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いま会社に居場所がないと感じている、あなたへ

パワハラで心身がまいって出社できなくなり、13年間働いた会社をそのまま退職した私。先日会社から寄せ書きが届いた。退職者が出ると1年ごとの持ち回りの世話方が寄せ書きを回す習わしなのだ。

郵便を複雑な気持ちで受け取りながら、それでもどんな風な内容を書いたか気になる相手が2人いた。

それは、まさに私にパワハラをしていた2人だった。一人は退職時の直属の上司。そしてもう一人は10年間断続的にパワハラをしてきていた、今は事務方の最高幹部となった、かつての上司。

*パワハラで行けなくなった会社から届いた寄せ書き*

毎日密室に呼び出しては「あなたの為に言う。退職しなさい」と言ってきていたかつての上司。もう一人は、ライバル心むき出しで、この半年ほどはまるで私が自分から辞めるように仕向けるかのように人間関係の切り離しを徹底して行っていた人物。10年&半年越しの願いがついに達成された今の心境はいかに??と、少し意地悪な気持ちで元上司2人の名前を探しながら読む。

結局1人は、名前もメッセージもどこにもなく、もう一人は隣に書いてあるメッセージをそっくりそのまま丸写しし、余らせた空間をどう埋めるべきか迷ったようなペンの跡が幾つかあった。

私の感覚では、それだけ近い位置で仕事をしてきていて、ほぼ毎日パワハラという形で接点もあったわけなので、大人ならウソでも形式的なねぎらいやはなむけの言葉を書く位が普通なのかと思ったものの、まさか、名前もメッセージも何も無し&丸写しとは・・・。(でも、余った空間をどう使うか逡巡したように見て取れた所は少し可愛げがあるとは思った)

いやはや。でも本当に「2人とも、マジ肝の小さい男だったんだな!!!(毒)でも、だからこそ、姑息にパワハラしてたんだよな、」と改めて思った。

*思いがけない温かさに触れて*

でも一方で、本当に心温まるメッセージが幾つもあった。

例えば以前から、いつも笑顔だからこそ、逆にいろんな思いを抱えてそうに見えていたある後輩。私は内心その常に笑顔なのが逆に気になっていて、とはいえ部署が違うので毎日会うわけでは無いのだけど、会えば時々意識的に声をかけたりしていた。その後輩からは、「~さんの優しさや配慮、本当に救われていました。いつもキラキラしている〜さんは私の憧れでした。ありがとうございました。新天地でも頑張ってください」と部分的に波線付きで書いてあった。

また私と1カ月違いで入社した同期からは、「入社当時に色々助けて頂いたこと、本当に感謝しています。プライベートでご一緒した時も、普段とギャップがとても楽しかったです」など、スペースいっぱいにびっしり書いてあったりもした。驚いた。13年も前のことなので、同期はきっともう覚えていないと思っていたのだけど、同期が入社した時、私は1か月前に自分がまさに困ったあれこれを同期にもシェアしたり、「社員の座席と名前と役職と担当業務」をメモった紙をコピーして渡したりしていたのだった。

他にも異動後も会えばいろいろ声を掛け合っていた以前同じ部署で働いていた先輩や元上司からは「~さんと一緒に働けた思い出は一生忘れません」など涙が出るようなメッセージが幾つもあった。

*信じ、刷り込まれてしまったパワハラ上司の言葉*

色紙なので、良いことしか書かないのが普通なのは十分承知の上だけど、パワハラ上司は会議室に呼び出すたび
「~さんはあなたと働きたくないと言っている」
「~さんもあなたと働きたくないと言っている」と何人もの名前を挙げてきていた。その中には色紙で温かいメッセージをくれた人も当然含まれている。

もちろん最初は『本当に?普段業務上のかかわりや儀礼的なやりとりだけでなく、+αも多少あるはずのあの人も、本当にそう言っているの?』と疑いの気持ちもあった。

しかし何度も何度も密室で繰り返し上司から「クソみたいな奴」「雇ってやってる」と言われながら「悪いのは全て私1人です」「上司はすべて正しく私は全て間違っています。申し訳ありません」と泣きながら連呼し謝罪したり、私がこの世に存在している事への謝罪を繰り返すたび、私の自己肯定感や周囲への信頼感、会社への所属意識はどんどん下がっていった。

そして「きっと上司の言うように本心では誰もみんな私とは働きたくないのだ」「誰もみな私のことは信用していないのだ」と段々パワハラ上司の言う事が本当のように刷り込まれ、人間不信と自信喪失の深みにはまり、パワハラ自体についても国のガイドラインに基づき上役に相談しても全く取り合って貰えず絶望したことで、結局「社内に私の居場所は無い・・・」と出社できなくなっていって、とうとう13年勤め、青春を捧げた会社でのキャリアを手放す事を決めた私。

*批判的な目線と自信を失うという罠*

今になって思えば、どうしてあの時私はあんなにもパワハラ上司2人のいうことを信じ、追い詰められていってしまったのだろうと思うけれど、やはり、ストレスでそれだけ精神が追い詰められて、視野が狭くなり、頭が回らなくなっていたのだろうとしか思えないし、そう思うからこそ、もっと早い時点でメンタルの専門医を受診していれば、例えば休職や異動などという選択も含めた柔軟な対応についてもっと真剣に考えたり、退職という極端な答えを出す事もなかったのかもしれないな、とも思ったりもした。

*決意*

まぁ、「覆水盆に返らず」なので辞めてしまったのものは仕方ない。

でもこれから私は、かつて私にパワハラをしてきていたクソ野郎2人に人生惑わされたと思うのはあまりに悔しすぎるので、彼らのことは忘れて「会社を辞めたことを後悔しないような人生を歩んでいこう」というマインドセットで生きていくと今回改めて決意をしたし、良いことにしても、悪いことにしても、フィードバックを貰う機会がないから知らないだけで、見ている人は見てくれているのだな、と改めて思った。

*会社に居場所が無いと感じている人へ*

だからもし、このなかに会社で人間不信に陥っている人が居たら、退職した先人の言葉として聞いてほしい。

あなたが思う「誰も信用できない」の「誰も」という視点がざっくり過ぎないか。誰かの伝聞じゃないのか?自分の視野が狭まりすぎていないか?改めてもっと解像度を高くして、具体的に一人一人思い浮かべながら本人の直接の言動をベースに自分に問いかけてみて欲しい。

そしてもし自分のメンタルが少しでも疲れていると思ったら、今すぐにでもためらわずにメンタルの病院の予約を取ってもらいたい。

メンタルの病院の初診の予約はマジで取れない。数カ月単位待ちなので、本当に余裕をもって予約することが必要だと今回初めて知った。そしてどんなに精神論や市販薬で乗り越えようと思って乗り越えれなかったものも、しばらく職場を離れ、医者が処方した米粒程度の薬を飲んで、沢山寝るだけでサクッと持ち直すこともあるということ。だからこそ早期に医者にかかる大事さも今回初めて痛感した。

状況によっては、自分でも気づかないうちに極端に思考力が落ちたり、極端な不眠に陥っていてどうにもこうにも朝方まで眠れない、些細な事で毎日泣く、背中の不自然なハリが治らないというようなことが極々自然にありうるということ。そしてその流れで「退職しかない」というような極端な結論しか見えなくなるなど、変なところで行動力を発揮したりしてしまう事もあるということ。だからこそ、いかにして早い段階で自分とパワハラ上司以外の世界に助けを求める事が大事かを改めて思った。

そしてもしその渦中にいる人に私が何か言えるなら、自分の疲れに、是非うんともっとちゃんと敏感になってもらいたいと心から思う。

*大きく乱暴な声にかき消されている、優しさの存在を忘れないで*

もしかしたら近くに声の大きな攻撃的な人が居るかもしれない。

そしてもしかしたら、声の大きさ、立場、権力、上への取り入り方のうまさ、おべんちゃらの巧さなど、様々な理由でその人の影響力が大きくて自分や周囲の声は簡単にかき消される事があるかもしれない。

でもかき消されている、もしくは発されていないだけで存在している優しさの存在だけはぜひ否定せずにいてもらいたい。

もし声の大きな人があなたに何かを言うかもしれないけれど、ぜひそれを鵜呑みにせずに、「本当かな?」と斜めに見る目線を意識的に手放さないようにしてもらいたい。

追いつめられればられるほど、人の思考力と自尊心は落ち、結果大きな声に飲み込まれそうになるだろう。それはもう、生物としてそういう作りになっているから本当に抗いがたい。

だからある程度は仕方ないのだけど、でもだからこそ、どうか意識的に外に助けを求めながら、声の大きな人の声を否定的に受け止める目線だけは絶対に死守してもらいたい。

なぜなら多分、普通に生きているだけであなたは十分、色んな誰かから温かい気持ちをもらっていて、それに自分では気づいていないだけだと思うから。そしておそらく肝の小さい誰かがうまく自分のコンプレックスやストレスを発散できずに、一時的にあなたを「はけ口」にしているだけだと思うから。


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