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記憶の深海

これは、少し前の真夏の日々のこと。
あそこはあまり人に地名を言っても知ってる人は、ほとんどいない場所いわゆる田舎だ。
周りは山ばかり、あの時はテレビから「数年に一度の猛暑日になる模様です。十分に熱中症対策をとってください」なんて、涼しいスタジオにいる見ず知らずのアナウンサーから注意を受けるくらいだ。
ちょうどこの時期はスイカが一年で最も輝く頃である、水に氷を足してキンキンに冷えた氷水にスイカを浸す。                  それを切り分けて近所の人と風鈴の音色を聴きながら会話を楽しんだ。
ここの町民の人数はさほど多くないが、みな仲の良さは良かった。    それが、表向きの顔だとしても。
私の先祖代々この土地に住んでいる私含めてみな作家や職人気質な家計だった。
だが、みんな亡くなってしまった。
それに先月二つ下の妹は「この田舎で一生暮らしてらんない!!」なんて捨て台詞を吐いて、憧れの大都会東京に行ってしまった。
だから、代々受け継いだ昔ながらの木造の大きな家にポツンと一人だけになった。
それから、数日経った朝、目を覚ますと枕もとの丸い時計は9時すぎを示していた
手に少し粉みたいなのが付いていたまぁただの砂糖だろう。
布団から出て珈琲を飲みながら外を見る。               近所の川の近くに珍しく駐在さん以外に制服を着た警察官が見えた、私にはなにがあったのか皆目見当も付かなかった。
単なる好奇心に突き動かされ、階段を駆け下りていくそして、安いサンダルを履き服は寝間着ままと言っても先代から受け取った袴である。
外は嫌になるくらいの青空、近く木からセミの鳴き声が狭い町内に響く。
だが、警察官の元に近づくに連れ今まで嗅いだことのない匂いが鼻腔をくすぐるしかし、それはほんの少し懐かしい感じが脳裏によぎった。
川の近くのその臭いの元があった。
頭が川の中に突っ込まれているうつ伏せの男の身体、見ると背中のど真ん中のに2つほどの刺し傷が見える死体の近くには白い紙が落ちていた。
傷口から滲み出る血が川の流れに乗り下流へと流れている。
周りを見れば近所の奥さんや居酒屋の大将など顔なじみのある人がみんな驚きを隠せない様子、すると、倒れている男性に泣きじゃくりながら駆け寄る女性がいた。
その女性の名前は、賀田寿子この町の町内会長の婦人だ。        となると、倒れているのは、町内会長の賀田義昭となる。
奥さんが旦那の名前を呼べど叫べど旦那はピクリともしないついには奥さんは警察に止められたところで泣き崩れ座り込んだ。
すぐさま応援のパトカーが到着し我々は解散し家にいるように指示された。
家に帰っても、あの光景が脳にちらつく。
私は、自室に戻って冷めた珈琲を飲みながら、お気に入りのヴィック・ダモーンの曲を聴きながら過ごしていた。
珈琲の2杯目があと1口で飲み終わる時、チャイムがなった私は、「はーい、今行きます」と返事をしながら階段を降りて玄関の引き戸ガラスに映る2人の姿がぼやけて見える。
ドアを開けると、そこにはスーツを着た白髪交じりの短髪の中年のベテランそうな男と如何にもスーツを着るのに慣れていないぎこちない綺麗な黒髪の若い女性が立っていた。
中年の男方が警察手帳見せながら「こんにちは、刑事の井上麴と森木美沙です。幾つか質問に答えください。」と丁重に言われた。
私は「は、はい」と心細い声で答えた。
質問は、昨日の夜不審な音は聞いたかや何時に寝て何時に起きたや賀田さんはどんな方でしたかなどのよく映画などで聞く台詞だった。
私は少し映画みたいだと思っていて質問に答えるのが少し遅れた。
「えーっと、昨日の夜は12時くらいまで原稿を書いてました。で、ウトウトしてきたので寝ました。
今日は朝は9時くらいに起きましたそれで外を見ながら珈琲を飲んでいて警察を見たという感じです。
それと、加賀さんは言わば明るいおじさんでした。お酒が好きで小さい町なので、飲む場にはいつもいて音頭を取ってましたよ。」ハハハと少し笑いながら答えた。
すると刑事の井上は「そうですか、ありがとうございました。最後に、こんな文をご存知ですか?
無知は恐怖を産み、 恐怖は憎しみを産み、 憎しみは暴力を産む。 これが方程式だ。」と刑事の鋭い眼差しで聞いてきた、があまり私には思うところがなかったので「すみません、わからないです。」と情けなく答えた。
ベテランの井上刑事は何も言わず少し頭を下げる少し遅れて1歩後ろにいた森木も頭を下げた。
私は家に入り1階のキッチンで、朝ご飯を作ろうと思い冷蔵庫の前に立ったが...
人が死体を目の当たりにして、ご飯が喉を通るわけがないなと思い。
冷蔵庫に入ってる珈琲の1.5Lペットボトルを取り出し自室に戻った。
気持ちを切り替えて原稿を書こうとして曲を流していた、机の上の時計に目をやるともう12時を過ぎたのに、全くいい案が湧かない。
どうしても今朝の死体が脳裏に浮かび上がる。
それに刑事から質問されたあの文章である。
あの文章思い返せばスペインの哲学者であり、医者でもあったイブン・ルシュドであることに、亡くなった父親が言っていたのを覚えていただが、父親が何に対して言っていたのかは思い出せなかった。
次に、気になるのは誰が加賀さんを殺したかだ。さほど悪い人では無いのにと腕を組んで考えていると、家のチャイムがなり出て見る私の家から空き地を挟んで隣に住んでいる来馬さんの奥様美恵さんと、私の家の左隣の戸江田健介さんが来ていた。
この2人は近所なのもあって普段から頻繫に家でご飯やスイカなどを食べて噂話をしている。
残念ながら、私はあまりそういう話に興味がないので、大半は聞き流していたが今日のは
別物だった。
美恵さんが言うには、「あたし見たのよ昨日の夜中にあまり寝れなくて星を見ようとカーテンを開けて外を見ると髪の長い人が川の近くのガードレール付近にいたのよ、でも、あたしこれ刑事さんにはいってないの」私は思わず「え…」と言ってしまった。
健介さんもあまり話が分かっていないようだ、しかし、美恵さんはさらに続ける「もしこの町民ならあたしたち身内で方をつけましょ、二人もどう?やってみない?」と私と健介さんは二人とも難色を示した。
場の空気が静まり返ったので私が別の話をしようとすると、美恵さんは怒って帰ってしまった。
仕方なく健介さんと話していると面白い話を聞けた「どうやら、美恵さん一度義昭に言い寄られたんだと、俺もその場にいたけど旦那の太一さんが怒って大変だったよ。
これは割と最近だから、もし殺すなら太一さんかもね」と私はちょうどその日は妹の物件借りる時の保証人だから東京に行っていてホテルに泊まっていたので知らなかった。
かれこれ数時間話していると健介さんが「俺野球の試合テレビ見るから!」と言って慌てて帰って行った全く嵐みたいな人だ。
私は自室に戻りベランダで煙草を吸っていると、綺麗な夕焼けが見えたそうして空を見ていると黒い煙が町の少し離れたところから立っていた。
あそこは焼却炉であり、この町のゴミや隣町のゴミを燃やしているのだ。
何本か吸いながら、なにかアイディアが出てくるかと思ったが残念な結果に終わった。
気づいたら辺りが真っ暗になったので晩ご飯を作りにキッチンに行った昼よりかは食欲もあり簡単に出来る炒飯を作ることにした。
ついついほかのことを考えていて人差し指の腹を少し切ってしまった。
その時に傷口から鮮血があふれ出た私は何を思ったかぼぉーっと血を見つめていた。少し経った時、火にかけていたスープが沸騰して物凄い音を立てた、はっと気が付いた私急いで火を止めて炒飯を作った。
やっと夜ご飯を食べ始めるときテレビを付けるのが私の習慣だ。
テレビをニュースを見ると21時をアナウンサー知らせていた、天気予報が流れたどうやら今日の夜中から明日の午前中まで大雨のようだ。
私はふと美恵さんはこれで犯人探しをしないだろうと思った。
夜ご飯を食べ終わり、風呂につかりゆったりし、風呂上りに自室で冷えた麦酒を飲んでいた。コップに注ぐと透明度のある麦色をしているしかも、その上には数え切れないくらいの小さいな泡が乗っている、こんなに人間の欲を借り立たせるモノはないのではと思っていた。
段々と瞼が重くなってきた、なにかいいアイデア出さないと。
目が覚めたら朝になっていた、頭の痛さと身体が少し濡れてるくらい後は何もかわらない私の部屋だった。
カーテンを開けて外を見るが、雨で景色が見えないくらい降っていた、雨戸をたたく音が家に響く雨の音は好きだがここまで降られるとむしろうるさいと思うくらいだ。
今日は順調に原稿を書くことが出来ている。
私は主にミステリー系統の物語を書いている。
昨日見た加賀さんの血や自分の血を見て何かひらめいたようで、スラスラ書ける今回は空き巣に出くわした女性が些細な抵抗をしてしまい殺されてしまう。
犯人がどうにか死体を隠さなくてはならなくて、仕方なく町外れの焼却炉で死体を消すという話しだ。大分原稿を書けていた、机の上の時計に目をやる時計は13時を示していた。
そろそろ昼飯を作ろう。
意気込んで1階のキッチンに向かって階段を下りていると、家のドアを誰かがたたいていた。
私は恐る恐る開けるとこんな雨なのに傘を差さず全身ずぶぬれで前髪がおでこにくっつくくらいだ。
来馬の旦那さん太一さんが真っ青な顔をしていた。「美恵がお宅にお邪魔してないですか?」私は「いえ、美恵さん今日はいらしてませんよ」と答える。
すると、太一さんは上着のポケットからある紙を見せてくれたそれは刑事に言われたあの文章だった「これが家にあって窓ガラス割れていて」と語った「警察に言いますか?」と話したが太一さんは軽く頭を下げてどこかへ走り去って行った。全く美恵さんどこに行ったのかと思った。
昼飯の目玉焼きとご飯を食べていた。テレビから天気予報が流れていた天気予報によるとこの雨は数時間後には降りやむみたいだと。
ご飯を食べ終わり、自室で作業をしていて時計を見ていなくて時計を見ると19時を指していた。すると家のチャイムがなり出て見るとまた、あの2人の刑事がいた「なんのようですか?」と質問すると井上が「来馬美恵さんらしきが焼却炉にて死体で発見されました。」
私は、全然話が分からなかったというよりかは受け止められなかったというのが正しいだろう。続けて森木が言う「昨日こちらに被害者がいらしたのはほんとですか?」と
私は、「は、はい、で」と歯切れの悪い答えをしてしまった、すると2人から「何か問題でもありましたか」と言われたが何も問題はないので「なんでもないです」と答えた。
2人の刑事が帰って行き自室に戻り珈琲を飲みながらまさか、私が小説にしたからなのか
そんなわけないよなと思った。だが、昨日の夜の記憶が無いそんなに麦酒を飲んでいない何故だと考えながら、風呂場に行くと血がべっとり着いた包丁があった。
何かの間違えだと思いとりあえず、自室に行き座って考えると私自身のおかしな点が幾つか浮き彫りになってきた。ここ何ヶ月も夜の記憶が無い事、昨日に至っては起きたら何故か身体が湿っていた。
私は、昨日どこにも出かけていないし、服濡れるなら雨が降ってる時だし、段々昨日の記憶が蘇ってきた。私は、最近麦酒の後に紅茶を飲んでいた。そこからが思い出せ無い。
そこから自らの過去を洗っていくと不可解な点がボロボロ出てきたまず、何故両親が亡くなったのか、何故妹は町を出たのかそこで妹に電話で聞いてみた。
すると妹から信じがたい話を聞かされる、「お父さんもお母さんも二人共夜に空き巣に殺されたらしい。私とお兄ちゃんは寝てたから知らないのよ」続けて「あたしは町内会長のじじいがベタベタ触れてくるしきもいってお兄ちゃんに相談してどうにかするって言ったじゃん」私は、携帯を持ったまま膝から崩れ落ちた。
なぜなら、全て私がしたからだ。                   両親も自分の作家としての評価が悪いなど変なことでけんかになり気が付いたら背中に深い刺し傷を負った2人が倒れていた。           加賀さんもそうだ。                         夜中に散川の近くを散歩していて加賀さんを見つけて、「妹に手を出すな」というと酔っていた加賀さんと口論になった。             加賀さんが殴り掛かってきた私は、交わして後ろを取って口を塞いで後ろから刺した。そして、念のため生きていたら困るため川まで引きずり顔を水に付け窒息させた指紋がつかないのはゴム手袋をしていたからだろう、確かゴム手袋は田んぼのへりにある側溝に入れた気がする。
それに刑事言われたあの文章はわたしが父親と喧嘩した時言われた言葉だ。それ紙に書いてを加賀さんの死体の近くに置いた更に美恵さんも私だ。美恵さんが見たい髪の長い人は私だった。どうやら無意識に顔が見られてないか心配だったみたいだそれで、美恵さんの家に窓ガラスを割り入り美恵さんを刺殺それを焼却炉に持って行っただから、身体が濡れていたのだ。ひとしきり考えていると電話の先から妹の呼ぶ声が聞こえたがなんて言ってるか聞き取れなかった。
私は、電話を切り、頭を冷やそうと玄関の引き戸を開けると刑事2人が令状を持っていた。そして、私は、捕まった。
そして、カードに指紋が私のであった。それと包丁があったからだろう。
やっとわたしが全くと言っていいほど記憶が思い出せなかったのはベラドンナというとお茶を飲んでいたからだ。
ベラドンナは幻覚作用や脳に影響を及ぼす成分が含まれていたらしい、この主人公もかわいそうですよね、自分がやったことすら覚えていないなんて。という話を私はフラッシュをたく大勢の記者の前で語り記者を震え上がらせえた。
司会が「そろそろお時間になったのでこれにて甲骨仁さんの著書{記憶の深海}の会見でした。ありがとうございました。」私はそっと席を後にした。
そう言って私は控室に戻るとマネージャーから「本の内容言ったダメですよ」と怒られた。私はハハハと笑いながらサインをする本の山から1冊目を取り出した。
単行本のくせにやけに格好のいい青空の表紙をめくるとそこには白い紙が1枚落ちて行った紙を拾い上げると片面に赤い字で{For You}と書かれていた。裏を見ると筆記体で無知は恐怖を産み、 恐怖は憎しみを産み、 憎しみは暴力を産む。 これが方程式だ—イブン・ルシュド}と書いてあったこれはいったい何を意味するのか?



自分の悪戯書きの処女作です。                    今読み返しても少しおかしい所がありますが、悪戯書きなのでご了承ください。感想お待ちしております。

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