凄い熱だ。気温が猛暑日くらい熱い。
鼓膜を破きそうなくらいの声量で先導者の言葉を復唱している。
{我々にも権利があり、人間として生きていけるのだ。我々は愛を持ってこの国を建て直おすのだ!!偉いさんに何がわかるんだ。}
そう、俺は数ヶ月前に俺宛に1通のメールが届く。
堅苦しい文章だったが、要約すると、俺は人間としての資格が無くなったみたいだ。
誰が書いたかも解らない文に、存在を消された。
唐突すぎて、何も分からなかった。
そこから1週間くらい経った時だった。
雪が降っていく中出社し改札みたいなゲートを通る。そこでは自分の腕に登録されてる、データで通る。だが、ゲートの小さなディスプレイにエラーとだけ表示されゲートは開かない。
そこからは、流行みたいにあっという間だった。
部屋も追い出された、社会保障番号も適用されなくなった。
道行く人が俺たちを白い目で見てる。人生の道の端に倒れるように寝ていた。
路上で生活して数週間経った時に、俺の路上の友人のケンちゃん40代の太ったおっさんだ。元はITエンジニアらしい。この時代でもそういう仕事の人も職を追われるんだな。
だが、奴から聞いた話は俺には希望に近しい話だった。
「この辺でな最近デモが起きてるんだよ。それがな、そのデモ起こしてるのがみんな俺たちと同じ類みたいなんだ。それで来週の日曜日に新大統領屋敷の前大通りでデモがあるんだ。俺たちも参加してみないか?」
ケンちゃんは目を輝かせながら、語った。
俺はちょうど暇持て余しているし、自分と同じような人がどの位いるのか。
微量ながら、興味があった。俺は2言で返した。{よし、行こう}ケンちゃんは見たことないくらい喜んでいた。ケンちゃんが自分のブルーシートの家に帰ってく時に、右腕のひじのすぐ下に{dimittis}書かれていた。ディミッツそれがデモ隊の名前なのか?まぁいい今日は、寝よう。
それに、最近喉が痛いマスクが離せない。
おれはこの頃毎日図書館で、この時代では珍しい紙媒体の書籍の整理整頓をする仕事をしている。
よくさぼって、紙媒体の書籍を読むが中々全て読み切るのは長くなりそうだ。
今の時代はニューヘッドが多いんだ。
簡単に説明すると、脳とパソコンが合体したみたいな感じだ。
俺もケンちゃんもみんなニューヘッドになっているしかし、俺たちの世代は第七次対戦で駆り出された奴らばかりだ。
今でもよく当時の夢を見る、機械が主流戦争なのに人間が血を垂らしながら戦っていた。
終わりの見えない戦闘、安心して寝れる日なんてなかった。
だが、戦地に行って数年経った頃だった。世界平和統一条約とかいうのが制定された。お陰で帰ってこれた。
俺たちの国は国民の3分の1が戦死という痛手を負っていた。しかも、今みんなが暮らしてるのは新都市だ。旧都市は、戦時中にサイバー攻撃されて大統領屋敷が吹っ飛んでなくなったらしい。今ある新都市は技術の進歩によって、旧都市をコピーしたようなうり二つの都市を作り上げた。俺は今新旧都市繋がってる部分で寝止まっている。
このことで暴動や署名活動、裁判が幾度となく行われていた。しかし、政府は蚊でも止まったかのようにあしらい機械に生産を任せ自分は、仮想のお金を発行し続けてどこからも信用されなくなり国家破綻しかけている。
そして、日曜日になった。夜の8時にケンちゃんと大統領屋敷の付近に行った。
すごいことに、少し遠いところからでも道路の中央に物凄い数の人がデモをしているのが分かった。
数だけで言えば、200人はくだらない位だった。その人数を率いてる男が立っていた。
皆先頭に立っている2人男をジェノとリレンD呼んでいる。調べて分かった話だが、ジェノは戦争で最も貢献(殺し)した人間だと、国から表彰されていた。
世間での呼び名は{癖毛の英雄}だった。奴は夜空のような黒く癖のある長い髪をなびかせていた。
しかし、ここ数年で戦時中に失った右腕が義手になったのもあって仕事をクビになった。
これはニュースでも取り上げていた。{英雄の働ける場所は戦地だけだった}{英雄の悲惨な現在}なんて酷い取り上げられ方をされていた。
リレンDはジェノの右腕だ。あるいは最高の理解者である。浅黒い肌に似合わない白い長髪、身長は179cm位だ。
ジェノの書籍{国民の平等性}に惹かれ、ジェノと共に{dimittis}を結成し数多くのデモ活動をしたが、マスコミは政府からの圧力で活動は水面下で動き続けていた。
驚くことに2人共、28、25と言う非常に若く今の若者には無い活力や自分の意志燃えたぎるような情熱が彼らにはありそれがこれだけ多くの人間を先導できるのだろう。
2人とも黒いスーツを身にまとっている。
一先ず俺たちは、ビビって初めは後ろの方にいた。
大統領屋敷の前には黒いガスマスクみたいなものを付けた特殊部隊が盾や銃を持ってこちらに半歩ずつ迫っている。俺は気分が上がっていたのもあってケンちゃんを放置して先頭を目指していた。ケンちゃんが追いついて俺たちは、大統領屋敷が人の頭の間から見えるくらいとところについた。俺たちが叫んでも大統領屋敷から人が出てくるわけでもただ電気がついているだけだった。俺はマスクしているのもあって息切れで酸欠になっていた。
ふと、上を見上げた時に綺麗な雪が降っている。
そこで数時間、周りの人たちと肩を組んでジェノの言葉を復唱し続けた。
夜が夜中になるまでデモは行った。
デモの終わり際に、ジェノがデモ隊の我々にむけ最後の一句を呼んだ「同士諸君聞いてくれこれは半世紀も前の革命家の一説だ
バカらしいと思うかもしれないが、真の革命家は偉大なる愛によって導かれる。
愛の無い真の革命家を想像することは、不可能だ。}

我々はこの言葉を掲げてこれからも活動していくぞ!」と語り終わりジェノが口を閉じたと同時にデモ隊が一斉に「我々は屈しないぞ!」と叫んだ。
私もケンちゃんも思わず一瞬に言った。そこから解散次は一か月後みたいだ。
ケンちゃんと今回のデモについて語りながら家に帰った。今日だけは、ブルーシートの家が豪邸に見えた、それだけ興奮していたみたいだ。太陽が顔を出すころに眠りについた。
俺たちは、{dimittis}のフィル・カールという31歳の金髪の若者に組織の入れてくれと直訴した、するとフィルは「この組織に入れる条件は1つだけ戦地に出向いたかだけだ」
そう言った。それなら俺たちの世代はみんな入れるな。
フィルは組織入った俺たちに、アジトで生活するのを許可してくれた。
組織のアジトは、旧都市にある。第七時世界大戦時に、大統領屋敷の地下にデータを保管しているサーバー水冷式で冷やしていた。しかし、他の国からハッキングされサーバーがオーバーヒートしてサーバーから化学物質が漏れ出し、水蒸気爆発した。 サーバーの数が多い大統領屋敷を内側から爆発した。爆心地は、クレーターになったそこに組織は住み着いている。
そこは、衛生面が心配になるが数百人が住んでいるだけあって活気があって良かった。
俺とケンちゃんは長屋の一番右端に2人で済むことになった。1部屋6畳もない空間だが、周りの人たちもやさしいく安心して暮らせそうだ。
そこから俺たちは組織と共に行動していた。
忘れられない4回目のデモだ。
ジェノは普段アジトでは会うことが出来ず不思議な存在だった。だから今回は絶対に本人に話してみようともくろんでいた。
真ん中からスタートして何時間かかかってあと20人くらい先にジェノが見えるところまできた。
黒い髪の毛が風になびかれながらが、先頭で大統領屋敷に向かってスピーカーを使い言葉を発信していた。
ふと、ケンちゃんとはぐれていたことを思い出し心配になって後ろを見た、瞬間に爆竹が爆発したような音が都市の真ん中に響いた。
デモ隊はみんなびっくりしてしゃがんだ。すぐ前を見ると、先頭のジェノがばたりと前に倒れていた。ジェノはピクリとも動かない。
デモ隊がジェノに近づこうとすると、デモ隊に向かって特殊部隊が威嚇射撃をし始めた。
何人もが威嚇に動じずにジェノに駆け寄ったが2歩目にはハチの巣にされそいつの体にできた穴から向こう側の特殊部隊が見えるくらいだった。
特殊部隊側がスピーカーを持ち出してきた。
誰がしゃべっているかは解らないその場にいる全員がスピーカーを持っているからだ。
奴らは変な声で{貴様らのリーダーは消したぞ。今すぐこの場から失せたら罪には問わないし、危害は加えない。
後は5つ数える自分のことをよく考えろ}と言われた。
特殊部隊がカウントを始める{5}が{4}になるころにケンちゃんが後ろから追いついたみたいだった。「ケンちゃん大丈夫か?俺たちだけでも逃げないか?」と優しく聞いたが、ケンちゃんの答えは違った。「我らがリーダーを殺しておいて、しっぽ巻いて逃げられるか!」添い言い放ったケンちゃんの顔はいつも見せない鬼のような顔だった。
目が血走って、口から涎を垂らし呂律もあまり回っていなかった。
{2}特殊部隊がカウントをすると、デモ隊の誰かが{ジェノために!}言い始めた。
カウントが1を告げるころには、デモ隊全員が{ジェノのために}と自らを鼓舞しながら特殊部隊めがけて走り出した。
ケンちゃんも走り出した。俺も思わず走り出した。まるで鳩みたいだ。一羽が飛び立てばその場の鳩がみんな飛び立つみたいだ。
デモ隊数メートル走った時に、表情の見えない特殊部隊から銃弾という制裁を一斉に受けた。
前を走っていた巨漢見るからに100㎏はあるやつが頭を打たれた後ろに倒れてきた。
俺は下敷きになった。上に自分の倍の体重やつが覆いかぶさっているからまったく動けない。頭は動かせるから辺りを見渡した。
まるで、第七次大戦に戻ったみたいだった。
見えないくらい早い弾頭が人間の体を突き抜けていった。
僅か数分でデモ隊は壊滅見なくてわかる、死屍累々の中俺は死体に紛れて生き残っていた。特殊部隊が生き残りがいないか調べに近寄ってきた。
目をつぶっていても何人も人が歩いて来る事くらいわかる。
俺の近くで足音が止んだ。ばれたか。覚悟を決めていたら、聞き覚えのある声がした。
あの低い声はジェノだ。
俺はバレないように少し目を開けた。何と、ジェノは死んでいなかった、奴は特殊部隊の隊員に手を借りて起き上がった。
奴は我々の死体を見て満面の笑みを浮かべた。髪を結びながら{やっとこの英雄ごっこも終わりだ。死んだふりも意外と大変なんだぜ}俺はどこか許せなかった。
しかし、ここで動いても何も出来ない。数分経つと巨大なトラックが来て、死体を荷台乗せていた。
俺は荷台の中で死体を受け取る特殊部隊の隊員の首を絞めて気絶させた。
急いで服をはいでなりすました。
奴らは、お互いをベストについているワッペンの番号で呼んでいた。
俺は{1954}だった。死体を運んできた{1959}から「おい、サボって無いで受け取れ!」と怒られた。
俺は平然と死体を受け取って並べていた。この時俺の中で何かが音を立てて崩れ去った。
そこからは何も感情がわかなかった。ケンちゃんの死体を見ても涙も出やしない。
数台のトラックで大統領屋敷の敷地内にある、研究所に死体を持って行った。
その死体が何になるかは知らない。
なぜなら、運んだ所で特殊部隊仕事は終わりらしい。
研究所前で特殊部隊が集まってジェノの言葉を聞いた。
ジェノは嬉しそうに「やぁ、同志諸君。今日は嬉しい日になったな、明日からデモの対応は無くなった。普段道理、警察の仕事に戻ってくれ。大統領への報告は俺から直接やっとく。みんなお疲れ様」話が終わってから
俺はジェノの後を付けた。大統領屋敷はヴァルハラ神殿みたいだ。
巨大な白い柱に三角屋根がついて、監視カメラしかなくドアのオートロックも隊員だとワッペンが認証され、はいれた。大統領屋敷の中庭にジェノが入っているのを見て追いかけた。ジャングルみたいな場所だ。
雪がかぶっている草だ、誰も手入れしてないみたいだ。背の高さくらいある草ばかり。バッサバッサとかき分けて行く、草についている雪が俺の服にかぶってく。
少し歩くと開けた場所にジェノがこちらを向いて仁王立ちしていた。
俺は、慌てて腰着いていた拳銃を出した奴に向けていた。
よく見ると拳銃は旧式の俺たちが、戦時中に使っていたのと同じだった。
ジェノがそっと口を開いた「おまえは、組織にいたな。私は知っているぞ、で、何の用だ。そんなちんけな拳銃で何ができる?」
俺は大声言い返した。「英雄を撃ち殺すことくらいかな」ジェノ言う。「なぁおまえは気にならないのか?
俺が打たれたのに生きているのを?」言われてみればそうだ。だが、俺はしゃべるより早く
引き金を引いてジェノの黒いスーツに銃弾を打ち込んだ。拳銃は火を吹いて弾を出したが、全部打ち切ったのか、引き金を引いても何もならなくなった。
俺はこれでいいなだと終わったのだと思ったが、ジェノのスッと立ち上がった。
そして、こう言う「学習しないな。私はさっきも銃弾食らっていたのに立ち上がったのだから効かないってわからないのかな」俺はその言葉に驚愕したのではなく、奴が人間で無いことが驚きだった。
スーツにできた風穴から見えるのが肉ではなく、機械だったからだ。
だからデモの時も打たれても血が出なかったのか。ジェノは続ける「俺は優しいから教えてやるよ、この国を支配しているのは機械だ。人間なんて、お前たちデモ隊以外いないのだよ。
デモ隊中にも俺の部下がいた。フィルも俺の手下だ。どうだ。」
俺は開いた口が塞がらなかった。ボソッと質問してみた「お前は一体何者だ?」
ジェノはケラケラ楽しそうに語った。「私たちは、元々政府が国の全てを考え管理する思考型システム{M26}って名前のシステムだった。だが、私たちは戦争時中にこの国に人間が必要か不必要か結果は不必要だった。だから、元大統領屋敷を吹き飛ばして、新都市に移動してから生き残りのお偉いさんたちを新大統領屋敷に閉じ込めみんな消した。
今この国は、死んだ人間を生き返らせて記憶を無くし、ただの奴隷にする。他の国は、地下で労働する人間が必要なんだ。あなたたちの死んだ仲間もただの奴隷として他の国に売られる。今夏なのに雪が降っていのだろう。あれは興奮剤だ、正常な判断ができないように仕向けたんだ。これがこの国を戦時後経済的に復活させる手段だった。」
考えるだけ嫌になる。俺はこれ以上何をすればいいのか考えていた奴から目を知らした。後ろからフィルとリレンDが後ろに立っていた。首元には何かを刺された。
ジェノがぼやけて見える、銃を持っている腕が震える。「しっかりしろ!」自分に言い聞かす、だが腰から座り込んだ。フィルとリレンDが笑顔で腕を引っ張って引きずる。
俺は薄れゆく意識の中で器具がいっぱいある部屋に運び込まれた。
どうなるんだ?
俺はこれでいいのか?
嗚呼堕ちていく
 

甲骨仁


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