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黒澤明監督『影武者』アメリカでも評判を呼んだ戦国巨編


<作品情報>

黒澤明監督が「デルス・ウザーラ」以来5年ぶり(日本映画としては「どですかでん」以来10年ぶり)に製作した、戦国スペクタクル巨編。製作総指揮としてフランシス・F・コッポラとジョージ・ルーカスが参加、アメリカでも公開され独創的な様式美と壮麗な合戦絵巻が評判を呼んだ。時は戦国時代、あやうく処刑をまぬがれた盗人が武田信玄の影武者となり、信玄の幻に威圧されながらも敵をあざむいていく。だが男にとって戦国の雄・信玄として生きることはあまりにも過酷だった……。カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。

1980年製作/179分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1980年4月26日

https://eiga.com/movie/7796/

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
うーん、長い!黒澤明の色彩感覚や歴史スペクタクルをまとめあげた手腕は認めますが、全盛期の『七人の侍』『蜘蛛巣城』なんかと比べるとキレがなく冗長に感じました。
巻き込まれた男をユーモラスに、かつヒューマニズム溢れる目線で見つめるのはよかったです。
ただ、それと同じ比重で各武将の陰謀や勝頼の反発を描いているため話にまとまりがなく感じました。
歴史考証を飛ばしてカラフルな衣装や美術をみせるのはいいのですが、戦闘シーンもいまいちキレがありません。
影武者の夢のところはよかったかな。でもあれも長すぎます。
黒澤明の美学はそのままで、せめて二時間強くらいに収まっていたらもっと良かったのにと思います。
このあとの『乱』や『夢』『八月の狂詩曲』は好きな作品なので、翻案やオムニバス、現代劇に資質がシフトしてしまっているんだと思います。

吉原
武田信玄の影武者として生きる運命を背負わされた男の物語。コッポラとルーカスがプロデューサーとして参加していることからも黒澤明が「世界の黒澤」と言われる所以がわかります。
大作という名に相応しいスケールと描写で凄いと思わせるシーンは何度もありますが、やはり3時間は長いと感じてしまいました。3時間あること自体は一向に構わないのですが、武田信玄本人の物語ではなく、あくまでも影武者の話なのでそこまで派手なエピソードがあるわけでもなく展開的には微妙。
影武者の夢のシーンとラストはすごく印象的でした。今の邦画では予算の都合もあってこんな美しいシーンは撮れないんだろうな… せっかくいいお手本があるのに勿体無い。

<おわりに>

 巨匠・黒澤明が手掛けた壮麗な戦国巨編です。映像に魅了される作品です。

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