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黒澤明監督『赤ひげ』赤ひげ先生は萌えキャラ!?



<作品情報>

原作は山本周五郎の「赤ひげ診療譚」。江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と通称赤ひげと呼ばれる所長と青年医師の心の交流を描く。長崎で医学を学んだ青年保本は、医師見習いとして小石川養生所に住み込む。養生所の貧乏臭さやひげを生やした無骨な所長赤ひげに反発する保本は、養生所の禁を犯して破門されることすら望んでいた。しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさに触れ、また彼を頼る貧乏人に黙々と治療を施すその姿に次第に心を動かされていった……。

1965年製作/185分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1965年4月3日

https://eiga.com/movie/2979/

<作品評価>

85点(100点満点)
オススメ度 ★★★★★

<短評>

おいしい水
赤ひげ先生が萌えキャラなんて予想してなかったです笑
闇の中浮かび上がる顔、壁に写る影が素晴らしく美しい。確かに長いですが、群像劇のそれぞれの物語を見事に語り尽くし、さらに主人公の成長と選択を描くという見事さが素晴らしいです。単純にくすっと笑って泣けるエンタメ作品としても十分楽しいです。
時代こそ江戸時代ですが、「貧しいものに幕府が何かしてあげたことがあったか?」という経済格差、貧困の問題を描く作品にもなっています。
佐八とおなかが再会して別れるときに振り返ったおなか、臨終のシーンの手を使った劇的でロマンティックな演出、おとよが初めて笑ったシーンなど心に残る場面ばかりです。
しかしなんといっても赤ひげ先生のツンデレというかなんというかとぼけた感じが最高!自分でやっといて「医者がこんなことをしてはいかん!」と誰もが「お前だよ!」と突っ込んだであろうシーンなどおもしろいです。
保本役の加山雄三もかっこいいですし、全てのレベルが高く、昔の日本映画ってすごかったんだなあと実感しました。

吉原
「世界の黒澤」と言われるだけあって、やはり黒澤明はすごいです。モノクロであっても映画に色があるように見えますし、3時間を超える上映時間も全く飽きさせません。こんなすごい監督は、洋画でもほぼ見ないです。まさに映画史に名を残す偉人だと思います。
赤ひげ先生のように患者に寄り添う医療は夢物語なのかもしれません。ですが、自分も将来医師になる身として、やはりこのような心持ちは持たなくてはいけないとつくづく思います。
タイトルは「赤ひげ」ですが、主人公はおそらく保本でしょう。メインとなるのは赤ひげに出会ったことによって変わった彼の考え方と、医療拒否をする患者の心を変えることです。医学部では嫌というほど学ぶような内容ですが、だからこそ医学の核となることなのだと思います。
医療に関係する人はもちろん医学を学ぶ人だけでなく、すべての人に重要なことを教えてくれる傑作なので、是非たくさんの人に観てもらいたいです。

<おわりに>

 世界のクロサワが手掛けたヒューマンドラマの傑作です。医療に関係する人はもちろん、広く心に響く作品になっています。

<私たちについて>

 映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓


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